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(更新日 2008年3月17日)
Annals

Established in 1927 by the American College of Physicians
目次(TABLE OF CONTENTS)
4 March 2008 Volume 148 Issue 5
(監修:林 正樹,総合監修:石橋大海)
英文のTable of Contentsはこちらをクリックしてください.

原著(Articles)
結核疑いに対する改善された診断評価法
Improved Diagnostic Evaluation of Suspected Tuberculosis
Davinder P.S. Dosanjh, Timothy S.C. Hinks, John A. Innes, Jonathan J. Deeks, Geoffrey Pasvol, Sarah Hackforth, Hansa Varia, Kerry A. Millington, Rubamalar Gunatheesan, Valerie Guyot-Revol, and Ajit Lalvani
Dosanjhと同僚らは,T細胞に基づく血液検査法である,ELISpotと ELISpotPLUSの,活動性結核を除外する能力を調査した.中等度から高度の活動性結核の疑いのある389人の成人において,ワクチン接種歴のない患者で,培養で確認できた,あるいは高度に結核が疑われる患者の検出には,ELISpotPLUSは閾値15mmのツベルクリン皮膚検査より感度が高く(89% vs. 79%),閾値10mmのツベルクリン皮膚検査の感度 (83%)と同等であった.ELISpotPLUSとツベルクリン皮膚検査が共に陰性であった患者は,結核である尤度比は非常に低かった.ELISpotPLUS法は,特にツベルクリン皮膚検査と共に用いると,活動性結核を除外するのに助けとなり得る.
*訳注:ELISpotとは,サイトカイン等を分泌する細胞数を特異抗体により測定する技術であり,各wellのボトムには抗体が固定されたPVDF膜が使用され,細胞懸濁溶液をwellに添加,静置することで検出されるスポットを,顕微鏡やELISpotリーダー等の光学機器によりカウントする.現在,サンドイッチ酵素免疫測定 (ELISA)法で結核菌特異蛋白刺激性遊離インターフェロン-γを測定する方法として,QuantiFERON®TB-2G(QFT-2G)testが開発されている.
(翻訳:こう康博)
乳癌の発症リスクの評価のための臨床的要因およびマンモグラフィにおける乳腺密度:新しい予測モデルの開発とその評価
Using Clinical Factors and Mammographic Breast Density to Estimate Breast Cancer Risk: Development and Validation of a New Predictive Model
Jeffrey A. Tice, Steven R. Cummings, Rebecca Smith-Bindman, Laura Ichikawa, William E. Barlow, and Karla Kerlikowske
現行の乳癌の発症を予測するモデルにおいては,その重要な危険因子である乳腺密度は考慮されていない.Ticeらは,放射線科医が日常的にマンモグラフィのとき報告している乳腺密度を取り入れた,乳癌の発症を予測する新しいモデルを開発した.これは正確な予測モデルであるが,乳癌を発症した人と発症しなかった人を識別する能力はあまり高くなかった.このモデルが実際の患者に適用されるためには,さらに多くの人々を対象にして検証され,その正確さをより確かなものとする必要がある.
(翻訳:井上直紀)
短報:肝機能検査結果の短期間の変動における臨床的な意義
Brief Communication: Clinical Implications of Short-Term Variability in Liver Function Test Results
Mariana Lazo, Elizabeth Selvin, and Jeanne M. Clark
著者らは約17日の間隔で反復して行った肝機能検査結果を分析した.第三次全国健康栄養調査の1864人が対象だった.初回正常値を示した95%以上が正常なままであった.一方,異常値の12-38%が二回目の検査では正常になっていた.こうした同一個人内変動のため,著者らは異常値を示す無症状の人では肝機能検査を再検するよう,診療ガイドラインで推奨すべきだと提言している.
(翻訳:渡邊清高)
患者診療の質の改善(Improving Patient Care)
小規模オフィス診療における業績指標:課題と可能性のある解決策
Performance Measurement in the Small Office Practice: Challenges and Potential Solutions
Bruce E. Landon and Sharon-Lise T. Normand
米国の内科医の大部分が4人以下の医師とともにグループ診療をしている. この論文では米国での診療の実態を論評する; 財政と人員配置の密接な関係を含む小さな診療所の業績指標の課題を明らかにする; 診療の質の評価に影響する統計的な問題について議論する; そして,可能性のある解決策を明らかにする.
(翻訳:小野広一)
総説(Reviews)
系統的レビュー:早期乳癌の遺伝子発現プロファイリング解析法
Systematic Review: Gene Expression Profiling Assays in Early-Stage Breast Cancer
Luigi Marchionni, Renee F. Wilson, Antonio C. Wolff, Spyridon Marinopoulos, Giovanni Parmigiani, Eric B. Bass, and Steven N. Goodman
乳癌の予後推定のために,遺伝子発現解析検査がこれまでに以下の3種類認可されている;オンコタイプ DX,MammaPrintおよびH/I.筆者らはこれらの妥当性と有用性に関してのエビデンスをまとめる.要約すると,一連のエビデンスにより,この新世代の検査法は予後推定およびそれぞれの治療に対する反応性の予測が向上した可能性が示唆された.これまでの標準的なアウトカム予測因子にくらべ,これらの方法はリスク層別化の点で臨床的に重要な改善をもたらす.
(翻訳:石田文宏)
診療ガイドライン(Clinical Guidelines)
認知症の最新薬物治療:米国内科学会と米国家庭医学会が臨床実地診療ガイドラインを発表
Current Pharmacologic Treatment of Dementia: A Clinical Practice Guideline from the American College of Physicians and the American Academy of Family Physicians
Amir Qaseem, Vincenza Snow, J. Thomas Cross, Jr., Mary Ann Forciea, Robert Hopkins, Jr., Paul Shekelle, Alan Adelman, David Mehr, Kenneth Schellhase, Doug Campos-Outcalt, Pasqualina Santaguida, Douglas K. Owens the Joint American College of Physicians/American Academy of Family Physicians Panel on Dementia
米国内科学会ならびに米国家庭医学会は,認知症の薬物治療における最新の臨床ガイドラインを発表した.医師は,コリンエステラーゼ阻害薬もしくはメマンチンの治療トライアルを開始するかどうかについて医師は患者個々の状態に基づいて判断するべきである.(弱い推奨,中等度のエビデンス).さらに,薬物の選択においては,認容性,副作用,使いやすさおよびコストなどを考慮するべきである.認知症治療の種々の薬物の効果の比較についてはエビデンスが確立していない.(弱い推奨,低いエビデンス.)
(翻訳:村松賢一)
認知症治療におけるコリンエステラーゼ阻害薬およびメマンチンの効果:臨床実地診療ガイドラインのためのエビデンスレビュー
Effectiveness of Cholinesterase Inhibitors and Memantine for Treating Dementia: Evidence Review for a Clinical Practice Guideline
Parminder Raina, Pasqualina Santaguida, Afisi Ismaila, Christopher Patterson, David Cowan, Mitchell Levine, Lynda Booker, and Mark Oremus
Rainaらはコリンエステラーゼ阻害薬およびメマンチンの認知症患者の臨床症状改善達成度におけるエビデンスをレビューした.コリンエステラーゼ阻害薬とメマンチンの間には認知および包括的評価において一定の差異が認められたが,その効果の大きさは小さかった.行動やQOLのアウトカムにおいては,効果はより一貫性がなかった.認知症の薬物治療の認知機能改善は統計学的には有意ではあるが,一貫した臨床上の重要性を認めるほどではないと結論づけられる.
(翻訳:大和田潔)
論評(Editorials)
活動性結核の診断に潜在性結核感染検査を用いることについて―虻蜂,両方取れるか?
Using Tests for Latent Tuberculous Infection to Diagnose Active Tuberculosis: Can We Eat Our Cake and Have It Too?
Dick Menzies
この号で,Dosanjhらは,ツベルクリン皮膚検査とインターフェロンγ放出分析法(ELISpotPLUS)の併用で活動性結核を診断する研究を提示している.ツベルクリン皮膚検査ないしはELISpotPLUSが陽性である患者において99%の感度で診断できた.しかし,我々が本当に感度がこのように高いと自信を持つことができるためには,さらにいくつかの研究と系統的レビューとメタアナリシスが必要である.当面のところは,ツベルクリン皮膚検査とELISpotPLUSの両方が陰性の結果であったとしても,結核が強く疑われる場合には,活動性結核を除外する前に綿密にその患者を追跡すべきである.
(翻訳:郷間 巌)


重要な臨床試験:2型糖尿病合併症に対するACE阻害薬と利尿剤の定量組合せの効果
Trials That Matter: The Effect of a Fixed-Dose Combination of an Angiotensin-Converting Enzyme Inhibitor and a Diuretic on the Complications of Type 2 Diabetes
George L. Bakris and Michael Berkwits
ADVANCE試験は,ペリンドプリル2mg/日とインダパミド 0.625mg/日を標準的な降圧薬治療に加えることが糖尿病の細小血管そして大血管の合併症を減らすか検証した.プラセボと比較して,この内服の組み合わせを行った参加者では,統計学的に有意な収縮期と拡張期血圧の減少を認め,統計的にぎりぎり有意に主な大血管と細小血管イベントの減少を認めた.この試験の参加者の平均血圧は,以前の臨床試験の参加者の平均血圧より低かったことから,ADVANCE試験は,前高血圧状態にある2型糖尿病患者が降圧薬を開始することが有用であるという新しいエビデンスを提供する.
(翻訳:土谷昌信)


患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
乳腺密度を乳癌の危険度予測に使用することの妥当性について
Using Breast Density to Predict Breast Cancer Risk
(翻訳:田村功一)
認知症患者に対する薬物治療:米国内科学会と米国家庭医学会からの勧告
Drug Treatment for Patients with Dementia: American College of Physicians and American Academy of Family Physicians Recommendations
(翻訳:鈴木克典)
クリニックにて(In the Clinic)
慢性閉塞性肺疾患
Chronic Obstructive Pulmonary Disease
この号では,予防・診断・治療・診療の質の向上・患者への情報に焦点を合わせて,慢性閉塞性肺疾患の臨床的概観を提供している.
(翻訳:郷間 巌)
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