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診療ガイドライン(Clinical Guidelines)
終末期における緩和ケア改善のためのエビデンス:系統的レビュー
Evidence for Improving Palliative Care at the End of Life: A Systematic Review
Karl A. Lorenz, MD, MSHS; Joanne Lynn, MD, MA, MS; Sydney M. Dy, MD; Lisa R. Shugarman, PhD; Anne Wilkinson, MS, PhD; Richard A. Mularski, MD, MSHS, MCR; Sally C. Morton, PhD; Ronda G. Hughes, RN, MHS, PhD; Lara K. Hilton, BA; Margaret Maglione, PhD; Shannon L. Rhodes, MS; Cony Rolon, BA; Virginia C. Sun, BS, MSN; and Paul G. Shekelle, MD, PhD
15 January 2008 | Volume 148 Issue 2 | Pages 147-159
背景: 多くの患者とその家族は,人生晩年の重篤な慢性疾患の負担を抱えている.いかにQOLを最善に保つかは,そのケアの重要事項である.

目的: 緩和ケアおよび終末期ケア改善のための介入に関するエビデンスを評価する.

情報源: 1990年1月から2005年11月までのMEDLINE,the Database of Abstracts of Reviews of Effects(DARE; 効果レビューの要旨データベース) に掲載された英文文献,緩和ケアの質に関する国家プロジェクトの文献目録,そして2005年11月から2007年1月までの専門家の最新レビューと文献調査したものを情報源とした.

(訳者註:DARE: コクランライブラリーのブラウザの1つ.世界中で行われた系統的レビューの構造化抄録が含まれており,The National Health Services’ Centre for Reviews and Disseminationのレビューアーによって評価されたもの.最低品質基準を満たすレビューのみがDAREに掲載される)

研究の選択: 終末期を対象とした系統的レビューすなわち末期的疾患(例えば進行癌),最終的に死に至る慢性疾患で予後が不明瞭なもの(例えば進行期認知症),疼痛や呼吸困難,抑うつ,ケアプラン策定,継続性,介護に関する介入試験(無作為化と非無作為化デザイン)を選択した.

データ抽出: 24423の記事から6381の関連ある要旨と1274の記事を詳細にレビューし,33の質の高い系統的レビューと89の関連する介入試験を取り上げた.これらを推奨,評価,発展性による分類(GRADE)を用いて統合した.

データ統合: 癌性疼痛に対するオピオイド,非ステロイド性鎮痛剤,放射線核種そして放射線照射,慢性肺疾患による呼吸困難に対する短期間のオピオイド,癌に伴う抑うつに対する精神療法,三環系抗うつ薬,選択的セロトニン再取り込み阻害薬は,強いエビデンスで支持されている.多方面からの介入による心不全の継続的な改善も強いエビデンスがある.重大な決定を行う際に関わる熟練した介護職によるケアプラン策定,介護士の負担軽減については中等度エビデンスがある.癌に伴う呼吸困難マネージメントは弱いエビデンスであり,非癌性疼痛,重度心不全に伴う症候性呼吸困難のマネージメント,あるいは末期疾患における短時間作用型抗うつ薬はエビデンスがなかった.認知症患者への継続的な改善に関しては直接的なエビデンスがなかった.癌における介護士負担の改善のエビデンスは弱く,心不全における介護士負担軽減のエビデンスはなかった.

研究の限界: 進行期慢性疾患の検索の差異や,終末期に関する差異が,包括的な検索を限られたものとしており,その多様性が大きすぎるためにメタ解析は困難である.

結論: 介入により終末期ケアの重篤な状況を改善しうることには中等度から高度のエビデンスがある.更なる研究がこれらの効果を定量化し,人生晩期におけるこの知見を一般化しうる.多くの重要な問題は質の高いエビデンスを欠いていた.

(翻訳:加藤哲朗)

English Abstract

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