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Annals of Internal Medicine

(更新日 2007年4月23日)
Annals
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患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)


2型糖尿病に対するエクセナチドの治療

Exenatide Therapy for Type 2 Diabetes


3 April 2007 | Volume 146 Issue 7 | Pages I-18


「患者さんへのまとめ」は ,患者さんが近代医学の複雑でしばしば迷わすような用語をよりよく理解することを助けるためにAnnals誌によって提供されるサービスです.

「患者さんへのまとめ」は情報を提供する目的だけのために提示されています.これらの「まとめ」はあなた自身のかかりつけ医からの助言の代わりとなるものではありません.もしあなたが,この題材について疑問を持ったり,あなた自身の健康あるいは状況についての医学的助言を必要とする場合は,あなたのかかりつけ医と連絡をとってください.「まとめ」は非営利的な教育目的のためだけに転載されても構いません.他の用途への使用については,米国内科学会(ACP)によって承認されなければなりません.


下記の「まとめ」は「チアゾリジン誘導体で至適治療域に至らない2型糖尿病に対するエクセナチド追加の効果.無作為化試験」というタイトルの論文からのものです.


何が問題であり,それについて現在までにどういうことが分かっているのでしょうか?

医師は2型糖尿病患者さんの血糖をコントロールするために,しばしば薬剤を処方します.ヘモグロビンA1cと呼ばれる血液検査を用いて血糖管理を評価します.多くの場合,医師は血糖値を最適にコントロールすることを目指しています(ヘモグロビンA1cで7%未満).最適なコントロールまで血糖値を下げるために数種類の薬剤を必要とする患者さんもいます.薬剤としてはインスリン,α−グルコシダーゼ阻害薬(アカルボーズやミグリトース),ビグアナイド薬(メトホルミン),スルホニル尿素薬(グリピザイド(日本未発売),グリブリド(日本未発売)),チアゾリジン誘導体(TZD,例えばロシグリタゾン(日本未発売)やピオグリタゾン)などが使われるでしょう.エクセナチドはインクレチン・ミメティクスと呼ばれる新しい薬剤です.TZDの治療に本薬剤加えての血糖管理の改善を評価する研究はほとんどみられませんでした.


この研究の目的は何ですか?

2型糖尿病の成人のTZD治療にエクセナチドを加え,血糖コントロールの改善を検討するためです.


誰が試験されたのでしょうか?

TZD治療中にもかかわらず血糖管理が十分でない成人233名です.ヘモグロビンA1cの平均値は7.9%でした.


その研究はどのようにしてなされましたか?

研究者たちはカナダ,スペイン,米国の49施設から患者さんを募集しました.患者さんは16週間,2日に1回のエクセナチドまたはプラセボの皮下注射を,無作為に割り付けられました.すべての患者さんはTZDを服用し,メトホルミンを服用している患者さんもいました.研究者は,血糖測定のため血液を検査し,体重を測定し,副作用について質問をしました.研究者,医師,患者さんたちは誰がエクセナチドまたはプラセボを使用したのか知り得ませんでした.


研究者達は何を発見しましたか?

エクセナチドはプラセボよりも,ヘモグロビンA1c値を約0.98%,体重を約3ポンド減少させました.エクセナチド投与群は,プラセボ群に比べて悪心(40% vs. 15%)または嘔吐(13% vs.1%)を多く認めました.


研究の限界は何でしょうか?

治療期間はわずか16週間でした.エクセナチド群の患者さん29%とプラセボ群の患者さん14%は研究を終えることができませんでした.開始前2週間のプラセボの注射に耐えられた患者さんのみが研究対象となりました.


この研究の意義はどのようなものでしょうか?

TZDの治療にエクセナチドを加えると,血糖コントロールが改善し体重が軽度減少しますが,悪心と嘔吐を若干引き起こします.


(翻訳:吉井康裕)

English Abstract