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Annals of Internal Medicine

(更新日 2007年5月14日)
Annals
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原著(ARTICLE)


心血管系イベントのリスクアセスメントにおけるアポリポ蛋白B-アポリポ蛋白A-I比の役割
EPIC-Norfolkにおけるケースコントロール研究

Role of the Apolipoprotein B‐Apolipoprotein A‐I Ratio in Cardiovascular Risk Assessment: A Case‐Control Analysis in EPIC‐Norfolk

Wim A. van der Steeg, MD; S. Matthijs Boekholdt, MD, PhD; Evan A. Stein, MD, PhD; Karim El-Harchaoui, MD; Erik S.G. Stroes, MD, PhD; Manjinder S. Sandhu, PhD; Nicholas J. Wareham, MBBS, PhD; J. Wouter Jukema, MD, PhD; Robert Luben, BSc; Aeilko H. Zwinderman, PhD; John J.P. Kastelein, MD, PhD; and Kay-Tee Khaw, MBBChir


1 May 2007 | Volume 146 Issue 9 | Pages 640-648


背景: アポリポ蛋白B-アポリポ蛋白A-I比(ApoB-Apo A-I 比)の上昇は冠動脈疾患の危険因子である.これが心血管イベントの危険のアセスメントや危険予測に対し現在良く使われている脂質値に比べより良いのかまたはフラミンガム・リスクスコアーにさらに情報を付加するのかは知られていない.


目的: Apo B-Apo A-I比が,良く使用される脂質値やフラミンガム・リスクスコアーに独立して冠動脈イベントが起きる可能性と相関するのか,将来の冠動脈疾患の起きる頻度を推測することができるのかを検証した.


方法: 前向き,ネスト化ケースコントロール研究


試験場所: 英国ノーフォーク州


対象: ヨーロッパの癌と栄養に関する前向き調査に参加した一見健康な45歳から79歳の男女.ケースは869人で致死的または非致死的な冠動脈疾患を発症した869人であった.コントロールは年齢,性別,登録期間をケースに合わせた冠動脈疾患のない1511人であった.


測定: 総コレステロール,HDLコレステロール,トリグリセリド,アポプロテイン,CRPを直接測定した.LDLコレステロールはフリードワルドの式にて計算した.


結果: Apo B-Apo A-I比は総コレステロール-HDLコレステロール比などの脂質値やフラミンガム・リスクスコアーに独立して将来起きる冠動脈疾患率と相関があった.オッズ比は脂質値で調整すると1.85(95%信頼区間 1.15-2.98), フラミンガム・リスクスコアーで調整すると1.77(95%信頼区間1.31-2.39)であった.しかし,Apo B-Apo A-I比は脂質値に比べケースとコントロールを区別するのに役立ったわけではなかった.実際,ROC曲線下面積は総コレステロール-HDLコレステロール比の場合0.670, Apo B-Apo A-I比の場合0.673でp値は0.38であった.フラミンガム・リスクスコアーによる予測値に付け加える新たな情報はApo B-Apo A-I比にはなかった.ROCカーブ下面積はフラミンガム・リスクスコアーのみの場合0.594で,フラミンガム・リスクスコアー+Apo B-Apo A-I比になると0.613でp値は<0.001であった.さらに,Apo B-Apo A-I比はケースの41.1%を,コントロールの50.4%を間違って分類していた.


研究の限界: だれも脂質降下剤を服用しておらず糖尿病の患者もあまりいなかった.


結論: Apo B-Apo A-I比は冠動脈疾患のリスクアセスメントにおいて脂質値やフラミンガム・リスクスコアーに独立して相関があったが,将来冠動脈疾患を起こす群と起こさない群とを区別するにはフラミンガム・リスクスコアーに付加的な情報はほとんどなかった.ただし非空腹時の血液サンプルでApo B-Apo A-I比を測定できるという特性はある状況では有用かもしれない.


(翻訳: 平岡栄治)

English Abstract