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(更新日 2008年6月2日)
Annals

Established in 1927 by the American College of Physicians
目次(TABLE OF CONTENTS)
20 May 2008 Volume 148 Issue 10
(監修:平和伸仁,総合監修:宇野久光)
英文のTable of Contentsはこちらをクリックしてください.

原著(Articles)
コントロール不良の高血圧を呈する糖尿病患者の治療方針決定における臨床的不確実性の役割
The Role of Clinical Uncertainty in Treatment Decisions for Diabetic Patients with Uncontrolled Blood Pressure
Eve A. Kerr, Brian J. Zikmund-Fisher, Mandi L. Klamerus, Usha Subramanian, Mary M. Hogan, and Timothy P. Hofer
臨床家は,患者の血圧が上昇した際に,降圧治療を強化できないことがしばしばある.Kerrと同僚らは,9つの退役軍人の医療施設にて,プライマリ・ケアの日常外来受診時に,血圧が高値であると選別された1169人の糖尿病患者を研究することによって,降圧療法を強化しない理由を探索した.家庭血圧値の報告や,外来受診中の血圧の再測定,降圧剤についての話し合いに関連して,半数の患者では降圧剤の増量はなかった.患者の真の血圧値に関する不確実性が,降圧治療を強化しないことに関与しているかもしれない.
(翻訳:小川直美)
1992年から2003年の間で,米国の一般住民と比較したHIV感染者での各種癌の発症頻度
Incidence of Types of Cancer among HIV-Infected Persons Compared with the General Population in the United States, 1992-2003
Pragna Patel, Debra L. Hanson, Patrick S. Sullivan, Richard M. Novak, Anne C. Moorman, Tony C. Tong, Scott D. Holmberg, John T. Brooks for the Adult and Adolescent Spectrum of Disease Project and HIV Outpatient Study Investigators
抗レトロウイルス療法によりHIV感染者の生存は劇的に改善し,そしてエイズ関連悪性腫瘍の発症頻度も低下した.しかし―直接的または間接的に―非エイズ関連悪性腫瘍は増加しているかもしれない.Patelと共同研究者らはHIV感染者と一般住民における癌の発症頻度を求めた.非エイズ関連悪性腫瘍のいくつかのタイプの発症頻度はHIV感染者において有意に高かった.
(翻訳:山内高弘)
計算能力と糖尿病コントロールの関連
Association of Numeracy and Diabetes Control
Kerri Cavanaugh, Mary Margaret Huizinga, Kenneth A. Wallston, Tebeb Gebretsadik, Ayumi Shintani, Dianne Davis, Rebecca Pratt Gregory, Lynn Fuchs, Robb Malone, Andrea Cherrington, Michael Pignone, Darren A. DeWalt, Tom A. Elasy, and Russell L. Rothman
糖尿病患者の自己管理に及ぼす,数字を扱う技能(いわゆる計算能力)の影響については知られていない.Cavanaughと同僚らは,1型および2型糖尿病患者398例に対して,数値の計算や解釈が必要な糖尿病ケアの課題遂行能力を調査した.数量的思考能力はおおむね不十分であり,糖尿病に関わる数値の判断が悪ければ,自己効力感が低く,糖尿病の自己管理行動も少なく,血糖管理の不良が推測される.
(翻訳:板東 浩)
医学と臨床(Academia and Clinic)
複合的系統的レビューにおける既存の系統的レビューの使用
Using Existing Systematic Reviews in Complex Systematic Reviews
Evelyn P. Whitlock, Jennifer S. Lin, Roger Chou, Paul Shekelle, and Karen A. Robinson
臨床上の疑問(例えば,前立腺癌のスクリーニングが癌関連死亡率を低下させるかどうか)に応える唯一の方法は,その疑問を関連する副次的な疑問(例えば,スクリーニングにより早期癌が発見できるかどうか,早期治療が死亡率に影響するかどうか)に分解することである.診療実地ガイドライン作成や健康政策の意思決定を支持するための系統的レビューは,しばしば,幾つかの関連する臨床上の疑問を評価しなければならない(複合的レビュー).複合的レビューに必要な作業を軽減するために,著者たちは既存の系統的レビューを用いることがよくある.Whitlockと同僚らは既存の系統的レビューを複合的レビューに統合することによって生じる方法論的問題点について議論する.
(翻訳:西川正憲)


総説(Reviews)
系統的レビュー:アスリートの身体能力における成長ホルモンの効果
Systematic Review: The Effects of Growth Hormone on Athletic Performance
Hau Liu, Dena M. Bravata, Ingram Olkin, Anne Friedlander, Vincent Liu, Brian Roberts, Eran Bendavid, Olga Saynina, Shelley R. Salpeter, Alan M. Garber, and Andrew R. Hoffman
アスリート達は身体能力向上のためにヒト成長ホルモンを使用していることが報告されているが,安全性ならびに能力向上の有効性についての見解はまだ得られていない.Liuと同僚らは,市中の13から45歳の健康な参加者を対象に,成長ホルモンを使用した場合としなかった場合の比較を行った44の研究のレビューを行った.脂肪を含まない体重増加は成長ホルモンを使用した参加者の群の方が多かったが,筋力と運動能力は改善しなかった. 成長ホルモンを使用した参加者は軟部組織の浮腫,ならびに疲労の出現頻度が高かった.著者らは,成長ホルモンの使用が身体能力向上につながるという主張を支持するエビデンスはないと結論づけた.
(翻訳:村松賢一)
診療ガイドライン(Clinical Guidelines)
妊娠糖尿病のスクリーニング: 米国予防医療サービス専門作業部会による勧告声明
Screening for Gestational Diabetes Mellitus: U.S. Preventive Services Task Force Recommendation Statement
U.S. Preventive Services Task Force
2003年勧告の今回のアップデートの中で,米国予防医療サービス専門作業部会は,妊娠24週以前でも妊娠24週以降でも,妊娠糖尿病をルーチンにスクリーニングすることの利害バランスを評価するには,現在得られているエビデンスは不十分であると結論付けている.
(翻訳:西川正憲)
妊娠糖尿病のスクリーニング: 米国予防医療サービス専門作業部会に対する系統的レビュー
Screening for Gestational Diabetes Mellitus: A Systematic Review for the U.S. Preventive Services Task Force
Teresa A. Hillier, Kimberly K. Vesco, Kathryn L. Pedula, Tracy L. Beil, Evelyn P. Whitlock, and David J. Pettitt
アップデートされる米国予防医療サービス専門作業部会による妊娠糖尿病のスクリーニングに関する勧告を裏付けるために,Hillierと同僚らは妊娠糖尿病のスクリーニングについての利点と欠点のエビデンスをレビューした.ランダム化比較試験によってリスクと利点を直接評価した研究はなかった.妊娠24週以降の治療で母体と新生児のアウトカムが一部改善したという限られたエビデンスがあり,また,妊娠24週以前の早期スクリーニングに関してのエビデンスはごく限られていた.
(翻訳:石田文宏)
論評(Editorials)
今こそ臨床的惰性を克服する時である
It's Time to Overcome Clinical Inertia
Lawrence S. Phillips and Jennifer G. Twombly
患者の血圧値が目標血圧値を越えていても,臨床医はしばしばさらなる降圧治療を行っていないー臨床的惰性と呼ばれる行為である.本号の論文を含めたAnnalsの最近の2編の論文で,血圧管理における臨床的惰性に寄与する要因の情報が提供されている.その研究によると,患者の真の血圧値についての臨床的不確実性が,15分間の診療時間内に注意を要する多くの併存病態よりも,臨床的惰性の原因として重要であることを示唆している.臨床医は,高血圧治療において彼らを指導する新たな理論的枠組みを必要とするであろうー今こそ臨床的惰性を克服する時である.
(翻訳:加藤秀章)


推論の科学と芸術:複合的系統的概観
The Science and Art of Deduction: Complex Systematic Overviews
John E. Cornell and Christine Laine
Annalsは,"複合的系統的概観(complex systematic overviews )" —エビデンスの基礎を構築するために ,以前の系統的レビューを利用する系統的レビュー— の論文頻度の上昇を経験してきている.過去の系統的レビューを使用することは今日の系統的レビューを生み出すために必要な時間を短縮しうるにも関わらず ,複合的な系統的概観は課題を生ずる.Cornell と Laineはこれらの課題について述べ,これらを克服するための提言をしている.
(翻訳:加藤秀章)


有利な合併掲載
An Advantageous Marriage
Harold C. Sox
本号は,多数の誠実な読者層を有する2つの出版物―Annals of Internal MedicineとACP Journal Club―の合併を特徴としている.本日から,ACP Journal Clubは,Annalsの月2回の出版のうち第2番目の出版号に掲載されることになる.
(翻訳:加藤秀章)


患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
一般住民との比較でみたHIV患者におけるがん,1992年から2003年の期間
Cancer in People with HIV Infection Compared with the General Population, 1992-2003
(翻訳:柳 秀高)
計算能力と糖尿病コントロールの関連
Association of Numeracy and Diabetes Control
(翻訳:石田真美子)
妊娠糖尿病のスクリーニング:米国予防医療サービス専門作業部会からの提言
Screening for Gestational Diabetes during Pregnancy: Recommendation from the U.S. Preventive Services Task Force
(翻訳:小河秀郎)
ACP  Journal Club ACP Journal Club
論評:ACP Journal Club:患者ケアのために最高のニューエビデンス
Editorial: ACP Journal Club: The Best New Evidence for Patient Care
総説:スタチンは冠動脈疾患をもった高齢者の全死亡率を下げる.
Review: Statins reduce all-cause mortality in elderly patients with coronary heart disease
テストステロンのサプリメントは高齢男性の認知力低下を予防しないし,骨ミネラル密度を増加させなかった.
Testosterone supplementation did not prevent cognitive decline or increase bone mineral density in older men
総説:関節リウマチにおいて個々の疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)は同様の効果を有するが,併用療法で治療反応性が改善する.
Review: Individual DMARDs have similar efficacy for rheumatoid arthritis, but combination therapy improves response
再発危険性が低い結腸・直腸癌の患者では,補助化学療法で生存率が改善した.
Adjuvant chemotherapy increased survival in colorectal cancer patients with low recurrence risk
総説:癌において,静脈血栓症・塞栓症の抗凝固療法の効果や予防効果のエビデンスは限られている.
Review: Evidence for the effectiveness of anticoagulation therapy or prophylaxis for VTE in cancer is limited
セツキシマブは他の治療法が無効の結腸・直腸癌患者において生存率を改善した.
Cetuximab improved overall survival in colorectal cancer patients in whom other treatments had failed
総説:重症患者においてコロイド液(デキストランやFFPなど)による輸液蘇生は晶質液(リンゲル液や生理食塩水)と比較して死亡率を減少させない.
Review: Fluid resuscitation with colloids does not reduce mortality more than crystalloids in critically ill patients
総説:食道静脈瘤の死亡率において内視鏡的静脈瘤結紮術とベータ遮断薬による一次予防効果は同様である.
Review: Primary prophylaxis with banding ligation or β-blockers does not differ for mortality in esophageal varices
中腕部筋囲長が小さい事と高ウェスト囲(腹囲)の両方をもち合わせる老年男性の死亡率は高かった.
The combination of low midarm muscle circumference and high waist circumference predicted higher mortality in older men
BMIと心肺機能(トレッドミル時間,分)は老人においての死亡率と関連があった.
BMI and cardiorespiratory fitness predicted mortality in older adults
中年女性においてBMIの上昇は癌発病率および死亡率の上昇と関連性があった.
Increasing BMI was associated with increasing risk for overall cancer incidence and mortality in middle-aged women
糸球体濾過率が45mL/min/1.73 m2未満で,微量アルブミンが陽性である場合は,心血管死のリスクが高かった.
Glomerular filtration rate < 45 mL/min/1.73 m2 with microalbuminuria was associated with increased risk for CV death
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用語集
Glossary
(翻訳:古田栄一)

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