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患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
一般住民との比較でみたHIV患者におけるがん,1992年から2003年の期間
Cancer in People with HIV Infection Compared with the General Population, 1992-2003
20 May 2008 | Volume 148 Issue 10 | Page I-46
「患者さんへのまとめ」は ,患者さんが近代医学の複雑でしばしば迷わすような用語をよりよく理解することを助けるためにAnnals誌によって提供されるサービスです.

「患者さんへのまとめ」は情報を提供する目的だけのために提示されています.これらの「まとめ」はあなた自身のかかりつけ医からの助言の代わりとなるものではありません.もしあなたが,この題材について疑問を持ったり,あなた自身の健康あるいは状況についての医学的助言を必要とする場合は,あなたのかかりつけ医と連絡をとってください.「まとめ」は非営利的な教育目的のためだけに転載されても構いません.他の用途への使用については,米国内科学会(ACP)によって承認されなければなりません.

下記の「まとめ」は「1992年から2003年の間で,米国の一般住民と比較したHIV感染者での各種癌の発症頻度」というタイトルの論文からのものです.
何が問題であり,これまでにどのようなことが分かっていますか?
ヒト免疫不全症候群ウイルス(HIV)は後天性免疫不全症候群(エイズ)の原因です.この疾患は,体の感染症やある種のがんと闘う能力を阻害します.HIVは,ウイルスを含んだ血液やその他の体液との接触によって,ヒトからヒトへと感染します.治療方法がなかったころは,HIVに感染した多くの人々が感染症やある種のがんーそれは彼らがエイズであることを意味しましたが(エイズに特徴的な悪性腫瘍として知られる)―を発症し,またそのために死亡しました.カポジ肉腫,非ホジキンリンパ腫,進行子宮頸がんなどがエイズ関連悪性腫瘍の代表例です.

複数の薬剤を含む治療はHIVに感染した患者さんの予後を劇的に改善しました.これらの治療はHAART(高活性抗レトロウイルス療法)として知られています.HAARTによりHIVに感染した患者でエイズや感染症,またエイズに関連する悪性腫瘍を合併することは稀になりました.

この治療を受けたHIV感染者は,以前よりも長生きするようになったため,HIVと関係のない疾患のために死亡することもあります.ある研究によるとHIV感染者は一般住民と比較してエイズと関連のない種類のがんを発症する確率が高い可能性が示されています.

この研究の目的は何ですか?
HIVに感染した人々は,一般住民に比較してエイズ非関連悪性腫瘍を発症するリスクが高いかどうかを研究することです.

どのような人たちが試験の対象になっていますか?
1992年から2003年の間に行われたHIV 感染症の2つの研究のいづれかに参加した54,780人の患者さんです.一般住民におけるがんの頻度に関する情報を得るために研究者らはSEERと呼ばれるサーベイランス,疫学,予後に関するデータベースを用いました.SEERデータベースは米国内の13の地域でのがんに関する情報を含んでいます.

どのような研究がおこなわれましたか?
研究者らはHIV感染患者さんにおけるエイズ関連悪性腫瘍とその他のタイプのがんの頻度を,SEERデータベースでのこれらのがんの頻度と比較しました.

この研究からどのような結論が出ましたか?
エイズ関連悪性疾患腫瘍の患者はSEERデータベースの一般住民よりもHIV感染患者さんにより高頻度にみられました.非エイズ関連悪性疾患のうちのいくつかは,一般住民よりもHIV感染患者さんに多くみとめられました.これらには肛門,膣,肝臓,肺,口腔内,大腸,腎臓などのがん,とホジキンリンパ腫,白血病,メラノーマなどが含まれていました.前立腺がんは一般住民よりもHIV感染患者さんの頻度が低いことが分かりました.

この研究にはどのような限界がありますか?
研究者らは喫煙やがん予防策に関する情報を持っていませんでした.SEERデータベースに含まれる人の中にはHIV感染患者も含まれていたかもしれません.がんのタイプによっては,HIV感染患者さんと一般住民との間に頻度の差があるかどうか研究者らが確信をもって知ることはできないほど稀でした.

この研究の意義はどのようなものでしょうか?
非エイズ感染悪性腫瘍でも多くのがんは一般住民よりもHIV感染患者さんに高頻度に発生します.HIV感染患者さんとその主治医は,これらのタイプのがんの症状に注意するべきです.

(翻訳:柳 秀高)

English Abstract

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