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Annals of Internal Medicine

(更新日 2007年4月23日)
Annals
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原著(ARTICLE)


地理的問題:都市における居住地域および透析施設と患者の予後との関係

Geography Matters: Relationships among Urban Residential Segregation, Dialysis Facilities, and Patient Outcomes

Rudolph A. Rodriguez, MD; Saunak Sen, PhD; Kala Mehta, DSc; Sandra Moody-Ayers, BSN, MD; Peter Bacchetti, PhD; and Ann M. O'Hare, MD, MA


3 April 2007 | Volume 146 Issue 7 | Pages 493-501


背景: 末期腎不全は何故か偏ってアフリカ系米国人を冒す.しかし,米国の多くの都市においての顕著な特徴である人種の居住地域における偏在が透析患者の予後ならびに透析の質におよぼす影響はこれまで評価されてこなかった.


目的: 大都市の郵便番号で区分される地域の人種構成と透析患者の予後,および透析設備の特徴との関連を調べる.


研究方法: 透析患者の後ろ向きコホート研究と透析施設の断面研究.


場所: アフリカ系米国人の居住割合が異なる大都市の郵便番号地域


患者: 1995年1月から2002年12月31日の間に長期透析を開始されたアフリカ系米国人とスペイン系ではない白人(n=399424)ならびに2004年12月に稼動している透析施設(n=3244).


測定: 透析患者の死亡率と腎移植までの期間,ならびに透析の質の指標からみた透析施設の稼動状況(貧血の管理,透析の適切性,透析施設の死亡率).


結果: ほとんどの居住者がアフリカ系米国人である全体の3%の郵便番号地域(n=769)には,ほとんどのアフリカ系米国人(50.3%),そしてわずかの白人(5%)が住んでいた.患者ならびに郵便番号地域の特徴を補正して分析すると,アフリカ系米国人の多く居住する地域では,そうでない地域に比べ,死亡率は白人で有意に高かったが,アフリカ系米国人では高くはなかった(アフリカ系米国人75%以上の郵便番号地域 vs 10%以下の同地域では,補正ハザード比は白人;1.14[信頼区間,1.07~1.21], アフリカ系米国人;1.02[信頼区間,0.99~1.06]).腎臓移植までの期間はアフリカ系米国人ならびに白人で共に,アフリカ系米国人の多く居住する地域でそうでない地域に比べて有意に長期間であった(アフリカ系米国人75%以上の郵便番号地域 vs 10%以下の同地域では,補正ハザード比はアフリカ系米国人;0.84[信頼区間,0.78~0.92], 白人;0.63[信頼区間,0.57~0.71]).アフリカ系米国人の居住割合が多い地域に位置する透析施設は,期待値よりも高い死亡率を示すと共に透析目標達成率が低かった.


研究の限界: 対象患者がアフリカ系米国人とスペイン系ではない白人に限定されている.対象患者ならびに透析施設の分析がそれぞれの郵便番号地域のアフリカ系米国人の割合のみに限定されている.


結論: 都市居住地域の人種構成は,腎移植までの期間ならびに標準的な透析目標の達成率と関連している.アフリカ系米国人が主に居住する地域で透析を受けている患者が受ける医療や透析施設で提供される医療に対してより精密な吟味が求められる.


(翻訳: 佐々木徹)

English Abstract