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Annals of Internal Medicine

(更新日 2007年2月20日)
Annals
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患者さんへのまとめ(SUMMARIES FOR PATIENTS)

静脈血栓塞栓症の治療:米国内科学会と米国家庭医学会からの勧告

Treatment of Venous Thromboembolism: Recommendations from the American College of Physicians and the American Academy of Family Physicians

6 February 2007 | Volume 146 Issue 3 | Page I-43

「患者さんへのまとめ」は ,患者さんが近代医学の複雑でしばしば迷わすような用語をよりよく理解することを助けるためにAnnals誌によって提供されるサービスです.

 

「患者さんへのまとめ」は情報を提供する目的だけのために提示されています.これらの「まとめ」はあなた自身のかかりつけ医からの助言の代わりとなるものではありません.もしあなたが,この題材について疑問を持ったり,あなた自身の健康あるいは状況についての医学的助言を必要とする場合は,あなたのかかりつけ医と連絡をとってください.「まとめ」は非営利的な教育目的のためだけに転載されても構いません.他の用途への使用については,米国内科学会(ACP)によって承認されなければなりません.

下記の「まとめ」は「静脈血栓塞栓症の管理: 米国内科学会と米国家庭医学会による臨床ガイドライン」と「静脈血栓塞栓症の管理:診療ガイドラインの体系的総括」というタイトルの論文からのものです.
 

誰がこのガイドラインを作成しましたか?
米国内科学会(ACP)と米国家庭医学会(AAFP)は,この勧告を作成しました.
 
何が問題であり,それについて現在までにどういうことが分かっているのでしょうか?
何が問題であり,それについて現在までにどういうことが分かっているのでしょうか? 静脈血栓塞栓症(VTE)において血栓は静脈で発生します.血栓はしばしば足の静脈で生じ,深部静脈血栓症(DVT)と呼ばれています.これらの足の血栓は一部剥離し,肺に到達して肺塞栓症と呼ばれる重篤な病態に至ります.抗凝固薬はVTEにおける主な治療です.いくつかの他の治療法も選択できます.非分画ヘパリンは静脈に入る細いチューブ(静脈内カテーテル)によって投与されなければならず,少なくとも毎日血液検査と投薬量の調整を必要とします.ワーファリンは錠剤の抗凝固剤ですが,それは検査と用量調節を2,3日あるいは週ごとに行うことが必要です.低分子量ヘパリン(LMWHs)は皮下に注射することができ,血液検査と投薬量調整を必要としません.これらの薬はいずれも肺塞栓症の治療にも使われます.弾性またはサポートストッキングは,DVTの後の慢性的な足の痛みと腫脹を防ぐでしょう .治療のためのいくつかのオプションがあれば,明確なガイドラインは有用でしょう.
 
どのように,ACPとAAFPはこれらのガイドラインを作成したのでしょう?
著者らはVTEの治療について発表された研究を再検討しました.
 
著者らは何を発見したのでしょう?
質の高い研究は,DVTへの低分子量ヘパリン(LMWHs)の投与は非分画ヘパリンより良い結果となり出血の合併症は少ないことを示しました.肺塞栓症にLMWHは少なくとも未分画ヘパリンと同じくらいよい結果をもたらしました.在宅で低分子量ヘパリンを使うことは,お金を節約し,適切な支援があれば少なくとも入院治療と同じくらい安全です.1か月間の深部静脈血栓症に対する弾性ストッキングの使用を調べた2つの質の高い研究では,弾性ストッキング使用は,深部静脈血栓症の後の慢性的な足の問題を減らすことを示しました.妊娠は深部静脈血栓症の重要な危険因子ですが,妊婦に対して異なる治療を慎重に比較検討した結果は ,利用できないことが判明しました.著者らは,進行中の危険因子を持たない患者にとって,初回の静脈血栓塞栓症のエピソードは3〜6か月の治療で十分であることを示唆する静脈血栓塞栓症治療期間に関する質の高い研究を見つけました.これらの研究は,2回目以上の静脈血栓塞栓症には少なくても12か月かおそらくそれ以上の治療の必要性を研究では示唆しています.
 
米国内科学会と米国家庭医学会は,患者と医者が何をすることを提案していますか?
医師は深部静脈血栓症を治療するために,非分画ヘパリンの代わりにLMWHを使わなければなりません.肺塞栓症にはどちらのヘパリンでも適切です.

患者が自宅で適切な支援を受けることができるならば,医師は患者さんを入院させないで深部静脈血栓症(そして,おそらく肺塞栓症)に低分子量ヘパリンを投与することを考慮すべきです.

患者さんは深部静脈血栓症診断後,少なくとも1年間,弾性ストッキングを使わなければなりません.

妊婦の静脈血栓塞栓症の治療に十分なエビデンスはありません.しかし,ワーファリンと他の抗凝固薬は,妊娠の第6から第12週目の間で有害となり得ます.

最初の深部静脈血栓症の後,血栓の危険因子が持続しない限り,治療は3〜6か月の間継続しなければなりません.2回以上の静脈血栓塞栓症のエピソードの後,治療は少なくとも12か月かおそらくそれ以上継続しなければなりません.

低分子量ヘパリンは静脈血栓塞栓症の長期の治療,特にがん患者では効果的で安全です.
 
これらのガイドラインに関連した注意事項は何ですか?
医師は特定の患者さんに対しては,治療を変更するかも知れません.

(翻訳: 秋山真一郎)
Summaries for Patients - English Page