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原著(ARTICLE)
末梢動脈疾患を有する患者における短期の死亡率予測因子としての炎症および血栓症のバイオマーカー:コホート研究
Biomarkers of Inflammation and Thrombosis as Predictors of Near-Term Mortality in Patients with Peripheral Arterial Disease: A Cohort Study
Himabindu Vidula, MD; Lu Tian, ScD; Kiang Liu, PhD; Michael H. Criqui, MD, MPH; Luigi Ferrucci, MD, PhD; William H. Pearce, MD; Philip Greenland, MD; David Green, MD, PhD; Jin Tan, MS; Daniel B. Garside, BS; Jack Guralnik, MD, PhD; Paul M Ridker, MD; Nader Rifai, PhD; and Mary M. McDermott, MD
15 January 2008 | Volume 148 Issue 2 | Pages 85-93
背景: 従来の動脈硬化危険因子は,長期の心血管疾患イベントを予測したが,短期のイベントに対しては良い予測指標ではなかった.

目的: D-ダイマーおよび炎症性バイオマーカーの上昇が,下肢の末梢動脈疾患を有する患者の長期よりも短期の死亡率とより密接に関連しているかどうか,より高度のバイオマーカーの上昇が,2年以降よりもはじめの1年間の高死亡率と関連しているかどうかについて検討する.

研究デザイン: 平均3.4年の追跡をした前向きコホート研究

セッティング: 専門医療センター

患者: 末梢動脈疾患を有する男女377名

測定: バイオマーカーが測定された後,1年以内,1年から2年,2年から3年の間の死亡率を調査した.バイオマーカー値およびバイオマーカーの変化と,心血管死および全死亡の関係をコックス回帰分析にて解析した.バイオマーカー値のlog1.5が1単位増えることに対するハザード比が計算された.解析では,年齢,性別,人種,合併症,足関節上腕血圧比および他の交絡因子を調整した.

結果: 追跡期間中に76名(20%)の患者が死亡した.D-ダイマー,CRP,血清アミロイドAの高値は,バイオマーカー測定後1年以内の全死亡と関連し(ハザード比, 1.20 [ 95%信頼区間(CI), 1.08-1.33], 1.13 [ CI, 1.05-1.21], 1.12 [CI, 1.04-1.20], それぞれp<0.001, p<0.001, p=0.003),バイオマーカー測定後1年から2年での死亡とも関連した(ハザード比, 1.14 [ CI, 1.02-1.27], 1.15 [CI, 1.06-1.24], 1.13 [CI, 1.04-1.24], それぞれ p=0.022, p=0.001, p=0.005).しかし,バイオマーカー測定後2年から3年後では,それぞれのバイオマーカーが高値であることと全死亡には関連を認めなかった.同様の結果は,心血管死亡率についても認められた.それぞれのバイオマーカー値がより上昇すると,その翌年には全死亡および心血管死亡が増加した.

研究の限界: 死亡数が少ないため,解析の統計学的パワーに限界がある。

結論: 末梢動脈疾患を有する患者において,死亡前1-2年以内の循環血液中のD-ダイマー・炎症性マーカー値は,死亡の2年以上前の値より高値を示す.Dダイマーや炎症性バイオマーカーの値が上昇することは,末梢動脈疾患患者の高死亡率と独立して関連する.

(翻訳:平和伸仁)

English Abstract

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