Journals

原著(ARTICLE)
コントロール不良の高血圧を呈する糖尿病患者の治療方針決定における臨床的不確実性の役割
The Role of Clinical Uncertainty in Treatment Decisions for Diabetic Patients with Uncontrolled Blood Pressure
Eve A. Kerr, MD, MPH; Brian J. Zikmund-Fisher, PhD; Mandi L. Klamerus, MPH; Usha Subramanian, MD, MS; Mary M. Hogan, PhD, RN; and Timothy P. Hofer, MD, MS
20 May 2008 | Volume 148 Issue 10 | Pages 717-727
背景: 血圧上昇に対する適切な降圧治療の強化をしない要因について,今まで体系的に研究されたことはない.

目的: プライマリ・ケアの日常外来診療時に,血圧が高値である(140/90mmHg)と選別された糖尿病患者の診療過程を検証し,治療の変更が起きたかどうか,また,患者や医療提供者の特定の因子が治療の変更にどの程度関与しているかを評価した.

デザイン: 前向きコホート研究.

セッティング: 中西部の3つの州にある9つの退役軍人の医療施設.

対象: 2005年2月から2006年3月の間に,92人のプライマリ・ケア提供者のところへ外来受診予定があった1,169人の糖尿病患者.

測定: 高血圧の治療に変更(薬物療法の強化,または4週間以内の経過観察の予定)があった患者の割合.臨床上の不確実性,競合する要求や優先順位付け,血圧をコントロールする薬物に関連した要因を評価した変数を含む多重ロジスティックモデルから,治療変更の予測確率が計算された.

結果: 全体で573人(49%)の患者が,外来受診時に降圧治療の変更を受けた.以下の因子は,治療の変更を起こりにくくした: 医療提供者が再計測した血圧が140/90mmHg以下であったことと比較して,140/90mmHgかそれ以上もしくは記録が残っていないこと(13%対61% ; p<0.001); 患者が報告した家庭血圧値が140/90mmHg以下であったことに対して,140/90mmHg以上か自宅での血圧の記録がなかったこと(18%対52%; p=0.001); 医療提供者の収縮期血圧の目標が130mmHgより大きいことに対して130mmHgかそれ以下であること(33%対52%; p=0.002); 高血圧や糖尿病に関係のない事項についての話し合いがあったことに対して,話し合いが無かったこと(44%対55%; p=0.008); 薬物に関する話し合いがあったことに対して,話し合いがなかったこと(23%対55%; p<0.001) である.

研究の限界: この研究が糖尿病と高血圧に関するものであることを,医療提供者は知っていた.また,治療の変更については,一人の患者につき1回の外来受診のみ評価された.

結論: 十分に高い血圧を呈していると選別された糖尿病患者のうち,約50%が外来受診時に治療の変更を受けた.真の血圧値についての臨床上の不確実性が,医療提供者が治療を強化しなかった重要な理由であった.

(翻訳:小川直美)

English Abstract

▲このページのTOPへ