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総説(Review)
系統的レビュー:アスリートの身体能力における成長ホルモンの効果
Systematic Review: The Effects of Growth Hormone on Athletic Performance
Hau Liu, MD, MBA, MPH; Dena M. Bravata, MD, MS; Ingram Olkin, PhD; Anne Friedlander, PhD; Vincent Liu, MD; Brian Roberts, MD; Eran Bendavid, MD, MPH; Olga Saynina, MA, MBA; Shelley R. Salpeter, MD; Alan M. Garber, MD, PhD; and Andrew R. Hoffman, MD
20 May 2008 | Volume 148 Issue 10 | Pages 747-758
背景: アスリートの身体能力向上のためにヒト成長ホルモンが使用されていると報告されている.しかし,安全性ならびに効果に関しては不明である.

目的: アスリートの能力向上における成長ホルモンの効果を,生理学的に健康な若者を対象に検討する.

情報源: MEDLINE, EMBASE, SPORTDiscus ならびにコクランデータベースなどから,1966年から2007年10月までに発表された英語論文を検索.

研究の選択: 市中の13歳から45歳の健康な参加者を対象に,成長ホルモンを使用した場合としなかった場合の比較を行った無作為化比較試験

データ抽出: 2人の著者が独立して論文ならびにアブストラクトをレビューした.

データ統合: 44の論文から得られた27の研究が基準を満たした.303人が成長ホルモンを使用し,全体で13.3人x年の治療が行われていた.参加者は若く[平均年齢27(SD, 3)],痩せており[平均のBMI値は242kg/m2(SD, 2)],生理学的に健康[平均の最大酸素摂取量は51ml/kg/分(SD, 8)]であった.成長ホルモンの使用量[平均36μg/kg per day(SD, 21)]や使用期間[成長ホルモンを2日以上投与した研究で平均20日(SD, 18)]は,さまざまであった.除脂肪体重は,成長ホルモンを使用した参加者の群の方が,使用しなかった群と比較してより増加した(増加は2.1kg,95%信頼区, 1.3-2.9 kg).しかし,筋力と運動能力の向上はみられないようであった.運動中の乳酸値を調査した3つの研究のうち2つの研究結果において,統計学的な優位をもって乳酸値が高かった.成長ホルモンを使用した参加者の方が,使用しなかった参加者に比べて,軟部組織の浮腫や疲労の出現頻度が高かった.

研究の限界: 身体機能を評価した研究はわずかであった.研究での成長ホルモンの使用プロトコールは,実社会で使用されている量や使用法を反映していない可能性がある.

結論: 成長ホルモンが身体能力を高めるという主張は,科学論文からは裏づけされなかった.一部のエビデンスによれば成長ホルモンは除脂肪体重を増やすことが示唆されているが,筋力の向上は認められないと考えられる.さらに,運動能力を悪化させたり副作用の発現が増えるとも考えられる.身体能力に対する成長ホルモンの効果を結論付けるには,さらなる研究が必要と考えられる.

(翻訳:村松賢一)

English Abstract

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