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Annals of Internal Medicine

(更新日 2007年2月23日)
Annals
Established in 1927 by the American College of Physicians

論評(REVIEW)

メタ解析:重篤な成人の患者における静注免疫グロブリン療法

Meta-analysis: Intravenous Immunoglobulin in Critically Ill Adult Patients with Sepsis
Alexis F. Turgeon, MD, MSc; Brian Hutton, MSc; Dean A. Fergusson, MHA, PhD; Lauralyn McIntyre, MD, MSc; Alan A. Tinmouth, MD, MSc; D. William Cameron, MD; and Paul C. Hébert, MD, MSc

6 February 2007 | Volume 146 Issue 3 | Pages 193-203

背景: 静注免疫グロブリン療法が敗血症に対する補助療法として考えられてきた.しかし,その有効性は不透明で,最近,その使用は推奨されていない.

目的: ポルクロナーナル免疫グロブリンの静注療法の,敗血症で重篤な患者の死亡を予防する効果について評価する.

 

情報源: 1966年から2006年5月までのMEDLINE, 2006年5月版のCochrane Central Register of Controlled Trials*
*監修者注:英国の Cochrane Collaborationが医療情報を収集,提供しており,Cochrane Central Register of Controlled Trialsは,適切にデザインされた臨床試験についての文献を集積したものである.

 

研究の選択: ポリクローナル免疫グロブリンの静注療法とプラセボ,もしくは介入をおこなわなかった敗血症,重症の敗血症,敗血症ショックを発症した重篤な成人患者を扱った全ての無作為化比較試験を選んだ.研究を行っている言語や出版の形式については制限しなかった.

 

データ抽出:  データは標準化した形式を用いて2人の調査者がそれぞれ独立に抽出した.

 

データ合成: 文献検索では4096の文献が確認され,このうち,33の文献が適切であろうと思われた.適性基準を満たした20の試験(n=2621)の解析を行った .ポリクローナル静注免疫グロブリン療法はプラセボや介入を行っていない場合と比較して,全生存率(危険比0.74 [95%信頼区間, 0.62 から 0.89])の改善に関係していた .感度分析において公開されたピアレヴューによる試験(危険比, 0.72 [95%信頼区間, 0.58 から 0.89]) (17試験 [n = 1865])と非公開の試験(危険比, 0.61 [信頼区間, 0.40 から 0.93] (7試験 [n = 896])に制限した場合には ,記載された生存率が改善した.重篤な敗血症や敗血症ショック(危険比, 0.64 [信頼区間, 0.52 から 0.79]) (11試験 [n = 689])は,体重あたり1グラム以上の総用量での治療(危険比, 0.61 [信頼区間, 0.40 から 0.94]) (7試験 [n = 560])と2日間以上(危険比, 0.66 [信頼区間, 0.53 から 0.82]) (17試験 [n = 1847])治療を受けており,このことがこの生存率改善に強く相関していた.

 

研究の限界: 解析に用いた多くの試験が,早期の目標指向治療や活性化プロテインCなどの重篤な敗血症患者の治療や結果を変える新しい展開の前に,報告されている.

 

結論: プラセボや介入を受けなかった患者に比較して,ポリクローナル静注免疫グロブリン療法を受けた敗血症患者では生存期間の改善が認められた .今回使用した文献から得られた方法論的な限界や,もっと重篤な患者が得るであろう恩恵,さらにこの治療の投与量や期間の検討で得られるであろう効果などを勘案すると,ポリクローナル免疫グロブリン静注療法の大規模無作為化比較試験は施行されるべきである.
 

(翻訳: 鈴木克典)

English Abstract