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原著(ARTICLE)
誤嚥に対する2つの介入による肺炎発生率の比較:無作為化試験
Comparison of 2 Interventions for Liquid Aspiration on Pneumonia Incidence
A Randomized Trial
JoAnne Robbins, PhD; Gary Gensler, MS; Jacqueline Hind, MS; Jeri A. Logemann, PhD; Anne S. Lindblad, PhD; Diane Brandt, BS; Herbert Baum, PhD; David Lilienfeld, MD, PhD; Steven Kosek, MS; Donna Lundy, PhD; Karen Dikeman, MA; Marta Kazandjian, MA; Gary D. Gramigna, MS; Susan McGarvey-Toler, MS; and Patricia J. Miller Gardner, JD
1 April 2008 | Volume 148 Issue 7 | Pages 509-518
背景: 誤嚥性肺炎は嚥下障害を伴った虚弱な高齢者では一般的な疾患である.これらの患者において,誤嚥予防のための介入は常套的に行われているが,その効果はほとんど知られていない.

目的: 認知症あるいはパーキンソン病を有する患者を,顎を下げた姿勢で飲む群と,2種の粘稠性(ネクターあるいは蜂蜜)を有するように濃度調整された液体を飲む群に割り付け,3か月間での肺炎累積発現率を比較すること.

デザイン: 無作為化,比較,並列デザイン試験で,これに参加した患者は1998年6月9日から2005年9月19日までの間の3か月間に登録された.

セッティング: 47病院と79亜急性期医療施設

患者: 認知症あるいはパーキンソン病を有し,薄い液体を誤嚥する(ビデオX線透視で確認した)50歳以上の515名の患者.このうち504名は死亡まで,あるいは3か月間追跡された.

介入: 参加者は,顎を下げた姿勢ですべての液体を飲む群(n = 259),中立頭位でネクターの濃さの液体を飲む群(n = 133),中立頭位で蜂蜜の濃さの液体を飲む群(n = 123)に無作為に割り付けられた.

測定: 第一義的なアウトカムは,胸部X線あるいは3つの呼吸器的指標の発現により診断された肺炎であった.

結果: 52名の参加者が肺炎に罹患し,3か月の累積発現率は11%であった.顎を下げた姿勢で飲む群と粘稠な液体を飲む群では,各々3か月間の肺炎の累積発現率は0.098と0.116であった(ハザード比, 0.84 [95%信頼区間, 0.49 to 1.45]; P = 0.53).ネクターの濃さの液体を飲む群と蜂蜜の濃さの液体を飲む群では肺炎の累積発現率は0.084と0.150であった(ハザード比, 0.50 [信頼区間, 0.23 to 1.09]; P = 0.083).粘稠な液体を飲む群に割り付けられた患者のほうが,顎を下げて飲む群より,脱水になりやすく(6% vs. 2%),尿路感染症に罹患しやすく(6% vs. 3%),発熱しやすかった(4% vs. 2%).

研究の限界: 無治療の対照群が含まれていなかった.フォローアップの限界が3か月であった.介護士に対しては介入を盲検化できなかった.また,肺炎の累積発現率の群間の差は広い信頼区間をもっていた.

結論: どの介入方法がより優れているかという結論には至らなかった.3か月間の肺炎累積発現率は,虚弱な高齢者において予想されるよりはるかに低かった.今後の検討課題としては,顎を下げて飲むこととネクターの濃さの液体を組み合わせると,それぞれ独立した介入よりも,肺炎予防効果が増すかどうか実証できるかもしれない.

(翻訳:櫻井政寿)

English Abstract

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