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Annals of Internal Medicine

(更新日 2007年3月5日)
Annals
Established in 1927 by the American College of Physicians
 

原著(ARTICLE)

心臓外科手術における,手術中のインスリン強化療法vs. 通常血糖管理: 無作為化試験

Intensive Intraoperative Insulin Therapy versus Conventional Glucose Management during Cardiac Surgery
A Randomized Trial
Gunjan Y. Gandhi, MD, MSc; Gregory A. Nuttall, MD; Martin D. Abel, MD; Charles J. Mullany, MD; Hartzell V. Schaff, MD; Peter C. O'Brien, PhD; Matthew G. Johnson, MPH; Arthur R. Williams, PhD; Susanne M. Cutshall, RN; Lisa M. Mundy, RN; Robert A. Rizza, MD; and M. Molly McMahon, MD

20 February 2007 | Volume 146 Issue 4 | Pages 233-243

背景: 心臓外科手術患者における,手術中の厳格な血糖管理が死亡数と死亡率を減らすかどうかは明らかになっていない.

目的: 心臓外科手術中に強化インスリン療法を行ったアウトカムと通常の術中血糖管理を行ったアウトカムを比較する.

 

方法: 結果遮蔽評価による無作為非盲検比較試験.

 

試験場所: 三次ケアセンター

 

患者:  オンポンプで心臓外科手術を行った糖尿病を有するまたは有しない成人.

 

測定: 一次アウトカムは外科手術後30日以内の死亡,胸骨感染症,遷延した換気,心原性不整脈,脳卒中,腎不全の複合エンドポイントとした.二次アウトカムは集中治療室の在室日数と在院日数とした.
 

介入: 手術中の血糖値を4.4〜5.6mmol/L (80〜100mg/dL)の間に維持する持続インスリン注入を受ける患者199名と,通常の 血糖管理の201名に無作為に分けられた .通常の血糖管理を受けた群の患者は,血糖値が11.1mmol/L(200mg/dL)以上にならなければインスリンは投与されなかった.いずれの群も外科手術後は正常血糖を維持するためにインスリン注入療法が行われた.

 

結果: 手術終了時,強化療法群においては平均血糖値が統計的に有意に低かった.(強化療法群6.3±1.6mmol/L [114±29mg/L],通常血糖管理群8.7±2.3mmol/L [157±42mg/dL];差-2.4mmol/L[95%信頼区間,-2.8〜-1.9mmol/L], [-43mg/dL {95%信頼区間, -50〜-35mg/dL}]). 強化療法群185人のうち82人(44%)と通常血糖管理群186人のうち86人(46%)に有害事象が発生した.(リスク比,1.0[95%信頼区間,0.8〜1.2]) また強化療法群では通常血糖管理群に比べて,死亡数が多く(死亡数,4 vs.0; P=0.061),脳卒中の発症も多かった(脳卒中,8 vs.1; P=0.020).両群において,集中治療室の在室日数(強化療法群 平均,2±2日,通常血糖管理群 平均,2±3日),差0日[95%信頼区間,-1〜1日])に違いはなく,在院日数も(強化療法群 平均8±4日,通常血糖管理群 平均8±5日);差0日[95%信頼区間,-1〜0日])違いを認めなかった.

 

研究の限界: この単一施設による研究は複合エンドポイントが用いられ,アウトカムが糖尿病の状態により異なるかどうか検討されなかった.

結論:
心臓外科手術中の強化インスリン療法は手術前後の死亡数または死亡率を減らさなかった.厳格な血糖管理を施行すると死亡率と脳卒中になる率が増加したのでルーチンにこの治療を施行することはさけた方が良いかもしれない.

(翻訳: 土谷昌信)

English Abstract