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Annals of Internal Medicine

(更新日 2007年4月27日)
Annals
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患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)


アンピシリンとセフトリアキソンによるアミノグルコシド耐性心内膜炎の有効な治療

Successful Treatment of Aminoglycoside-Resistant Endocarditis with Ampicillin and Ceftriaxone


17 April 2007 | Volume 146 Issue 8 | Pages I-56


「患者さんへのまとめ」は ,患者さんが近代医学の複雑でしばしば迷わすような用語をよりよく理解することを助けるためにAnnals誌によって提供されるサービスです.

「患者さんへのまとめ」は情報を提供する目的だけのために提示されています.これらの「まとめ」はあなた自身のかかりつけ医からの助言の代わりとなるものではありません.もしあなたが,この題材について疑問を持ったり,あなた自身の健康あるいは状況についての医学的助言を必要とする場合は,あなたのかかりつけ医と連絡をとってください.「まとめ」は非営利的な教育目的のためだけに転載されても構いません.他の用途への使用については,米国内科学会(ACP)によって承認されなければなりません.


下記の「まとめ」は「アンピシリンとセフトリアキソンを用いたEnterococcus faecalis を起因菌とする心内膜炎の治療」というタイトルの論文(短報)からのものです.


何が問題であり,それについて現在までにどういうことが分かっているのでしょうか?

心臓の内部でおこる感染症である心内膜炎は迅速な抗生物質治療を必要とする致死的な疾患です.Enterococcus faecalisE.faecalis)として知られる細菌を含む多種類の細菌が心内膜炎を引き起こすことがあります. 米国心臓病協会は,E.faecalisに起因する心内膜炎をペニシリンかアンピシリンのいずれかとアミノグルコシド系抗生物質を含む抗生物質の組み合わせで治療することを勧めています. 残念ながら,高度アミノグリコシド耐性(HLAR)E.faecalisとして知られているE.faecalisのいくつかの菌株は,アミノグリコシド系抗生物質に耐性があります.そして,推奨された組み合わせの抗生物質ではこれらの菌株による感染を治療できません. 耐性の問題に加えて,アミノグリコシド系抗生物質は時として腎障害を引き起こすことがあります. その結果,医師たちは腎機能の低下している患者さんにアミノグルコシドを使用するのを避けようとします. 医師たちはHLAR E.faecalisに起因する心内膜炎と,腎機能の低下した患者さんを治療するために,有効な抗生物質の組み合わせを捜し求めています. 動物実験によると,アンピシリンとセフトリアキソンの抗生物質の組み合わせが,アミノグルコシドによる腎障害を避ける一方で,HLAR E.faecalisに起因する心内膜炎に対して有効である可能性を示唆しました.


この研究の目的は何ですか?

この研究は,アンピシリンとセフトリアキソンの組み合わせが,HLAR E.faecalisに起因する心内膜炎の患者さんや既に腎障害がある,非HLAR E.faecalisに起因する心内膜炎の患者さんに対して有効な治療であるかどうかを調べることを目的としています.


誰が試験されたのでしょうか?

HLAR E.faecalisに起因する心内膜炎の患者さん21人と,腎機能のよくない非HLAR E.faecalisに起因する心内膜炎の患者さん22人です.


その研究はどのようにしてなされましたか?

1995年から2003年までに,スペインの13の病院に入院し,HLAR E.faecalisに起因する心内膜炎と確認された患者さんが6週間にわたりアンピシリンとセフトリアキソンの静脈内投与により治療されました. さらに,2000年に始まった研究に,非HLAR E.faecalisで腎機能が低下した22人の患者さんが加わりました. 両方のグループの患者さんは,心内膜炎によって引き起こされた疾患が治療により治癒したかどうか検査されました. また,研究者達は患者さんに菌がまだ存在しているかどうかを確認するため,抗生物質治療開始1−2週間後と治療終了3か月後に採血しました.


研究者達は何を発見しましたか?

患者さんの3分の2は治療終了3カ月後には治癒していました.抗生物質投与の全過程を終えた HLAR E.faecalisに起因する心内膜炎の患者さんは全員治癒しました. 非HLAR E.faecalisに起因する心内膜炎の2人の患者さんは,抗生物質治療終了後,感染のぶり返しがありました.そして,HLAR E.faecalisに起因する心内膜炎の患者さんの29%と非HLARに起因する心内膜炎の患者さんの18%は感染症で亡くなりました.


研究の限界は何でしょうか?

研究は小規模であり,1つの特定の治療を用いた単一の知見でしかありません. この研究では,患者さんに他の抗生物質の組み合わせを割り当てることで,この治療と他の治療を比較することがなされませんでした.


この研究の意義はどのようなものでしょうか?

アンピシリンとセフトリアキソンの静脈内投与は,以前は治すことが難しかった感染症であるHLAR E.faecalisに起因する心内膜炎に有効であり,腎機能の低下した患者さんにも安全だと考えられます.


(翻訳: 土谷正信)

English Abstract