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Annals of Internal Medicine

(更新日 2007年2月20日)
Annals
Established in 1927 by the American College of Physicians

原著(ARTICLE)

不健康な多飲酒癖を持つ入院患者への簡易介入:無作為化比較試験

Brief Intervention for Medical Inpatients with Unhealthy Alcohol Use
A Randomized, Controlled Trial
Richard Saitz, MD, MPH; Tibor P. Palfai, PhD; Debbie M. Cheng, ScD; Nicholas J. Horton, ScD; Naomi Freedner, MPH; Kim Dukes, PhD; Kevin L. Kraemer, MD, MSc; Mark S. Roberts, MD, MPP; Rosanne T. Guerriero, MPH; and Jeffrey H. Samet, MD, MA, MPH

6 February 2007 | Volume 146 Issue 3 | Pages 167-176

背景: 飲酒量を減量させるためのカウンセリングによる簡易な介入の効果が,一部の選択された外来患者に対しては確立しているのに対し,入院患者に対する効果については未だ証明されていない.

目的: スクリーニングによって不健康な飲酒癖を持つと判明した入院患者に対して,カウンセリングによる簡易な介入が,この患者達の飲酒癖改善に役立つか否かを検討する.

 

方法: 無作為化比較試験

 

試験場所: 市内にある一病院の医療サービス部門

 

患者:  身体にとって危険な量の多飲酒癖のある341名の入院患者.対象は次のように規定した(66歳未満の男性においては,週に14杯を上回る飲酒回数のあるもの,または一度に5杯以上の機会飲酒をするもの.女性のすべておよび66歳以上の男性においては,週に11杯を上回る飲酒回数のあるもの,または一度に4杯以上の機会飲酒をするもの).なお,このうち77%の患者は飲酒に関する合成の国際的な診断インタビュー(the Composite International Diagnostic Interview Alcohol Module)にて飲酒依存と確定された.

 

介入: 通常の治療を受けている患者169名に対し,訓練された相談員によって入院中に30分にわたる飲酒量改善の動機付けのためのカウンセリングを受けた患者172名.

測定: 
飲酒依存患者が,3か月間で自身の飲酒癖改善のためのケア(例えば,アルコール障害に対する特別な治療)を受けたか否か,また全ての患者において12か月で一日あたりの平均飲酒回数にいかなる変化がみられたか,という二点に関する自己申告を,今回試行された介入による主要な結果とした.

 

結果: 飲酒依存患者が3か月間で飲酒癖改善のための特殊な治療援助を受けたか否かと,今回施行された簡易なカウンセリングによる介入との間に有意な相関は認められなかった.(補正援助受け入れ率:介入群49%,対称群44%,両群間差5%[信頼区間95%,-8%〜19%]).同様に,全患者の12か月後における一日あたりの飲酒回数と,今回の介入の間でも有意な関連性は認められなかった.(補正平均飲酒減少率:介入群1.5,対照群3.1,両群間差-1.5[信頼区間-3.7〜0.6])なお,一日飲酒量予測統計モデルにおいて,本介入と飲酒依存間で有意な相互作用はなかった.(P=0.24)

 

研究の限界: 治療群と対照群との間に基準となるスタートラインで不均衡が存在した.通常の治療を受けた入院患者達は評価されるとともに,自己の飲酒について担当の内科医らに相談できることが指導されていた.

 

結論: カウンセリングによる簡易介入のみで,多飲酒癖のある入院患者に対しアルコール依存および飲酒量改善を期待することは不十分であった .不健康な飲酒癖を持つ入院患者に対しては,より集中的で個々人にあった介入が必要である.
 

(翻訳: 市堰肇)

English Abstract