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Annals of Internal Medicine

(更新日 2007年5月14日)
Annals
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患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)


巨細胞動脈炎の治療に関するインフリキシマブの追加療法

Adding Infliximab to the Treatment Regimen for Giant Cell Arteritis


1 May 2007 | Volume 146 Issue 9 | Pages I-12


「患者さんへのまとめ」は ,患者さんが近代医学の複雑でしばしば迷わすような用語をよりよく理解することを助けるためにAnnals誌によって提供されるサービスです.

「患者さんへのまとめ」は情報を提供する目的だけのために提示されています.これらの「まとめ」はあなた自身のかかりつけ医からの助言の代わりとなるものではありません.もしあなたが,この題材について疑問を持ったり,あなた自身の健康あるいは状況についての医学的助言を必要とする場合は,あなたのかかりつけ医と連絡をとってください.「まとめ」は非営利的な教育目的のためだけに転載されても構いません.他の用途への使用については,米国内科学会(ACP)によって承認されなければなりません.


下記の「まとめ」は「副腎皮質ステロイド薬により寛解した巨細胞動脈炎の維持治療に関するインフリキシマブの効果.無作為化試験」というタイトルの論文からのものです.


何が問題であり,それについて現在までにどういうことが分かっているのでしょうか?

巨細胞動脈炎(GCA,側頭動脈炎とも呼ばれる)は大動脈から中等大の動脈に及ぶ炎症性疾患(血管炎)です.この疾患は高齢者に多くみられ,突然全盲を来たすこともあります.迅速な治療により全盲を防ぐことができます.GCAに対する標準治療は大量の副腎皮質ステロイド薬(プレドニゾンなど)であり,漸減してゆきます.患者さんは数年間にわたり少量の副腎皮質ステロイド薬を服用する必要がある場合もあります.残念ながら,ほとんどの患者さんで,副腎皮質ステロイド薬の減量に伴い症状(筋痛,倦怠感,頭痛や視野異常など)が再燃してしまうか,副腎皮質ステロイド薬の副作用がみられます.このため,GCAに関するより良い治療方法が求められています.インフリキシマブは免疫系に関与する炎症性化学物質(腫瘍壊死因子,TNFと呼ばれる)の作用を阻害します.GCAの病態ではTNFが重要な役割を果たしているという証拠があります.以前の報告では少数例を対象とした検討で,TNFの作用を阻害することによりGCAに治療に必要な副腎皮質ステロイド薬を減量させうる可能性があります.


この研究の目的は何ですか?

GCA患者さんに対してインフリキシマブを用いた治療がより良い効果を示すかを検証するためです.


誰が試験されたのでしょうか?

新規にGCAと診断されて副腎皮質ステロイド薬の治療に効果がみられた44人の患者さんです.


その研究はどのようにしてなされましたか?

インフリキシマブまたはプラセボ(インフリキシマブに似ているが不活性化成分)のいずれかを無作為に割り当て,開始日,2週間後,6週間後,8週間後,その後は8週間毎に経静脈的に投与を行いました.全患者は副腎皮質ステロイド薬の投与量を漸減するスケジュールで行いました.もし症状が増悪した場合は副腎皮質ステロイド薬を増量し,再度副腎皮質ステロイド薬を減量する方法で行いました.研究者は研究の過程において患者さんの症状が再燃(再発)していないかということと副腎皮質ステロイド薬の量に関して情報を収集しました.研究者は治療経過を54週間観察する予定としました.


研究者たちは何を発見しましたか?

この試験では54週間行う予定でしたが,インフリキシマブは症状の再発予防や治療に必要な副腎皮質ステロイド薬の減量に関して有益性を認めなかったので,研究者たちは22週間で試験を中止しました.


この研究の限界は何でしょうか?

この試験は小規模であり,早期に中止されたため,インフリキシマブが少ないながらも本来はある効果を評価しきれなかった可能性があります.さらに,この研究が小規模で短期間であったため,インフリキシマブの副作用についても新たな情報はありませんでした.


この研究の意義はどのようなものでしょうか?

インフリキシマブはGCAと新規に診断された患者さんに対して有益性はほとんどないと考えられます.


(翻訳: 西川正憲)

English Abstract