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Annals of Internal Medicine

(更新日 2007年3月5日)
Annals
Established in 1927 by the American College of Physicians
 

原著(ARTICLE)

リスクを理解することを助ける手引書の有用性:
異なる集団における2つの無作為化研究

The Effectiveness of a Primer to Help People Understand Risk: Two Randomized Trials in Distinct Populations
Steven Woloshin, MD, MS; Lisa M. Schwartz, MD, MS; and H. Gilbert Welch, MD, MPH

20 February 2007 | Volume 146 Issue 4 | Pages 256-265

背景:  市民は健康に関するリスクを理解し,それらのリスクを減らす目的の行動について利害を推し量るための基礎的な情報解釈技術を求めている.リスク情報を理解する際の問題については既に多くの研究が指摘しているが,解釈技術の教育手段についての検討は少ない.

目的: 一般的な教育手引書が患者の医療データ解釈技術を向上させるかどうか検討する.

 

方法: 社会経済的地位の高い集団と低い集団において2つの無作為比較対照試験が行われた.

 

試験場所: 高い社会経済的地位グループはニューハンプシャー州ハノーバー,ダートマス医学校の市民講座受講生から選んだ.一方低い社会経済的地位グループはバーモント州ホワイトリバージャンクション退役軍人病院の待合室にいた退役軍人とその家族から選んだ.

 

対象:  2004年10月から2005年8月まで,高い社会経済的地位334名と低い221名の退役軍人とその家族を登録.手引書群と対照群で研究を完遂したのは高社会経済的地位グループでそれぞれ95%と98%,低社会経済的地位グループで85%と96%であった.
 

介入:  手引書グループはリスクの理解に必要な技術を習得させるために特別に作成された教育冊子を,対照群は米国健康保健省ヘルスケア研究部門により作成された一般的な健康冊子を渡された.
 

測定: 既に確立されている100点満点の医療データ解釈テストでのスコア75点以上が「合格」とされた .さらに2つの100点満点のテスト(医療統計の解釈への関心と信頼性についての)と冊子の有用性に対する対象の評価について検討された.

 

結果: 高い社会経済的地位グループでは医療データ解釈テストで指導手引書群の74%が「合格水準」に達している一方,対照群では56%であった(p=0.001).平均点はそれぞれ81点,75点であった(p=0.0006).低い社会経済的地位グループでは「合格者」は44%と26%であった(p=0.010).平均点はそれぞれ69点, 62点であった(p=0.008).手引書はさらに医療統計への関心度を高社会経済的地位グループで6ポイント上げ(基準から4ポイント増に対し対照群は2ポイント減:p=0.004),低社会経済的地位グループでは8ポイント上げた(基準から6ポイント増に対し2ポイント減: p=0.004).しかしながら手引書は対照となる健康冊子と比較して医療統計の解釈に関する信頼性を向上させなかった(高社会経済的地位群で2ポイント増に対し4ポイント増:p=0.36,低社会経済的地位群で2ポイント増に対し6ポイント増:p=0.166).高社会経済的地位グループでは91%,低社会経済的地位グループでは95%の対象が手引書を「有用」あるいは「とても有用」と評価した.

 

研究の限界:  低社会経済的地位被験者は主に男性で,高社会経済的地位被験者は主に女性であり,一般化には限界がある.著者らはより良いデータ解釈技術が,医療における意思決定を改善させたかについては言及していない.

 

結論: 手引き書は高い社会経済的地位および低い社会経済的地位の人々の医療データ解釈技術を改善した.

臨床試験登録番号: NCT00380432

(翻訳: 渡邊清高)

English Abstract