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Annals of Internal Medicine

(更新日 2008年1月7日)
Annals
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診療ガイドライン(Clinical Guidelines)


頸動脈狭窄症のスクリーニング:米国予防医療サービス専門作業部会の最新エビデンス

Screening for Carotid Artery Stenosis: An Update of the Evidence for the U.S. Preventive Services Task Force

Tracy Wolff, MD, MPH; Janelle Guirguis-Blake, MD; Therese Miller, DrPH; Michael Gillespie, MD, MPH; and Russell Harris, MD, MPH


18 December 2007 | Volume 147 Issue 12 | Pages 860-870


背景: 脳血管疾患は米国では死亡原因の第3位である.脳卒中全体で,既存の無症候性頸動脈狭窄症が原因である頻度は低い.1996年,米国予防医療サービス専門作業部会は,身体所見や頸動脈エコー検査による頸動脈狭窄症スクリーニングが推奨されるについてのエビデンスは不十分であると結論した.


目的: 二重超音波検査による無症候性頸動脈症スクリーニングと同疾患に対する頸動脈内膜剥離術による治療の利益と有害事象のエビデンスについて検討する.


情報源: 1994年1月から2007年4月まで検索したMEDLINEやコホートライブラリー,最近の系統的レビュー,検索文献リスト,専門家からの意見をデータソースとして用いた.


研究の選択: 英語で書かれた頸動脈狭窄症スクリーニングの無作為化比較試験で,頸動脈内膜剥離術と内科的治療の比較試験,スクリーニングテストの系統的レビュー,頸動脈内膜剥離術の有害事象に関する観察研究を選択し以下の疑問について解答を出した.(1)無症候性頸動脈狭窄症に対しエコー検査によるスクリーニングが脳卒中を減少させるという直接的な証拠はあるのか.(2)頸動脈狭窄症の同定に対するエコー検査の精度はどうか.(3)頸動脈内膜剥離術によるインターベンションは罹患率,死亡率を減少させるか.(4)頸動脈狭窄症のスクリーニングや頸動脈内膜剥離術は結果として有害事象をもたらすか.


データ抽出: 全ての研究をレビュー,要約し,先に定められた米国予防医療サービス専門作業部会の基準に照らし,研究の質を評価した.


データ合成: 頸動脈狭窄症スクリーニングの無作為化比較試験は存在しなかった.系統的レビューによると,頸動脈エコー検査の感度は,約94%であり特異度は約92%である.特定の外科医による特定の患者に対しての頸動脈狭窄症の治療は,5年間に脳卒中を約5%絶対減少させることができた.無作為化比較試験による頸動脈内膜剥離術による30日以内の脳卒中,死亡は,2.7%から4.7%と幅がみられた.観察研究ではより高い頻度であった(6.7%まで).


研究の限界: 臨床的にも重要な頸動脈狭窄症のリスクを層別化するにはエビデンスは不十分であった.頸動脈内膜剥離術と内科的治療の無作為化,比較試験は,特定の外科医により特定の患者に対して行われていた.


結論: 無症候性頸動脈狭窄症のスクリーニングと頸動脈内膜剥離術による治療が,実際に脳卒中を減少させるかどうかは不明である.これは,無症候性集団全体において治療可能な数が少ないため治療による利益に限界があることと,治療自体による有害事象があるためである.


(翻訳:荒金尚子)

English Abstract