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Annals of Internal Medicine

(更新日 2007年2月20日)
Annals
Established in 1927 by the American College of Physicians

原著(ARTICLE)

米国において新規に透析導入された80歳台,90歳台の患者

Octogenarians and Nonagenarians Starting Dialysis in the United States
Manjula Kurella, MD, MPH; Kenneth E. Covinsky, MD, MPH; Alan J. Collins, MD; and Glenn M. Chertow, MD, MPH

6 February 2007 | Volume 146 Issue 3 | Pages 177-183

背景: 老年者は末期腎疾患人口のなかで最も急速に増加している集団である.しかし,超高齢の透析患者(80歳以上)の疫学や予後について,米国家レベルでの調査は実施されていない.

目的: 80歳台,90歳台の患者の新規透析導入発生率と予後について最近の傾向を記述する.

 

方法: 観察研究

 

試験場所: U.S. Renal Data System; 末期腎疾患の米国家登録機構

 

患者:  1996年-2003年に透析を導入された80歳台,90歳台の患者.

 

測定: 透析導入率と生存率

 

結果: 80歳台,90歳台の透析導入患者数は1996年の7054人より2003年の13577人と増加したが,この増加率は,透析導入患者の平均年次増加率である9.8%と一致している.人口増加率を考慮しても,透析導入率は1996年~2003年の間に57% (率比,1.57[95%信頼区間, 1.53-1.62]) 増加した.透析導入後の80歳台,90歳台の患者の1年死亡率は46%であった.1996年の80歳台,90歳台の透析導入患者と比較して,2003年の透析導入患者では,糸球体濾過率は高値であり,慢性腎疾患に関連した合併症の罹病率は低かったが,1年生存率には差がなかった.死亡の転帰に強く関連した臨床的特徴は高齢,歩くことができず自力で移動できない状態,および多くの合併症であった.

 

研究の限界: 必要性は認められたが透析に導入されなかった末期腎疾患の生存を評価できなかった.

 

結論: 80歳台,90歳台の透析導入患者数は過去10年間でかなり増加したが,これら患者の全生存期間はあまり延びていない.患者個人の価値と好みとを結び付けて考慮すれば,患者の特徴もとづく予後評価は,超高齢者の透析導入の決定に役立つであろう.
 

(翻訳: 佐々木徹)

English Abstract