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Annals of Internal Medicine

(更新日 2007年3月19日)
Annals
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患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)


大腸癌の予防のためのアスピリンないし非ステロイド性抗炎症薬の服用について: 米国予防医療サービス専門作業部会からの勧告

Aspirin or Nonsteroidal Anti-inflammatory Drugs for the Prevention of Colorectal Cancer: U.S. Preventive Services Task Force Recommendations


6 March 2007 | Volume 146 Issue 5 | Pages I-35


「患者さんへのまとめ」は ,患者さんが近代医学の複雑でしばしば迷わすような用語をよりよく理解することを助けるためにAnnals誌によって提供されるサービスです.

「患者さんへのまとめ」は情報を提供する目的だけのために提示されています.これらの「まとめ」はあなた自身のかかりつけ医からの助言の代わりとなるものではありません.もしあなたが,この題材について疑問を持ったり,あなた自身の健康あるいは状況についての医学的助言を必要とする場合は,あなたのかかりつけ医と連絡をとってください.「まとめ」は非営利的な教育目的のためだけに転載されても構いません.他の用途への使用については,米国内科学会(ACP)によって承認されなければなりません.


下記の「まとめ」は「大腸癌の一次予防のためのアスピリンまたは非ステロイド性抗炎症薬の定期服用:米国予防医療サービス専門作業部会の推奨書,大腸癌の一次予防のためのアスピリン使用:米国予防医療サービス専門作業部会のための系統的総説 大腸癌を一次予防するための非ステロイド性抗炎症薬やシクロオキシゲナーゼ2阻害薬:体系的総論:米国予防医療サービス専門部会」というタイトルの論文からのものです.


どこがこのガイドラインを作成しましたか?

合衆国予防医療サービス専門作業部会は,健康医学分野の専門家による組織であり,公表された研究論文全般を吟味し,健康上の予防ケアに関して適切な勧告をします.


何が問題であり,それについて現在までにどういうことが分かっているのでしょうか?

大腸癌は,大腸ないし直腸の癌のことです.癌のスクリーニングは,前癌状態の異常(ポリープ)を見つけ,それらが癌になる前に取り除くことによって大腸癌による死亡を減少させます.また癌であっても早期病変の状態で発見されれば,外科切除による治癒も期待できます.大腸癌を防ぐもうひとつの別な方法として薬物予防という方法があります.薬物予防とは何かというと,病気が発症するリスクを減らすために薬の投与を受けるということです.いくつかの研究によれば,高用量のアスピリンの投与を受けたり,非ステロイド性抗炎症薬(例えばイブプロフェン)を服用することにより,ポリープの発症のリスクが減少し,また大腸癌の発症が減少することが報告されています.しかし,これらの薬にも副作用があります.一般にアスピリンや非ステロイド性抗炎症薬を日常的に服用し,大腸癌の発症のリスクを下げるべきかどうかということに関しては,薬の服用による利益が副作用を上回るかどうかという点にかかっていると言えます.


これらの勧告はどのように作成されたのですか?

委員会では,公表されている研究論文全般を見直し,大腸癌の予防にアスピリンや非ステロイド性消炎剤を服用することの利益と不利益とについて検討しました.


著者らは何を発見しましたか?

良質な研究や優れた研究では,高用量のアスピリンないし非ステロイド性消炎剤を長期間服用すると,ポリープや大腸癌の発症のリスクが減少することが証明されています.しかし,これらの薬剤を服用し続けると大腸癌にて死亡するリスクをも減少させるのかという点は,ほとんど証明がなされていません.また優れた研究によれば,低用量のアスピリンの服用が必ずしも大腸癌が発症するリスクを減少させないことも判明しています(低用量とは,心臓発作や脳梗塞の予防として推奨されている一般的な内服の量です).優れた研究によれば,大腸癌の発症リスクを低下させるアスピリンないし非ステロイド性消炎剤の副作用は,それぞれの薬の用量に関連していることが判明しています.副作用としては,アスピリンないし非ステロイド性消炎鎮痛剤では,消化管の出血があります.また脳内出血はアスピリンの内服に関連しているとされます.腎機能障害や心臓血管系の副作用は,非ステロイド性消炎剤の服用に関連すると報告されています.


作業部会は,患者と医師がどのような行動を取ることを助言していますか?

大腸癌のリスクの少ない平均的な患者さんでは,アスピリンないし非ステロイド性消炎剤を癌の予防目的のために日常的な内服は勧めてはいません.


これらの勧告に関して,注意すべき事柄は何でしょうか ?

これらの勧告は,大腸癌の既往歴のある方や同疾患になりやすい高リスクの状態にある方には,必ずしも適応されません.


(翻訳: 五十嵐忠彦)

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