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患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
妊娠糖尿病のスクリーニング:米国予防医療サービス専門作業部会からの提言
Screening for Gestational Diabetes during Pregnancy: Recommendation from the U.S. Preventive Services Task Force
20 May 2008 | Volume 148 Issue 10 | Page I-60
「患者さんへのまとめ」は ,患者さんが近代医学の複雑でしばしば迷わすような用語をよりよく理解することを助けるためにAnnals誌によって提供されるサービスです.

「患者さんへのまとめ」は情報を提供する目的だけのために提示されています.これらの「まとめ」はあなた自身のかかりつけ医からの助言の代わりとなるものではありません.もしあなたが,この題材について疑問を持ったり,あなた自身の健康あるいは状況についての医学的助言を必要とする場合は,あなたのかかりつけ医と連絡をとってください.「まとめ」は非営利的な教育目的のためだけに転載されても構いません.他の用途への使用については,米国内科学会(ACP)によって承認されなければなりません.

下記の「まとめ」は「妊娠糖尿病のスクリーニング: 米国予防医療サービス専門作業部会による勧告声明」と「妊娠糖尿病のスクリーニング: 米国予防医療サービス専門作業部会に対する系統的レビュー」というタイトルの論文からのものです.
誰がこのガイドラインを策定しましたか?
米国予防医療サービス専門作業部会(USPSTF)はこれまでに出版された研究内容をレビューし,予防的な健康ケアについての勧告を策定する健康問題の専門家集団です.

何が問題であり,これまでにどのようなことが分かっていますか?
妊娠中に糖尿病や異常な高血糖が生じた場合を妊娠糖尿病と呼びます.妊娠糖尿病の女性には,巨大児や分娩困難,死産といった合併症が生じる危険があります.体重過多,年齢25歳以上,糖尿病の家族歴がある女性では,特に妊娠糖尿病を生じる危険性が高くなります.

妊娠糖尿病の治療には,食事療法やインスリン治療が含まれます.もし妊婦が口渇や頻尿といった糖尿病様の症状を自覚した場合には,妊娠糖尿病が無いかどうかの検査を受ける必要があります.しかし,ほとんどの妊娠糖尿病女性には自覚症状がありませんので,医師の中には,自覚症状の有無にかかわらず妊娠24週前後で必ず妊娠糖尿病のチェックを行うべきであると考える人もいます.無症状の人に検査を行うことをスクリーニングといいます.

USPSTFは妊娠糖尿病のスクリーニングを受けた妊婦の方が,受けなかった妊婦より 妊娠出産の経過が良いのかどうかを調べました.

USPSTFはこの勧告をどのように策定しましたか?
著者らは妊娠糖尿病のスクリーニングの利害について調べた研究論文を詳しく検討しました.

著者らは何を見い出しましたか?
USPSTFは妊娠中に妊娠糖尿病をスクリーニングすることの有用性を示す十分な証拠はまだないということを発見しました.妊娠糖尿病の治療は巨大児が生まれる危険性を減らしますが,その他の利益があるかどうかについては十分な証拠は揃っていません.USPSTFの調査から,スクリーニングにより不安が生じることがわかりましたが,妊婦に長期的な精神的問題が生じるかどうかは不明です.また,スクリーニングの陽性結果はほとんどが偽陽性であることもわかりました.偽陽性とは,さらに詳しく検査をしてみると実際には妊娠糖尿病ではないことが判明することです.つまり,スクリーニングにより不必要な面倒,不安,検査,治療が生じるかもしれません.

USPSTFから,患者さんと医師が何をしたらいいか提案がありますか?
USPSTFはスクリーニングを行うかどうかは,巨大児ができる可能性が少なくなることやその他の不確実な利益と,不安や偽陽性といった不利益とのどちらを妊婦本人と医師とが重視するかにより選択されるべきであると勧告しています.妊婦は健康的な食事を摂り,運動を行い,医師の推奨する体重を超えないようにするべきです.

この勧告に関する注意点は何ですか?
新たな研究結果により,この勧告は変わることがあります.

(翻訳:小河秀郎)

English Abstract

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