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Annals of Internal Medicine

(更新日 2007年9月19日)
Annals
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原著(ARTICLE)


非ST上昇性の急性冠症候群におけるフォンダパリナックスとエノキサパリンの効果と安全性に対する腎機能の影響

Influence of Renal Function on the Efficacy and Safety of Fondaparinux Relative to Enoxaparin in Non-ST-Segment Elevation Acute Coronary Syndromes

Keith A.A. Fox, MBChB; Jean-Pierre Bassand, MD; Shamir R. Mehta, MD; Lars Wallentin, MD, PhD; Pierre Theroux, MD; Leopoldo Soares Piegas, MD, PhD; Vicent Valentin, MD; Tiziano Moccetti, MD; Susan Chrolavicius, BA; Rizwan Afzal, MSc; Salim Yusuf, MD, DPhil, on behalf of the OASIS 5 Investigators


4 September 2007 | Volume 147 Issue 5 | Pages 304-310


背景: 最近の無作為化比較試験である第5次急性虚血症候群評価機構試験(OASIS 5)では,急性冠症候群においてフォンダパリナックスの投与はエノキサパリンに比べて大出血の発生頻度を半減させたことを示された.またこの試験において,腎障害は大出血のリスクを増加させた.


目的: OASIS 5試験における腎障害の程度によるフォンダパリナックスとエノキサパリンの効果と安全性を比較する.


研究デザイン: 無作為化比較試験のサブグループ解析.


セッティング: 非ST上昇性急性冠症候群で受診した患者


患者: OASIS 5試験の20,078名中,登録時に血清クレアチニン値を測定していた19,979名


測定: 死亡数,心筋梗塞,難治性虚血,大出血の発生は,投与後9,30,180日後に別個に,また複合エンドポイントとして評価した.糸球体濾過量はMDRD(Modification of Diet in Renal Disease)試験で用いられた計算式によって算出された.


結果: フォンダパリナックスとエノキサパリンの効果と安全性のもっとも大きな違いは,GFR 58 mL/min/1.73m2以下の患者でもっとも顕著になった.最も大きな違いは大出血のイベント発生であった.投与9日後における死亡,心筋梗塞,難治性虚血の発生は,フォンダパリナックス投与群で6.7%,エノキサパリン投与群で7.4%であった(ハザード比,0.90 [95%信頼区間 0.73-1.11]).また大出血の発生はそれぞれ2.8%と6.4%であった(ハザード比,0.42 [95%信頼区間 0.32-0.56] ).大出血イベント発生における統計学的有意差は,投与30日,180日後にも認められた.腎機能で患者を分けたすべての階層において,これらの複合エンドポイント発生は,フォンダパリナックス投与群がエノキサパリン投与群に比べて低かった.しかし,この違いが統計学的に有意であったのはGFR 58 mL/min/1.73m2以下の患者だけであった.


研究の限界: サブグループ解析の結果には注意が必要である.本試験は投与9日後における非劣性を確認するために行なっている.またフォンダパリナックスはアメリカでは急性冠症候群への投与が承認されていない.


結論: 非ST上昇性急性冠症候群に対するフォンダパリナックスの利点は腎障害患者においてもっとも顕著である.その利点とは,主にフォンダパリナックスの投与ではエノキサパリンの投与に比べて大出血の発生頻度が低くなることである.


(翻訳:菅野義彦)

English Abstract