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原著(ARTICLE)
鎌状赤血球症を有する成人における日々の疼痛評価
Daily Assessment of Pain in Adults with Sickle Cell Disease
Wally R. Smith, MD; Lynne T. Penberthy, MD, MPH; Viktor E. Bovbjerg, PhD, MPH; Donna K. McClish, PhD; John D. Roberts, MD; Bassam Dahman, MS; Imoigele P. Aisiku, MD, MSCR; James L. Levenson, MD; and Susan D. Roseff, MD
15 January 2008 | Volume 148 Issue 2 | Pages 94-101
背景: 鎌状赤血球症の研究者たちは,伝統的に,疼痛やその原因である血管閉塞を調べる代わりに医療施設の受診頻度を使用してきた.しかしながら,医療機関を受診することが疼痛の自己報告や急性疼痛発作(クリーゼ)の頻度を完全に反映するわけではないと思われる.

目的: 鎌状赤血球症の成人において,自己報告による疼痛の頻度を調べるとともに,疼痛およびクリーゼと受診との間の関係を調べること.

研究デザイン: 前向きコホート研究

セッティング: バージニア州内の医学研究センターおよび地域診療所

患者: 鎌状赤血球症を有する16歳以上の232名の患者

測定: 患者には6ヵ月にわたって毎日日記を付けてもらい,最大の疼痛の程度(0から9までのスケールを用いて),急性疼痛発作(クリーゼ)があったかどうか(クリーゼ日),およびその前日に疼痛のために病院・救急外来・予約外の診療所受診をしたかどうか(受診日)を記録してもらった.集約尺度には,平均疼痛強度に加えて,疼痛日・クリーゼ日・受診日の単純比率と調整確率(患者内の繰り返し測定のため)の両方が含まれていた.

結果: 疼痛は(クリーゼや医療機関受診の有無にかかわらず),分析した31,017患者・日の54.5%で報告された(調整確率では56%).医療機関受診のないクリーゼは12.7%で報告されており,受診は(クリーゼの有無にかかわらず)3.5%で報告されているのみであった(非調整).日記を付けた日の95%以上において疼痛があったと報告した患者は全体の29.3%に及んだが,一方5%以下であった患者は14.2%のみであった(調整確率).家庭で麻薬系鎮痛薬を使用する頻度はさまざまであったが,疼痛・クリーゼ・受診に関する独立した予測因子となっていた.クリーゼ日・非クリーゼ疼痛日・全疼痛日における平均疼痛強度は,疼痛日の割合が高くなるにつれて上昇していた(P<0.001).疼痛強度は受診日において有意に高かったが(P<0.001),疼痛強度がコントロールされた後では,受診がクリーゼの独立した予測因子とはなっていなかった.

研究の限界: この研究は単一の州で行われた.すべての患者が日記を提出してくれたわけではない.

結論: 鎌状赤血球症を有する成人において疼痛が起こることは例外的なことではなくて一般的なことであり,過去の大規模研究で示されているよりもはるかに高頻度で,程度も高度である.たいていの場合は自宅で対処されているため,おそらくその頻度は医療従事者によって過小評価されているものと思われる.このことが誤った分類をしたり,コミュニケーションにひずみが生まれたり,治療が過小になったりといった結果につながっているものと考えられる.

(翻訳:増田浩三)

English Abstract

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