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(更新日 2008年2月18日)
Annals

Established in 1927 by the American College of Physicians
目次(TABLE OF CONTENTS)
5 February 2008 Volume 148 Issue 3
(監修:吉田直之,総合監修:川村光信)
英文のTable of Contentsはこちらをクリックしてください.

原著(Articles)
薬剤使用量と費用に対するメディケアパートD処方薬剤給付の影響
The Effect of the Medicare Part D Prescription Benefit on Drug Utilization and Expenditures
Wesley Yin, Anirban Basu, James X. Zhang, Atonu Rabbani, David O. Meltzer, and G. Caleb Alexander
著者らは,無作為に抽出した薬局の利用者の処方を解析し,メディケアパートDの外来処方薬剤給付プログラムによる,薬剤の使用量と自己負担額の変化を評価した.登録期間中は,パートDの受給資格者の(彼らがパートDに登録されたかどうかに関わらず)月当たりの平均薬剤使用量は1.1%増加し,自己負担額は8.8%減少した.登録が固定した後,月当たりの平均薬剤使用量は5.9%増加し,自己負担額は13.1%減少した.全体としては,処方薬剤給付によって登録者は月に9ドル負担が軽減し,投薬日数にして14日分の追加援助が与えられたことになった.
訳者注:メディケアパートDとは2006年1月1日から始まったメディケアの外来処方薬剤給付プログラムのこと.
(翻訳:小山雄太)
質調整後の期待余命に対するHIV治療開始の異なる閾値の影響:決定モデル
Influence of Alternative Thresholds for Initiating HIV Treatment on Quality-Adjusted Life Expectancy: A Decision Model
R. Scott Braithwaite, Mark S. Roberts, Chung Chou H. Chang, Matthew Bidwell Goetz, Cynthia L. Gibert, Maria C. Rodriguez-Barradas, Steven Shechter, Andrew Schaefer, Kimberly Nucifora, Robert Koppenhaver, and Amy C. Justice
HIV治療を開始するための最適なCD4数またはウイルス量について,論争が長期にわたり続いている.著者らは,有効性が既に検証されているコンピュータ・シミュレーションを用い,新たに診断された主として男性の慢性HIV感染者のコホートにおける,比較的高いCD4数で抗レトロウイルス療法を開始することの有効性と有害性を比較検討した.そのシミュレーションは本疾患の自然史の中で早期に治療することの有効性を過小評価する傾向がみられたものの,より早期の治療が,30歳の時点ではウイルス量に関わらず,また40歳の時点では少なくともウイルス量が3万コピー/mLあれば,期待余命と質調整後の期待余命を増加させた.
(翻訳:村上 純)
系統的レビュー:急性冠症候群に対するルーチン化された侵襲的戦略と選択的な侵襲的戦略の比較
Systematic Review: Comparing Routine and Selective Invasive Strategies for the Acute Coronary Syndrome
Rehan Qayyum, M. Rizwan Khalid, Jurga Adomaityte, Stylianos P. Papadakos, and Frank C. Messineo
Qayyumらは,非ST上昇型急性冠症候群に対してすべての患者に侵襲的管理を行う場合と選択的に行う場合とを比較するために,無作為化試験10件の系統的レビューを行った.対象患者10,648人のうち,死亡あるいは非致死的心筋梗塞がルーチン化された侵襲的戦略に割りつけられた患者群の15.9%にみられた.一方,選択的な侵襲的戦略へ割り付けられた群では17.5%の患者にみられた.本試験の結果は,ルーチン化された侵襲的戦略が選択的なアプローチより優れていることを示していない.
(翻訳:鈴木 昌)
総説(Reviews)
系統的レビュー:骨密度低下あるいは骨粗鬆症を有する男女に対する,骨折予防のための治療法の比較効果
Systematic Review: Comparative Effectiveness of Treatments to Prevent Fractures in Men and Women with Low Bone Density or Osteoporosis
Catherine MacLean, Sydne Newberry, Margaret Maglione, Maureen McMahon, Veena Ranganath, Marika Suttorp, Walter Mojica, Martha Timmer, Alicia Alexander, Melissa McNamara, Sheetal B. Desai, Annie Zhou, Susan Chen, Jason Carter, Carlo Tringale, Di Valentine, Breanne Johnsen, and Jennifer Grossman
76の無作為化試験と24のメタ解析からなるこの系統的レビューで,アレンドロネート(商品名:ボナロン,フォサマック),ゾレドロン酸(商品名:ゾメダ),そしてエストロゲンを含む数種類の薬剤が,プラセボと比較し脊椎や大腿骨頸部の骨折のリスクをより低下させる,という強いエビデンスが明らかになった.有害事象として,ラロキシフェン(商品名:エビスタ)やエストロゲンによる血栓塞栓症やビスフォスフォネートによる食道障害のリスクの増大がみられた.今までに,2種類以上の薬剤を直接比較した大規模な研究はない.骨粗鬆症に対する数種類の治療方法の相対的な有効性と有害性に関して,利用可能なエビデンスは現時点では不充分である.
(翻訳:川口鎮司)
展望(Perspectives)
冠動脈インターベンションを受ける患者での薬剤溶出性ステントの有効性と安全性のバランス
Balancing Efficacy and Safety of Drug-Eluting Stents in Patients Undergoing Percutaneous Coronary Intervention
Allen Jeremias and Ajay Kirtane
何人かの循環器内科医は遅発性ステント内血栓症の著明な増加を理由に,薬剤溶出性ステントの安全性について疑問を抱いている.しかしながら,最近のエビデンスでは薬剤溶出性ステントの真の臨床的有益性はその使用に伴う危険性を凌駕しているように見受けられる.薬剤溶出性ステントの適応とされた患者では,中断不能な―そしてベアメタルステントを留置された患者よりも長期投与が必要とされる―抗血小板療法に耐えられるかどうかを審査する必要がある.そして冠動脈インターベンションの適応となる全ての患者は,抗血小板療法とその他の適切な薬物治療を受けるべきである.ベアメタルステントと比較した薬剤溶出性ステントの真の臨床効果について完全な評価をするためには,過去に報告された研究より大規模の無作為化試験が必要と考える.
(翻訳:新沼廣幸)


診療ガイドライン(Clinical Guidelines)
妊娠中に細菌性膣炎のスクリーニングを行い早産の予防をすることについて
:米国予防医療サービス専門作業部会による勧告声明

Screening for Bacterial Vaginosis in Pregnancy to Prevent Preterm Delivery: U.S. Preventive Services Task Force Recommendation Statement
U.S. Preventive Services Task Force
これは2001年に策定された勧告の最新版であるが,この中で米国予防医療サービス専門作業部会は,早産のリスクが低い妊婦に対して細菌性膣炎のスクリーニングを施行しないように勧告する理由を説明している.早産のリスクが高い妊婦においてすら,現在のエビデンスは十分でないために,スクリーニングを行った時の有効性と有害性のバランスを評価できないのである.
(翻訳:申 貞雄)
細菌性膣炎の症状のない妊婦にスクリーニングと治療を行うことの有効性と有害性についてのエビデンス:米国予防医療サービス専門作業部会に対する最新のレビュー
Evidence on the Benefits and Harms of Screening and Treating Pregnant Women Who Are Asymptomatic for Bacterial Vaginosis: An Update Review for the U.S. Preventive Services Task Force
Peggy Nygren, Rongwei Fu, Michele Freeman, Christina Bougatsos, Mark Klebanoff, and Jeanne-Marie Guise
本号に掲載されている米国予防医療サービス専門作業部会の最新の勧告を検証するため,Nygrenと同僚らが,治療に関する7件の新たな無作為化比較試験と2001年の米国予防医療サービス専門作業部会報告データに基づく系統的レビューとメタ解析を行った.低リスクあるいは平均的なリスクの妊婦においては,無症候性細菌性膣炎の治療の有効性は示されなかった.治療が有害となり得る患者と有益となり得る患者の条件をより良く理解するためにはさらなる研究が必要である.
(翻訳:桂 隆志)
論評(Editorials)
メディケアパートDの支払い請求に関するデータは,活用されているのか?
Where Are the Medicare Part D Claims Data?
Bruce Stuart
連邦政府公的保険制度運営センターは,2006年からメディケアパートD計画での処方薬剤の支払い請求に関するデータを集積してきたが,本データは限定された目的だけに利用されているに過ぎない.そこで,民間の研究者らは,薬剤給付の運用を調査するために,代わりとなる情報源を模索してきた.この問題について,Yinと同僚らが革新的な研究を行った.パートDは費用対効果が小さいというのが彼らの見解である.しかし投薬日数や自己負担額の平均的変化に関するデータは,パートDに登録されている高齢者だけでなく,すべてのメディケア受給者が基になっている.この結果は,パートDが,当初立てた目標にほぼ達していることを示している.
(翻訳:板東 浩)


患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
メディケアパートDの薬剤使用量と費用に対する影響
The Effect of Medicare Part D on Drug Utilization and Expenditures
(翻訳:市堰 肇)
妊婦に対する細菌性膣炎のスクリーニングに関して:米国予防医療サービス専門作業部会による勧告
Screening Pregnant Women for Bacterial Vaginosis: U.S. Preventive Services Task Force Recommendations
(翻訳:今村隆明)
クリニックにて(In the Clinic)
大腸癌スクリーニング
Colorectal Cancer Screening
本号では大腸癌の臨床について,予防,スクリーニング,診断,治療,診療の進歩,患者情報に焦点をあてて概説している.
(翻訳:井出広幸)
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