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原著(ARTICLE)
腎機能の違いと高血圧の発症:動脈硬化の多民族研究
Differences in Kidney Function and Incident Hypertension: The Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis
Bryan Kestenbaum, MD, MS; Kyle D. Rudser, PhD; Ian H. de Boer, MD, MS; Carmen A. Peralta, MD; Linda F. Fried, MD, MPH; Michael G. Shlipak, MD, MPH; Walter Palmas, MD, MS; Catherine Stehman-Breen, MD, MS; and David S. Siscovick, MD, MPH
1 April 2008 | Volume 148 Issue 7 | Pages 501-508
背景: 腎臓病と高血圧は一般的に共存するが,それらの関連性の方向付けにはいまだ議論がある.

目的: 血清シスタチンCレベルおよび尿中アルブミン排泄量で測定した早期の腎機能障害が,臨床的に認識される腎臓病または心血管病のない成人の高血圧発症に先行するかどうかを評価すること.

研究デザイン: 2000年〜2005年のデータを用いたコホート観察研究.

セッティング: MESA(動脈硬化の多民族研究,社会的集団を基盤とした45歳〜84歳の成人を対象とした未発症の心血管病の研究).

対象: 高血圧,心血管病または臨床的に明らかな腎臓病(推算糸球体濾過量60 ml/min/1.73 m2未満または微量アルブミン尿)を有さない2,767名のMESAの参加者.

測定: シスタチンCはネフェロメータを用いて,尿アルブミンおよび尿クレアチニンは朝のスポット尿で測定した.一次アウトカムは高血圧の発症で,収縮期血圧が少なくても140 mmHg以上,拡張期血圧が少なくても90 mmHg以上,または降圧薬の使用と定義された.

結果: 中央値3.1年のフォローアップ期間に,コホート(545名の参加者)の19.7%に高血圧が発症した.確立された高血圧の危険因子の調整後に,それぞれ15 nmol/LのシスタチンCの上昇は,統計学的に有意15%の高血圧発症率の増加(P = 0.017)に関連した.性別特異的な尿中アルブミン/クレアチニン比の最高4分位群は最下4分位群に比べて16%の高血圧発症率の増加と関連したが統計学的には有意ではなかった(P = 0.192).統計学的なエビデンスは相乗的な相互作用を示唆しなかった.

研究の限界: 腎臓のマーカーと高血圧との間の観察された関連には,測定されなかった特性が交絡していた可能性がある.フォローアップ期間が比較的短い.医師に受診する間の期間に生じた高血圧または標準的なカフによる血圧測定法ではとらえられなかった高血圧は見逃された可能性がある.

結論: シスタチンCレベルで示された腎機能の違いは,臨床的に明らかな腎臓病や心血管病を有さない個々人の高血圧発症と関連している.これらの人口集団を基盤とした知見は本態性高血圧症の病因における早期の腎臓障害を示唆している実験的研究を補うものである.

(翻訳:佐々木徹)

English Abstract

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