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患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
濃厚飲料や顎を引いた姿勢は誤嚥を防ぐことができるか
Can Thickened Liquids or Chin-Down Posture Prevent Aspiration?
1 April 2008 | Volume 148 Issue 7 | Page I-39
「患者さんへのまとめ」は ,患者さんが近代医学の複雑でしばしば迷わすような用語をよりよく理解することを助けるためにAnnals誌によって提供されるサービスです.

「患者さんへのまとめ」は情報を提供する目的だけのために提示されています.これらの「まとめ」はあなた自身のかかりつけ医からの助言の代わりとなるものではありません.もしあなたが,この題材について疑問を持ったり,あなた自身の健康あるいは状況についての医学的助言を必要とする場合は,あなたのかかりつけ医と連絡をとってください.「まとめ」は非営利的な教育目的のためだけに転載されても構いません.他の用途への使用については,米国内科学会(ACP)によって承認されなければなりません.

下記の「まとめ」は「誤嚥に対する2つの介入による肺炎発生率の比較:無作為化試験」というタイトルの論文からのものです.
何が問題であり,これまでにどのようなことが分かっていますか?
認知症,パーキンソン病,脳梗塞やその他の神経症状があるひとでは,飲み込むことが難しくなる症状(嚥下困難)を伴うことがあります.そのような方たちは,飲水後に咳をすることや食事中にむせる可能性があります.そのような咳やむせの間に,気管をとおして肺に飲料や食べ物を吸い込むかもしれません.このことを『誤嚥』といいます.吸い込んだ物質が炎症を引き起こして,『誤嚥性肺炎』とよばれる一種の肺炎が生じる可能性があります.

この研究の目的は何ですか?
顎を引いた姿勢で薄い濃度の飲料を飲むことと,通常の頭位で濃厚な飲料を飲むこととでは,どちらが飲み込みに問題のある高齢者における誤嚥性肺炎をよりよく予防するかを調べることです.

どのような人たちが試験の対象になっていますか?
認知症あるいはパーキンソン病の高齢者515名で,その方々は飲み込みに問題があり,かつテストをした際に薄い飲料で誤嚥をされました.

どのような研究がおこなわれましたか?
研究者らは米国の47の病院と79の亜急性期医療施設で嚥下障害のある患者さんを対象に選びました.患者さんは,顎を引いた姿勢で薄い濃度の飲料を飲む群と通常の頭位で濃厚な飲料を飲む群に無作為に割り付けられました.濃厚な飲料が与えられる患者さんは,非常に濃い(蜂蜜の濃さの)液体と,それよりは薄い濃度の液体(ネクターの濃さ,例えばトマトジュース)とのどちらかを飲むように無作為に割り当てられました.プランどおりに患者さんが飲料を飲んだかどうかを確認するために,介護士やスタッフが,数回にわたり食事状況を観察しました.患者さんらに誤嚥性肺炎が生じたか否かについて3か月間観察されました.それから,肺炎の発症頻度がこれらの群の間で比較されました.

この研究からどのような結論が出ましたか?
3か月の観察期間の中で,顎を引いた姿勢で薄い飲料を飲むか濃厚な飲料を飲んだ患者さんの約10〜11%が肺炎にかかりました.蜂蜜のような濃い飲料を飲んだ患者さんの約15%に,ネクターの濃さの飲料を飲んだ患者さんの約8%に肺炎が発症しました.顎を引いた姿勢で薄い飲料を飲んでいる患者さんと比べて,濃厚な飲料を飲んでいる患者さんに,脱水(6%対2%),発熱(4%対2%)および尿路感染症(6%対3%)がより頻繁にみられました.

この研究にはどのような限界がありますか?
全ての群において僅かしか肺炎がみられなかったので,研究者らはどの方法がその他よりも優れているかは明らかにできませんでした.研究者らや介護士らは,患者さんがどの飲料を飲んでいるかを知っていました.計画どおりに飲料を飲まなかった患者さんが数人いました.試験期間が短かったです.また,飲料の飲み方はたった2通りであり,試験された濃厚飲料は2種類だけでした.

この研究の意義はどのようなものでしょうか?
どのような飲料あるいは頭位が誤嚥性肺炎を最もよく防ぐかは,本研究では明らかにできていません.しかしながら,蜂蜜のような非常に濃厚な飲料を飲むことは,嚥下障害のある高齢者には危険かもしれません.

(翻訳:吉田 博)

English Abstract

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