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(更新日 2008年3月3日)
Annals

Established in 1927 by the American College of Physicians
目次(TABLE OF CONTENTS)
19 February 2008 Volume 148 Issue 4
(監修:佐々木徹,総合監修:宇野久光)
英文のTable of Contentsはこちらをクリックしてください.

原著(Articles)
男性と性交渉をもつ男性の間で多剤耐性の,市中感染メチシリン耐性黄色ブドウ球菌USA300株が出現した.
Emergence of Multidrug-Resistant, Community-Associated, Methicillin-Resistant Staphylococcus aureus Clone USA300 in Men Who Have Sex with Men
Binh An Diep, Henry F. Chambers, Christopher J. Graber, John D. Szumowski, Loren G. Miller, Linda L. Han, Jason H. Chen, Felice Lin, Jessica Lin, Tiffany HaiVan Phan, Heather A. Carleton, Linda K. McDougal, Fred C. Tenover, Daniel E. Cohen, Kenneth H. Mayer, George F. Sensabaugh, and Françoise Perdreau-Remington
研究者らは最近,市中感染メチシリン耐性黄色ブドウ球菌株(MRSA)で多くの抗生物質に耐性である1つのクローンを同定した.Diepとその共同研究者らは多剤耐性のUSA300株MRSAの発生率は,サンフランシスコでも男性同性カップルが多く居住する地域で最も高いことを示している.この感染症はしばしば臀部,性器あるいは会陰部などの膿瘍か蜂巣炎の形をとる.多剤耐性のUSA300株MRSAはこの患者群では性行為により感染するかもしれないが,感染様式についての直接的なエビデンスは存在しない.
(翻訳:柳 秀高)
台湾における国民皆保険制度,10年間の経験:健康と健康格差の変化の測定
A 10-Year Experience with Universal Health Insurance in Taiwan: Measuring Changes in Health and Health Disparity
Chi Pang Wen, Shan Pou Tsai, and Wen-Shen Isabella Chung
1995年,台湾で国民皆保険制度が始まった.Wenと同僚らは,平均余命の改善と健康格差是正からみたこの制度の役割について評価した.健康度が最も高い地域と最も低い地域との平均余命の差を健康格差と定義するならば,保険制度開始前には拡大しつつあった健康格差は開始後に縮小した.しかし格差は依然として大きい.健康管理にかかる支出が増加しても,その額は国内総生産の5から6%にとどまっている.国民皆保険制度単独でも健康格差を是正できる可能性はあるが,台湾では達成されていない医療制度改革がなければ,それはわずかな是正になるだろう.
(翻訳:塩田哲也)
グルコサミン硫酸塩の変形性股関節症に対する効果:無作為化試験
Effect of Glucosamine Sulfate on Hip Osteoarthritis: A Randomized Trial
Rianne M. Rozendaal, Bart W. Koes, Gerjo J.V.M. van Osch, Elian J. Uitterlinden, Eric H. Garling, Sten P. Willemsen, Abida Z. Ginai, Jan A.N. Verhaar, Harrie Weinans, and Sita M.A. Bierma-Zeinstra
変形性関節症を治療するために多くの患者がグルコサミンを服用しているが,グルコサミンの症状や関節の変化に対しての効果に関して現在までの研究結果は一定していない.変形性股関節症に焦点を当てた最初の研究として,Rozendaalと同僚らは,222人の患者に無作為にグルコサミン1500mg/日もしくはプラセボを割り付けた.2年の治療後,疼痛,機能,関節腔の狭小化に対して臨床的に有意な効果はみられなかった.他の関節の変形性関節症に対しての効果はともかく,変形性股関節症の症状軽減および進行抑制において,グルコサミン硫酸塩は,プラセボ同然の効果であった.
(翻訳:古田栄一)
医学と臨床(Academia and Clinic)
コンソートグループ(CONSORT Group)の方法と課程:非薬剤治療を評価する試験への適応拡大の例
Methods and Processes of the CONSORT Group: Example of an Extension for Trials Assessing Nonpharmacologic Treatments
Isabelle Boutron, David Moher, Douglas G. Altman, Kenneth F. Schulz, Philippe Ravaud for the CONSORT Group
この文献は,この号に掲載されたコンソート声明の適応拡大を支持しています.オンラインのみにて公開中
(翻訳:加藤秀章)


コンソート声明(CONSORT Statement)の非薬剤治療の無作為化試験への適応拡大:説明と詳細
Extending the CONSORT Statement to Randomized Trials of Nonpharmacologic Treatment: Explanation and Elaboration
Isabelle Boutron, David Moher, Douglas G. Altman, Kenneth F. Schulz, Philippe Ravaud for the CONSORT Group
手術や行動介入のような非薬剤治療の無作為化比較試験の実施は,臨床試験の報告がしばしば適切になされないために,結果として,読者がその事実を信頼してよいのかわからないという特別な課題を提起する.非薬剤的治療の無作為化試験の報告を強化するため,臨床疫学者やこの種の研究の専門家は,コンソート声明*(報告試験の統合された規準)に追加するさらなる報告要綱を開発した.この論文は,これらの付加された標準について記述している.
(*綜合監修者注:1996年発表されたランダム化比較試験の報告方法についての国際的な指針で,2001年に改訂版が出されその後2004年の拡大追加がなされている)
(翻訳:加藤秀章)


総説(Reviews)
ナラティブ・レビュー: 肺動脈高血圧症のなぞ: 遺伝子研究からの新しい洞察
Narrative Review: The Enigma of Pulmonary Arterial Hypertension: New Insights from Genetic Studies
John H. Newman, John A. Phillips, III, and James E. Loyd
肺動脈高血圧症 (PAH) が他疾患に起因していない場合,その病因は神秘であるが,現在解明され始めている.PAHに対する遺伝的感受性は家族性に生じ,研究者らはPAHと細胞の増殖を調節するトランスフォーミング増殖因子(トランスフォーミング増殖因子-β [TGF-β])受容体の遺伝子変異との間に強い関連性を報告している.Newmanと同僚らはこの発見と治療機会につながる研究を記述している.そのエビデンスは特発性PAHが血管内膜の増殖を促進あるいは遅延させるTGF-β受容体のシグナル伝達の不均衡により引き起こされることをますます示唆している.
(翻訳:西川正憲)
メタ解析:造影剤腎症の予防薬の有効性
Meta-analysis: Effectiveness of Drugs for Preventing Contrast-Induced Nephropathy
Aine M. Kelly, Ben Dwamena, Paul Cronin, Steven J. Bernstein, and Ruth C. Carlos
造影剤腎症は入院患者における急性腎不全の一般的な原因のひとつである.臨床医らはこのリスクを減少させるためにNアセチルシステイン,テオフィリン,フェノルドパム,ドーパミン,フロセミド,マンニトール,重炭酸などの薬剤を用いている.Kellyとその同僚らは3622名の患者を対象とした33の試験をメタ解析した.その結果,N-アセチルシステイン,マンニトール,テオフィリンは造影剤投与前の補液のみの場合と比較して,最も強い急性腎不全予防のエビデンスを認めたとしている.しかしながら,利用可能であった研究は,臨床的なエンドポイントよりも腎機能検査値を評価対象としていた.
(翻訳:管野義彦)
論評(Editorials)
市中感染メチシリン耐性ブドウ球菌による皮膚疾患の予防と管理に関する更なる課題
More Challenges in the Prevention and Management of Community-Associated, Methicillin-Resistant Staphylococcus aureus Skin Disease
Rachel Gorwitz, Scott K. Fridkin, and Kimberly A. Workowski
この号では,Diepと同僚らが,接合性プラスミド*1pUSA03*2を保有するメチシリン耐性ブドウ球菌USA300分離株の疫学を調査している.彼らは,男性と性交渉をもつ男性はこの感染症に罹患するリスクが高い可能性があると指摘している.しかしながら,エビデンスは,この感染症が性感染症であることを暗示はしているが,この仮説を証明するほど強いものではない.
*1 訳者注:接合性プラスミドー細菌中に存在する二本鎖環状DNAで,他の細菌に接合して移行する能力をもつもの.そのプラスミド上に薬剤耐性因子が存在すると,その性質が細菌から細菌へと伝播される.

*2 訳者注:pUSA03-USA300株中に存在する,薬剤耐性遺伝子を保有する二本鎖環状DNAで,マクロライド,クリンダマイシン,ムピロシンなどへの耐性遺伝子を保有するが,さらにアミノグリコシド,トリメトプリム,バンコマイシンや他の抗菌薬への耐性遺伝子をもつトランスポゾンを容易に受け入れる性質をもち,より多剤に耐性な市中感染メチシリン耐性ブドウ球菌を作り出すもとになっている.
(翻訳:小川直美)


台湾から学ぶ:国民皆保険の経験
Learning from Taiwan: Experience with Universal Health Insurance
Karen Davis and Andrew T. Huang
この号では,Wen と同僚らは,台湾で国民健康保険が開始された前後にみられた,平均余命の傾向について解析している.彼らの結果は,全国民に対する健康保険への投資が十分に報われることを示唆するばかりでなく,喫煙や肥満といった疾患の根本的な原因に対する,幅広い,健康保険制度を通じた取り組みの重要性をも示している.
(翻訳:泉谷昌志)


グルコサミン硫酸塩の変形性股関節症に対する効果:未だ結論は出ていない.
Glucosamine Sulfate in Osteoarthritis: The Jury Is Still Out
Johannes W.J. Bijlsma and Floris P.J.G. Lafeber
この号では,Rozendaalと同僚らは,変形性股関節症に対するグルコサミン硫酸塩の効果のおそらく初めての無作為化試験を報告している.彼らは,グルコサミン硫酸塩は症状や進展の軽減において,プラセボ同然の効果であったと結論づけている.しかしながら,変形性関節症は多様な疾患であり,グルコサミンは,関節症状を改善する可能性がある.それでもなお,基本的に,グルコサミンは変形性関節症に対して,実証されていない治療である.
(翻訳:金原秀雄)


患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
男性と性交渉をもつ男性におけるブドウ球菌感染の治療は困難である
Difficult-to-Treat Staphylococcal Infections in Men Who Have Sex with Men
(翻訳:金澤雅人)
変形性股関節症治療に対するグルコサミン硫酸塩の効果
Glucosamine Sulfate to Treat Hip Osteoarthritis
(翻訳:森川景子)
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