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(更新日 2008年6月16日)
Annals

Established in 1927 by the American College of Physicians
目次(TABLE OF CONTENTS)
3 June 2008 Volume 148 Issue 11
(監修:伊熊睦博,総合監修:石橋大海)
英文のTable of Contentsはこちらをクリックしてください.

原著(Articles)
集中治療部門における集中治療専門医による管理と患者死亡率との相関
Association between Critical Care Physician Management and Patient Mortality in the Intensive Care Unit
Mitchell M. Levy, John Rapoport, Stanley Lemeshow, Donald B. Chalfin, Gary Phillips, and Marion Danis
一部の病院では,集中治療部門(ICUs)に集中治療専門医だけを配置しているが,一方では集中治療ケアのためのトレーニングを受けていない医師の配置も認めている病院もある.Levyと同僚らは,合衆国の123ヶ所のICUの101,832名の患者において,集中治療専門医の管理を受けた患者が,そうでない医師に管理された患者と比べて,より重症で,より多くの診療行為が施され,高い病院内死亡率を呈していたことを見出した.死亡率は患者の重篤度を調整した後においても,集中治療専門医に管理された場合の方が高いものであった.この結果をもたらした理由については,さらなる検討が必要である.
(翻訳:小池竜司)
尿中リポカリン(neutrophil gelatinase-associated lipocalin)の救急部での単回測定による急性腎障害診断の感度と特異度
Sensitivity and Specificity of a Single Emergency Department Measurement of Urinary Neutrophil Gelatinase-Associated Lipocalin for Diagnosing Acute Kidney Injury
Thomas L. Nickolas, Matthew J. O'Rourke, Jun Yang, Meghan E. Sise, Pietro A. Canetta, Nicholas Barasch, Charles Buchen, Faris Khan, Kiyoshi Mori, James Giglio, Prasad Devarajan, and Jonathan Barasch
著者らは救急部を経て入院した患者635名の尿中リポカリン(neutrophil gelatinase-associated lipocalin:NGAL)濃度を測定した.尿中NGAL濃度を伏せた条件下で,彼らは患者が腎疾患を有するかどうか,及びその原因を特定した. 尿中NGALが130 μg/ g creatinine以上である場合,急性腎障害を来していることの特異的な所見となる事が,患者30名の検討で明らかとなった.
訳者注:急性腎障害は48時間以内の急激な血中クレアチニンの増加と定義される臨床的状態で,外傷や腎臓の機能的・構造的による異常から生じるものとされている.急性腎障害に関する次の総説を参照のこと.Nature Clinical Practice Nephrology(2007)3, 439-442.
(翻訳:田村功一)
日本の大阪における,1990年から2003年にかけての肝細胞癌発症の減少
Declining Incidence of Hepatocellular Carcinoma in Osaka, Japan, from 1990 to 2003
Hideo Tanaka, Yasuharu Imai, Naoki Hiramatsu, Yuri Ito, Kazuho Imanaka, Masahide Oshita, Taizo Hijioka, Kazuhiro Katayama, Iwao Yabuuchi, Harumasa Yoshihara, Atsuo Inoue, Michio Kato, Tetsuo Takehara, Shinji Tamura, Akinori Kasahara, Norio Hayashi, and Hideaki Tsukuma
田中らは,大阪(日本)での,C型肝炎ウィルス(HCV)に関連した肝細胞癌(HCC)が,HCC発症数に与えた変化について報告した.1981年から2003年の間では,HCC発症のピークはそれぞれ,50〜59歳の男性が1986年,60〜69歳の男性が1995年,70〜79歳が2000年であり,それぞれピークを迎えた後は,発症数の顕著な減少を認めた.女性においても同様の傾向を認めた.HCV関連HCCの発生率が減少したが,HCV関連のないHCCの発生率は変わらなかったことから,HCCの発生率の減少はHCVの有病率の減少に関連していることが示唆された.
(翻訳:井出広幸)
短報:現役および引退後の男性ボクサーにおける脳下垂体容積と機能
Brief Communication: Pituitary Volume and Function in Competing and Retired Male Boxers
Fatih Tanriverdi, Kursad Unluhizarci, Ismail Kocyigit, Ibrahim S. Tuna, Zuleyha Karaca, Ahmet C. Durak, Ahmet Selcuklu, Felipe F. Casanueva, and Fahrettin Kelestimur
61人の現役で活動中あるいは引退後のボクサーについてのこの横断研究において,成長ホルモン,副腎皮質刺激ホルモン欠乏症が一般人に比較して高率に認められた.引退した(長いボクサー歴を有する)ボクサーの半数近くが成長ホルモン欠乏症を来していた.ボクシングに従事する患者に対し,内科医は脳下垂体機能不全に注意を払うべきである.
(翻訳:大和田潔)
医学と臨床(Academia and Clinic)
内科臨床研修中の医師としての行動と,研修後の米国州政府医師免許委員会による懲罰
Performance during Internal Medicine Residency Training and Subsequent Disciplinary Action by State Licensing Boards
Maxine A. Papadakis, Gerald K. Arnold, Linda L. Blank, Eric S. Holmboe, and Rebecca S. Lipner
臨床研修中の医師としての職業倫理に反する行動を評価することで,臨床医の研修後の職業倫理に反する行動を予測できるかどうかは分かっていない.米国の66,161人の内科研修医において,研修中の医師としてのプロフェッショナリズムの段階評価が低いことと,将来懲罰の対象となるリスクが増大することとが相関した.一方,米国内科専門医資格認定試験の好成績とそのリスクの減少とが相関した.しかし実際のところ,臨床医がその生涯で懲罰を受ける可能性は低く,懲罰対象のリスクが高い研修医のほとんどは米国州政府医師免許委員会から処罰されないだろう.
(翻訳:吉田直之)


総説(Reviews)
メタ解析: 無症状の甲状腺機能不全と冠動脈疾患および死亡についての危険度
Meta-analysis: Subclinical Thyroid Dysfunction and the Risk for Coronary Heart Disease and Mortality
Nicolas Ochs, Reto Auer, Douglas C. Bauer, David Nanchen, Jacobijn Gussekloo, Jacques Cornuz, and Nicolas Rodondi
著者らは,無症状の甲状腺機能不全が冠動脈疾患および死亡についての危険度を増加させるかどうか確定するために,系統的に12の前向きコホート研究をレビューした. 無症状の甲状腺機能低下症と甲状腺機能亢進症の両方が,冠動脈疾患および死亡についての危険度増加に関連しているかもしれない.
しかしながら,推定された危険度は不正確で,そして,より高い質の研究により,無症状の甲状腺機能低下症は,より低い危険度と関連していることを明らかにした. 増加する危険度が現実のもので,臨床的に重要であるかどうかは,無症状の甲状腺機能不全に対する治療の無作為化偽薬比較試験によりのみ,決定されるであろう.
(翻訳:小野広一)
診療ガイドライン(Clinical Guidelines)
成人の2型糖尿病のスクリーニング:米国予防医療サービス専門作業部会の勧告
Screening for Type 2 Diabetes Mellitus in Adults: U.S. Preventive Services Task Force Recommendation Statement
U.S. Preventive Services Task Force
米国予防医療サービス専門作業部会(USPSTF)は,治療または無治療にかかわらず,持続的に血圧が135/80mmHg以上ある無症候性の成人2型糖尿病に対するスクリーニングを勧告している.
(翻訳:土谷昌信)
2型糖尿病に対する成人のスクリーニング:米国予防医療サービス専門作業部会のためのエビデンスのレビュー
Screening Adults for Type 2 Diabetes: A Review of the Evidence for the U.S. Preventive Services Task Force
Susan L. Norris, Devan Kansagara, Christina Bougatsos, and Rongwei Fu
この問題についてのUSPSTFの勧告を支持するために,Norrisらは,プライマリ・ケアで2型糖尿病について成人をスクリーニングすることについての潜在的な恩恵と損害についてのエビデンスをレビューしている.我々に欠如しているのは,2型糖尿病を標的とした早期発見や集団レベルのスクリーニングが健康を改善するという直接的,間接的なエビデンスである.高血圧の人たちではスクリーニングに恩恵がある.厳格な生活習慣や薬物療法による介入は,耐糖能異常から糖尿病への進行を減少させるが,これらの介入による健康の転帰についての長期効果については知られていない.
(翻訳:鈴木克典)
論評(Editorials)
集中治療専門医は‘安全’か?
Are Intensivists Safe?
Gordon D. Rubenfeld and Derek C. Angus
この号では,Levyと同僚らはICUのスタッフ形態が死亡率におよぼす影響を探索した.彼らの結果は,「集中治療専門医が従事するICUはアウトカムを改善する」という従来の主張に反駁するのみならず,集中治療専門医は実は害をもたらしているのではないかという可能性を浮かび上がらせた.しかし,集中治療専門医を擁したICUが死亡率を低下させるというエビデンスは強固で一貫しており,ケアがより‘高用量’であれば更なる利得がもたらされると考えられる.にもかかわらず,Levyらのデータは,救命救急診療をいかに改善するかを考える,またとない機会を提供している.
(翻訳:紺谷 真)


不顕性甲状腺機能異常における心血管系の帰結:煙は増えたが,火元は見つからずル
Cardiovascular Consequences of Subclinical Thyroid Dysfunction: More Smoke but No Fire
Paul W. Ladenson
この号では,Ochsと同僚らは,甲状腺機能異常が冠動脈疾患イベントや死亡率を増加させるか否かを検討した住民基盤コホート研究のメタ解析を報告した.不顕性甲状腺機能低下はわずかにリスクを増加させた.相対的危険率は若年成人の方が高齢成人に比べて大きく見えたが,最近の研究では甲状腺刺激ホルモンの真の正常上限値は加齢と共に変化するとの議論がある.不顕性甲状腺機能低下に対するサイロキシン治療の,適切な検出力を持った,前向き無作為二重盲検介入比較試験が必要である.
(翻訳:紺谷 真)


患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
成人の2型糖尿病のスクリーニング:米国予防医療サービス専門作業部会の勧告
Screening for Type 2 Diabetes in Adults: U.S. Preventive Services Task Force Recommendations
(翻訳:秋山真一郎)
クリニックにて(In the Clinic)
C型肝炎
Hepatitis C
本稿はC型肝炎の臨床的な一般論について,その予防,診断,治療,医療の改善,および患者への情報提供に焦点を当てて論じている.
(翻訳:井上直紀)
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