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Annals of Internal Medicine

(更新日 2007年4月27日)
Annals


原著(ARTICLE)

Established in 1927 by the American College of Physicians

慢性閉塞性肺疾患におけるチオトロピウム単独療法とサルメテロールまたはフルチカゾン・サルメテロール合剤との併用療法の検討:無作為化臨床試験

Tiotropium in Combination with Placebo, Salmeterol, or Fluticasone―Salmeterol for Treatment of Chronic Obstructive Pulmonary Disease

A Randomized Trial

Shawn D. Aaron, MD; Katherine L. Vandemheen, BScN; Dean Fergusson, PhD; François Maltais, MD; Jean Bourbeau, MD; Roger Goldstein, MD; Meyer Balter, MD; Denis O'Donnell, MD; Andrew McIvor, MD; Sat Sharma, MD; Graham Bishop, MD; John Anthony, MD; Robert Cowie, MD; Stephen Field, MD; Andrew Hirsch, MD; Paul Hernandez, MD; Robert Rivington, MD; Jeremy Road, MD; Victor Hoffstein, MD; Richard Hodder, MD; Darcy Marciniuk, MD; David McCormack, MD; George Fox, MD; Gerard Cox, MB; Henry B. Prins, MD; Gordon Ford, MD; Dominique Bleskie, BHScN; Steve Doucette, MSc; Irvin Mayers, MD; Kenneth Chapman, MD; Noe Zamel, MD; Mark FitzGerald, MD, for the Canadian Thoracic Society/Canadian Respiratory Clinical Research Consortium


17 April 2007 | Volume 146 Issue 8 | Pages 545-555


背景: 中等症あるいは重症の慢性閉塞性肺疾患(COPD)に,吸入ステロイド薬,長時間作用型β刺激薬,および長時間作用型抗コリン性気管支拡張薬の併用療法がしばしば行われているものの,この療法についての検討は未だ不十分である.


目的: 中等症から重症の成人COPD患者において,「チオトロピウムとサルメテロール」の併用あるいは「チオトロピウムとフルチカゾン・サルメテロール合剤」との併用が,チオトロピウム単独使用に比較して臨床的な転帰を改善するか否かを検討した.


方法: 無作為二重盲検化比較試験が2003年10月から2006年1月に行われた.


設定: カナダの27の教育関連および地域の中核医療センターで行われた.


患者: 449名の中等症または重症のCOPD患者を対象とした.


介入: 「チオトロピウムとプラセボ」,「チオトロピウムとサルメテロール」併用,または「チオトロピウムとフルチカゾン・サルメテロール合剤」の併用による治療を一年間行った.


測定: 全身的なステロイドあるいは抗菌薬投与による治療を必要とするCOPD患者の急性増悪率を一次エンドポイントとした.


結果: 急性増悪に陥った患者の,「チオトロピウムとプラセボ」群での割合(62.8%)は,「チオトロピウムとサルメテロール」群(64.8%;差異,−2.0パーセンテージ・ポイント[95%の信頼区間,−12.8〜8.8パーセンテージ・ポイント])と「チオトロピウムとフルチカゾン・サルメテロール合剤」群(60.0%;差異,2.8パーセンテージ・ポイント[信頼区間,−8.2〜13.8パーセンテージ・ポイント])の割合と差がなかった.感度分析において,推定値および95%の信頼区間は,「チオトロピウムとサルメテロール」群と「チオトロピウムとフルチカゾン・サルメテロール合剤」群が好ましいとする方に向いていた.「チオトロピウムとフルチカゾン・サルメテロール合剤」群は,「チオトロピウムとプラセボ」群と比較して,肺機能(P=0.049)や疾患特異的尺度で評価したQOL (P=0.01)を改善し,COPDの急性増悪による入院回数(罹患率比率,0.53[信頼区間,0.33〜0.86])やあらゆる原因による入院回数(罹患率比率,0.67[信頼区間,0.45〜0.99])を減少させた.これに対し,「チオトロピウムとサルメテロール」群では「チオトロピウムとプラセボ」群と比較して,肺機能や入院率について統計学的に有意な改善がみられなかった.


研究の限界: 「チオトロピウムとプラセボ」および「チオトロピウムとサルメテロール」による治療を受けた患者の40%以上は,本試験終了前に治療を中止してしまった.また,多数の患者に,ラベル表示から明らかな吸入型ステロイド薬あるいは長期作用型のβ刺激薬による治療が行われていた.


結論: 中等症から重症のCOPD患者に対して,チオトロピウムにフルチカゾン・サルメテロール合剤を追加しても,急性増悪率には統計学的に有意な影響を及ぼさなかったが,肺機能,QOLおよび入院率は改善した.


(翻訳: 桂 隆志)

English Abstract