Journals

患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
鎌状赤血球症患者における疼痛とヘルスケア受診
Pain and Health Care Visits in Patients with Sickle Cell Disease
15 January 2008 | Volume 148 Issue 2 | Page I-36
「患者さんへのまとめ」は ,患者さんが近代医学の複雑でしばしば迷わすような用語をよりよく理解することを助けるためにAnnals誌によって提供されるサービスです.

「患者さんへのまとめ」は情報を提供する目的だけのために提示されています.これらの「まとめ」はあなた自身のかかりつけ医からの助言の代わりとなるものではありません.もしあなたが,この題材について疑問を持ったり,あなた自身の健康あるいは状況についての医学的助言を必要とする場合は,あなたのかかりつけ医と連絡をとってください.「まとめ」は非営利的な教育目的のためだけに転載されても構いません.他の用途への使用については,米国内科学会(ACP)によって承認されなければなりません.

下記の「まとめ」は「鎌状赤血球症を有する成人における日々の疼痛評価」というタイトルの論文からのものです.
何が問題であり,これまでにどのようなことが分かっていますか?
ヘモグロビンの異常により引き起こされる鎌状赤血球症(鎌状赤血球貧血としても知られている)は遺伝性貧血症です.ヘモグロビンは赤血球内にある物質であり,酸素を運搬します.ヘモグロビンの異常により,赤血球の形態は球状から鎌状となり,酸素の運搬能が低下します.そのような鎌状赤血球は毛細血管の内腔で凝集し,体の組織への血液の供給を遮断します.その結果,影響を受けたほとんどすべての体の部位への短期的・長期的な障害を生じ,さらに強い疼痛を引き起こします.細胞は分解されて,重篤な貧血(赤血球数の減少)も引き起こします.感染やストレス,運動,脱水,(海抜)高地,気温の変化および麻酔が赤血球の鎌状化の引き金となり,痛みをともなう「クリーゼ」を引き起こす可能性があります.
従来,鎌状赤血球性クリーゼにおちいった患者を診察してきた診療所,救急外来および病院は,痛みがそれほどひどいのは自宅で内服した鎮痛剤が十分な量でなかったからだと考えていました.医師たちはこれまでの研究から,患者自身によって自宅で管理されていた痛みの出現はまれであり,それほど重篤でなかったと仮定していました.

なぜ研究者らはこの特色のある検討を行ったのでしょうか?
鎌状赤血球症の患者さんが日々経験する疼痛の経験を明らかにし,患者さんが「疼痛クリーゼ」と呼ぶものの頻度を知り,そして患者さんがどのくらいの頻度で痛みのために診療所や救急外来,病院を訪れるのかを知るために行いました.

どのような人たちが試験の対象になっていますか?
16歳以上の鎌状赤血球症の患者さん232例です.すべての患者さんが地域の診療所やバージニア州立大学や東バージニア医科大学の鎌状赤血球症の専門家で治療を受けていました.

どのような研究がおこなわれましたか?
研究者らは以下の情報について6か月間,毎日日記に記載するように患者さんにお願いしました.24時間以内に経験したもっともひどい鎌状赤血球症に関連した痛みについて,0(なし)から9(我慢できない)のスケールで記載し,患者さんがクリーゼに陥っていると考えたか,鎮痛剤を内服したかもしくは痛みのために診療所や救急外来,病院を受診したかを記載してもらいました.

この研究からどのような結論がでましたか?
25%以上の患者さんが100日のうち95日で鎌状赤血球症に関連した痛みを経験していました.一般的に鎌状赤血球症に関連した痛みは医師がこれまで報告していた以上に頻度は多く,そして重篤でした.しかし,患者さんは本当に時々しかその痛みをクリーゼだといわず,たとえクリーゼだと思ってもほとんどの場合,家庭で自己管理していました.

この研究にはどのような限界がありますか?
この研究ではなぜ鎌状赤血球症による疼痛がそれほどまでに高頻度で,強いのか調べていません.医者と患者が鎌状赤血球症による疼痛をより良く管理するための手助けであると理解してください.

この研究の意義はどのようなものでしょうか?
鎌状赤血球症患者は,これまでに考えられていた以上に頻繁に疼痛を経験し,そして痛みのある多くの日でヘルスケアを受けようとしていませんでした.

(翻訳:廣井直樹)

English Abstract

▲このページのTOPへ