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Annals of Internal Medicine

(更新日 2007年9月19日)
Annals
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原著(ARTICLE)


高血圧患者において,心電図上の左室肥大の軽減は心不全による入院の減少と相関している.

Regression of Electrocardiographic Left Ventricular Hypertrophy Is Associated with Less Hospitalization for Heart Failure in Hypertensive Patients

Peter M. Okin, MD; Richard B. Devereux, MD; Katherine E. Harris, DrPH; Sverker Jern, MD; Sverre E. Kjeldsen, MD, PhD; Stevo Julius, MD, ScD; Jonathan M. Edelman, MD; Björn Dahlöf, MD, PhD, for the LIFE Study Investigators


4 September 2007 | Volume 147 Issue 5 | Pages 311-319


背景: 心電図上の左室肥大の軽減は,心血管障害による死亡や,脳梗塞,心筋梗塞,心房細動の減少と関連付けられてきたが,心不全の減少と関連があるかどうかは明らかにされていない.


目的: 心電図上の左心肥大の軽減と,心不全の発症率との相関をみる.


デザイン: 無作為化比較試験から導かれた多施設コホート研究.


セッティング: Losartan Intervention For Endpoint reduction in hypertension study(LIFE study)


患者: 8479人の心不全の既往のない高血圧患者を,ロサルタン投与群とアテノロール投与群に無作為に振り分け.


測定: 心電図上の左心肥大の指標であるコーネルの積*をベースライン時と追跡中とで比較した.その変化を連続変数と二分変数(減少の中央値である236mm・msecより多いかまたは少ないか)の両方で検定し,外来での6か月間のフォローアップ以降の心不全による入院を予測した.
*訳者注:コーネルの積:12誘導心電図上のaVLのR波とV3のS波の振幅を足したもの(女性の場合はさらに6mmを加算)とQRS幅との積.


結果: 平均追跡期間4.7年(標準偏差1.1年)において,214人(2.5%)の患者が心不全で入院した.そのうち77人の患者は,降圧薬治療中に236mm・msecかそれ以上(1000患者・年ごとに4.4)の減少を示し,137人の患者は236mm・msec未満の減少を示した(1000患者・年ごとに6.8).治療中のコーネルの積の減少は,時間変動連続変数として扱った単変量のコックス解析では,新規心不全発症の減少と相関があった.コーネルの積が817mm・msec(平均値の1標準偏差)減少するごとに心不全発症のリスクを24%ずつ減少させた(ハザード比0.76,95%信頼区間0.72-0.80).コーネルの積を時間変動数二分変として換算した平行分析では,治療中のコーネルの積の減少の中央値(236mm/msec)以上の減少を示した場合は心不全のリスクを43%減少させた(ハザード比0.57,信頼区間0.44-0.76).治療方法やベースラインの心不全のリスク因子,ベースラインと治療中の血圧,ベースラインの心電図上の左心肥大の重症度を調整した後においても,時間変動多変量コックスモデルにおいて,コーネルの積の減少は新規発症心不全による入院の減少と強い相関が認められた.コーネルの積を連続変数としたときに,コーネルの積が817mm・msec減少するごとに19%の新規心不全による入院のリスクの減少がみられ(ハザード比0.81,信頼区間0.77-0.85),コーネルの積が236mm・msecかそれ以上の減少を示した患者においては,新規心不全の発症率が36%減少した(ハザード比0.64,信頼区間0.47-0.89,全ての比較においてP<0.001).


研究の限界: 高血圧患者のうち,心電図上左心肥大を呈する患者のみを選別したことによって,選別しない高血圧患者における場合に比べ心不全発症のリスクを高くしたかもしれない.また,心不全による入院をエンドポイントに設定したことは,新規の心不全の発症率を低く見積もることになると思われる.


結論: 降圧薬治療中における心電図上の左心肥大の指標であるコーネルの積の減少は,血圧の降下度や,治療方法,心不全発症の他のリスク因子とは関係なく,心不全による入院の減少と相関していた.


(翻訳:小川直美)

English Abstract