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Annals of Internal Medicine

(更新日 2007年5月14日)
Annals
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総説(Reviews)


系統的論文批評 ― 抗がん剤以外の薬物に起因した無顆粒球症

Systematic Review: Agranulocytosis Induced by Nonchemotherapy Drugs

Frank Andersohn, MD; Christine Konzen, MD; and Edeltraut Garbe, MD, PhD


1 May 2007 | Volume 146 Issue 9 | Pages 657-665


背景: 抗がん剤以外の薬物に起因した無顆粒球症は,まれな薬物有害反応のひとつであり,免疫学的機序ないし細胞傷害性の機序によって末梢血の好中球数が 500/μL 未満になる特徴をもつ.


目的: 無顆粒球症に関連していることが確実な例ないし多分確実と考えられる薬物有害反応の症例報告の論文を系統的に見直すこと.


情報源: MEDLINE (1966年から2006年まで) と EMBASE (1989年から2006年まで)ないし 検索された論文の引用文献に掲載された英語の症例報告ないし独語の症例報告.


研究の選択: 抗がん剤以外の薬物に起因した無顆粒球症の患者の症例報告として公表された論文.


データ抽出: ひとりのレビューアーが症例の詳細についての要約を作成し,WHOの評価基準を使用して薬剤使用と無顆粒球症との因果関係を評価する.


データ構成:  無顆粒球症として症例報告された980例の因果関係の評価は,確実が56例(6%),多分ありが436例(44%),可能性としてあり得るが481例(49%),ありそうにないが7例(1%)であった.全部で125の薬剤が,無顆粒球症に関連して確実なもの,ないし,多分関連ありのものであった.同じ薬剤で10以上の報告がなされていたものは,カルビマゾール,クロザピン,ダプゾン,ダイピロン,メチマゾール,ペニシリンG,プロカインアミド,プロピルチオウラシル,リツキシマブ,スルファサラジン,チクロピジンであり,これらの薬剤が,確実な原因ないし多分関連ありであろうと報告された50%以上の症例報告において関係していた.1966年から2006年にかけては,本症が原因で死亡した症例の割合は減少した.好中球数の最低値が 100 /μL 未満の患者の方が,好中球数の最低値が 100 /μL以上であった患者よりも致命的な合併症が多かった(10%に対して3%,p < 0.001). 造血刺激因子製剤にて治療された者の方が好中球減少の期間の中央値が短かった(8日間に対して9日間, p=0.015).また診断時に無症状であった患者の中では,造血刺激因子製剤にて治療された者の方が受けていない患者よりも感染の合併ないし致命的な合併症の割合が低かった(14%に対して29%,p=0.030).


研究の限界: 症例報告では,薬物に関連した合併症の頻度はわからない.ある場合には評価が不完全であったり,重要な点の記載が不十分であったりする.ある場合には,非典型的な病像や 結果 を強調し過ぎることもある.


結論: かなり多くの薬剤が,抗がん剤以外の薬物に起因した無顆粒球症を引き起こす.致命的な経過をたどる症例は,より有効な支持治療が普及することにより次第に減少していると思われる.


(翻訳: 五十嵐忠彦)

English Abstract