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Annals of Internal Medicine

(更新日 2008年1月7日)
Annals
Established in 1927 by the American College of Physicians

原著(ARTICLE)


非HACEK群グラム陰性桿菌による心内膜炎

Non-HACEK Gram-Negative Bacillus Endocarditis

Susan Morpeth, MBChB; David Murdoch, MD; Christopher H. Cabell, MD, MHS; Adolf W. Karchmer, MD; Paul Pappas, MS; Donald Levine, MD; Francisco Nacinovich, MD; Pierre Tattevin, MD; Núria Fernández-Hidalgo, MD; Stuart Dickerman, MD; Emilio Bouza, MD, PhD; Ana del Río, MD; Tatjana Lejko-Zupanc, MD, PhD; Auristela de Oliveira Ramos, MD; Diana Iarussi, MD; John Klein, MD; Catherine Chirouze, MD; Roger Bedimo, MD, MS; G. Ralph Corey, MD; Vance G. Fowler, Jr., MD, MHS, the International Collaboration on Endocarditis Prospective Cohort Study (ICE-PCS) Investigators*


18 December 2007 | Volume 147 Issue 12 | Pages 829-835


背景: 非HACEK群グラム陰性桿菌(HACEK群と呼ばれるHaemophilus属・Actinobacillus actinomycetemcomitansCardiobacterium hominis・Eikenella corrodensKingella属以外の菌種)による心内膜炎はまれで,その特徴についての報告は少なく,主に注射薬物常用者が罹患しやすい疾患であると一般的には考えられてきた.


目的: 大規模な国際的で同時期の患者集団において,非HACEKグラム陰性桿菌による心内膜炎の臨床的特徴と転帰を報告する.


研究デザイン: 感染性心内膜炎前向き集団国際共同研究(ICE-PCS)によるデータベースに基づいた観察研究.


セッティング: 28カ国における61病院


患者: 心内膜炎の確定診断がなされた入院患者


測定: 非HACEKグラム陰性桿菌性心内膜炎患者の特徴を抽出し,他の病原体による特徴と比較する.


結果: ICE-PCSに登録され確定診断がなされた心内膜炎患者2761例のうち,49例(1.8%)が非HACEK群グラム陰性桿菌による心内膜炎であった(20例が自己弁であり,29例が人工弁ないし血管内デバイスを有していた).Escherichia coli(14患者[29%])とPseudomonas aeruginosa(11患者[22%])が頻度の高い起因菌であった.大部分の非HACEKグラム陰性桿菌性心内膜炎患者(57%)は医療行為に伴う感染であり,いっぽうで注射薬物常用によるものはまれ(4%)であった.血管内デバイス植え込みの既往は,他の要因に比べて高頻度に非HACEKグラム陰性桿菌性心内膜炎と相関していた(29%vs11%, P<0.001).非HACEKグラム陰性桿菌性心内膜炎患者の病院内死亡率は,高頻度に心臓手術を受けていた(51%)にもかかわらず,高いものであった(24%).


研究の限界: 各治療群の非HACEKグラム陰性桿菌性心内膜炎患者数は少なく,長期のフォローアップも優れていないので,強く推奨できる治療法を明示することは困難である.


結論: 本研究で用いられた大規模な前向き国際的コホートにおいては,非HACEKグラム陰性桿菌性心内膜炎患者の過半数は医療行為に関連していた.非HACEKグラム陰性桿菌性心内膜炎は,主として注射薬物常用者が罹患する疾患というわけではない.


訳者注: HACEK群細菌:口腔や咽頭に常在するグラム陰性桿菌であり,血液培地での発育が遅く培養が困難なので,しばしば検出は難しい.5菌種の属の頭文字をとってHACEKと呼ばれる.


(翻訳:小池竜司)

English Abstract