Journals

(更新日 2008年6月30日)
Annals

Established in 1927 by the American College of Physicians
目次(TABLE OF CONTENTS)
17 June 2008 Volume 148 Issue 12
(監修:林 正樹,総合監修:川村光信)
英文のTable of Contentsはこちらをクリックしてください.

原著(Articles)
55歳以上の患者におけるHIVスクリーニングの費用対効果
Cost-Effectiveness of HIV Screening in Patients Older than 55 Years of Age
Gillian D. Sanders, Ahmed M. Bayoumi, Mark Holodniy, and Douglas K. Owens
多くの年長者がHIV感染に罹患するが,国のガイドラインでは13歳から64歳までの人のみにスクリーニングが勧められている.Sandersと同僚らは,決定モデルを使用し,55歳から75歳の患者におけるHIVスクリーニングの費用と有用性について検証した.スクリーニングはHIVの有病率が0.1%以上で,カウンセリングのプロセスも合理化され,対象にリスクのあるパートナーがいる場合は費用対効果がかなり良かった.この情報は年長者にスクリーニングを広げることの推奨案を作る際,決定のための情報として利用されるべきである.
(翻訳:林 正樹)
コーヒー摂取と死亡の関連性
The Relationship of Coffee Consumption with Mortality
Esther Lopez-Garcia, Rob M. van Dam, Tricia Y. Li, Fernando Rodriguez-Artalejo, and Frank B. Hu
コーヒー摂取と様々な疾患の関連を調べた研究は幾つか存在するが,すべての原因を含む死亡との関連性は定かではない.この研究では,コーヒー摂取やその他の行動および健康状態に関するデータを2〜4年毎に約20年にわたり提供した男女のコホートを追跡したものである.コーヒー摂取量の増加は高い死亡率と関連しておらず,低い総死亡および心血管障害による死亡率と関連性がある可能性があるが,更なる研究が必要である.
(翻訳:石黒 洋)
プライマリ・ケア診療の受診に関するオープンアクセススケジューリングの実行:一つの教訓的な話
Implementing Open-Access Scheduling of Visits in Primary Care Practices: A Cautionary Tale
Ateev Mehrotra, Lori Keehl-Markowitz, and John Z. Ayanian
Mehrotraと同僚らは,患者の希望かそれに近い予約を受けられるという,オープンアクセススケジューリングを実行した6つのプライマリ・ケア診療所を手助けした.そのうち5つで,実際に予約の待ち時間が短縮された.しかしいずれも,一貫して同日アクセスは実施されず,短縮された待ち時間の維持もできなかった.患者およびスタッフの満足度は変わらず,非受診率も同じであった.診療所による違いが大きすぎ,導入前後の平均待ち時間の変化を測定することは出来なかった.
(翻訳:前田正彦)
総説(Reviews)
メタ解析:初回治療患者においてヘリコバクター・ピロリ菌に対する順次投与療法は標準療法より優れているようである
Meta-analysis: Sequential Therapy Appears Superior to Standard Therapy for Helicobacter pylori Infection in Patients Naive to Treatment
Nadim S. Jafri, Carlton A. Hornung, and Colin W. Howden
抗生物質の順次投与で,ヘリコバクター・ピロリの除菌治療の有効性が低下していくことを克服できるかもしれない.Jafriと同僚らはレビューとメタ解析において,ヘリコバクター・ピロリの順次的治療と標準的3剤併用療法を比較した.10の臨床試験において,エビデンスは一貫して標準的3剤併用療法より順次投与療法が優れていることを示していた.しかしながら,ほとんどの臨床試験は1か国(イタリア)で実施され,1つは小児のみを対象としていて,研究者らはパブリケーションバイアスに関する強いエビデンスを見いだしていた.
(翻訳:渡邊清高)
国立衛生研究所(NIH)カンファレンス(NIH Conferences)
国立衛生研究所の合意形成カンファレンスの発表:鎌状赤血球症に対するハイドロキシウレア治療
National Institutes of Health Consensus Development Conference Statement: Hydroxyurea Treatment for Sickle Cell Disease
Otis W. Brawley, Llewellyn J. Cornelius, Linda R. Edwards, Vanessa Northington Gamble, Bettye L. Green, Charles Inturrisi, Andra H. James, Danielle Laraque, Magda Mendez, Carolyn J. Montoya, Brad H. Pollock, Lawrence Robinson, Aaron P. Scholnik, and Melissa Schori
ハイドロキシウレアは鎌状赤血球症(米国で5万人から10万人の患者がいる遺伝性血液疾患)の患者の一部に効果をもたらしているが,その使用に関するいくつかの問題は解決されていない.この問題をさらに詳しく検証するため,National Heart, Lung, and Blood Institute(NHLBI)と国立衛生研究所の医学研究適応オフィスが合意形成カンファレンスを開き,得られている科学的エビデンスを評価した.この論文はそのエビデンスに関する主要な疑問に答える.
(翻訳:林 正樹)


系統的レビュー:成人の鎌状赤血球症に対する治療としてのハイドロキシウレア
Systematic Review: Hydroxyurea for the Treatment of Adults with Sickle Cell Disease
Sophie Lanzkron, John J. Strouse, Renee Wilson, Mary Catherine Beach, Carlton Haywood, HaeSong Park, Catherine Witkop, Eric B. Bass, and Jodi B. Segal
Lanzkronと同僚らは,成人の鎌状赤血球症を治療するために用いるハイドロキシウレアの薬効,有効性,毒性についてのエビデンスを作成した.彼らは,ハイドロキシウレアが鎌状赤血球症の成人において胎児型ヘモグロビンを増加させ,疼痛発作,受診日数,輸血の頻度を減少させるということを見出した.彼らはまた,入院,脳卒中,疼痛発作,急性胸部症候群,死亡などのアウトカムに関するハイドロキシウレアの効果についてのエビデンスははるかに少ないことを見出した.限られたエビデンスではあるが,鎌状赤血球症のハイドロキシウレア治療は白血病や下肢潰瘍とは関連していないことが示唆された.皮膚腫瘍のリスクを評価するには十分なエビデンスがなかった.
(翻訳:増田浩三)
意見書(Position Papers)
費用対効果に関する情報:全国比較効果プログラムでの作成が必須
Information on Cost-Effectiveness: An Essential Product of a National Comparative Effectiveness Program
American College of Physicians
米国内科学会はこのほど,ヘルスケア介入をする際の比較効果について情報を増加させる必要性を強調し,臨床および費用対効果の比較情報の両方について優先順位をつけたり,出資したり,あるいは公表したりするために,適切に資金を受けられる,信頼に足る国立団体の設立を提言した.この論文では,費用対効果に関する情報を作成するための団体案の必要性を強調している.ここでは,米国において費用対効果を作成し使用することが現在あまり浸透していない点を考察し,ヘルスケアへの投資家すべてに対するこの情報の重要性について論じ,そしてこの情報の普及と使用の仕方について提言している.
(翻訳:小山雄太)


論評(Editorials)
ヘリコバクター・ピロリに対する順次投与療法:患者さんのための価値ある取り組み
Sequential Therapy for Helicobacter pylori: A Worthwhile Effort for Your Patients
Barry Marshall
ヘリコバクター・ピロリに対する順次投与療法では,一度に4剤すべてを投与するのではなく,より多くの抗生剤が順々に治療計画に則って追加される.この号で,Jafriと同僚らの順次投与療法に関する臨床研究のメタ解析により,ヘリコバクター・ピロリの順次投与療法の有効性が説得力を持って裏付けられている.Marshallはなぜ,この治療戦略が意味をなすかいくつかの理由を述べている.
(翻訳:澤木秀明)


値段の書いていないメニュー
A Menu without Prices
Alan M. Garber
今回,ACPの意見として,費用対効果分析をあらゆる臨床効果研究に関連付けるべきであるということが論じられているが,Garberはそれに対するコメントとして,比較効果研究がいかにして情報の不足を補えるかを論じている.
(翻訳:安藤聡一郎)


費用対効果の情報:確かに重要だ,しかしそれは切り離して考えてほしい!
Cost-Effectiveness Information: Yes, It's Important, but Keep It Separate, Please!
Gail R. Wilensky
学会の意見書に対して,Wilenskyは(医療費を賢く使う方策を見出すために費用対効果の情報を利用するべきであるという点は大筋で賛同しているものの),比較臨床効果分析と費用対効果分析とは互いに切り離すことが極めて重要であると主張している.
(翻訳:安藤聡一郎)


患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
コーヒー摂取と死亡の関連性
The Relationship of Coffee Drinking and Death
(翻訳:吉田 博)
ACP  Journal Club(ACP Journal Club)
論評:患者個々人を対象にしたエビデンスに基づく医療
パート1:臨床医は個人にあった最適なケアを決定するにあたり,どのように研究結果を利用できるか.

Editorial: Evidence-based medicine targets the indivudual patient. Part 1: How clinicians can use study results to determine optimum individual care
レビュー:脳卒中で入院した患者において,組織化されたストロークユニットでのケアは,他のケア形態に比べて,死亡率が減少した.
Review: Organized stroke unit care reduces mortality more than other forms of care in patients hospitalized with stroke
インスリン強化療法とHydroxy-Ethyl-Starch (HES 200/0.5)は,重篤な敗血症に対して,リスクがあり,明らかな利益はみられなかった.
Intensive insulin therapy and starch (HES 200/0.5) had some risk and no clear benefit in severe sepsis
自発呼吸とともに自発覚醒の試行を加えることは,人工呼吸からの離脱を改善する.
Spontaneous awakening trials added to spontaneous breathing trials improved weaning from mechanical ventilation
低用量のヒドロコルチゾンは,敗血症性ショックの患者の生存率を改善しなかったが,ショックからの回復を早めた.
Low-dose hydrocortisone did not improve survival in patients with septic shock but reversed shock earlier
レビュー:エポエチンとダルベポエチンは,癌患者において輸血の必要性を減らしたが,血栓のリスクを高めた.
Review: Epoetin and darbepoetin reduce need for blood transfusions but increase risk for thrombosis in patients with cancer
レビュー:レニン・アンギオテンシン阻害剤の併用療法は,腎臓病患者において,単剤による治療よりも,蛋白尿を減らした.
Review: Combination therapy with renin-angiotensin inhibitors reduces proteinuria more than single drugs alone in renal disease
レビュー:Azathioprine, infliximab, certolizumab, adalimumabは,クローン病の緩解維持に有効であった.
Review: Azathioprine, infliximab, certolizumab, and adalimumab are effective for maintaining remission in Crohn disease
肺塞栓の除外診断において,CT肺血管造影は,肺換気血流スキャンに劣らなかった.
CT pulmonary angiography was not inferior to ventilation-perfusion lung scanning for ruling out pulmonary embolism
レビュー:精神科以外の内科医は,うつ病の認識において,正確性が低い.
Review: Nonpsychiatric physicians have low accuracy for recognizing depression
脳卒中のリスクは,一過性脳虚血発作の,2,30,90日後に高い.
Review: Risk for stroke is high at 2, 30, and 90 days after transient ischemic attack
Thiazolidinedionesは,2型糖尿病の高齢者において,心不全,心筋梗塞,死亡のリスクを上げる.
Thiazolidinediones increased risk for heart failure, myocardial infarction, and death in older patients with type 2 diabetes
心電図が正常所見の冠動脈疾患が疑われる患者において,臨床,運動変数に基づくノモグラムは,死亡率を予測した.
In patients with suspected CAD and normal ECG, a nomogram model based on clinical and exercise variables predicted mortality
注目される他の文献
Other Articles Noted
用語集
Glossary
(翻訳:市堰 肇)

Annals Home Page

▲このページのTOPへ