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(更新日 2008年5月19日)
Annals

Established in 1927 by the American College of Physicians
目次(TABLE OF CONTENTS)
6 May 2008 Volume 148 Issue 9
(監修:塩田哲也,総合監修:川村光信)
英文のTable of Contentsはこちらをクリックしてください.

原著(Articles)
骨粗鬆症治療薬の非椎体骨骨折予防に対する相対的効果
Relative Effectiveness of Osteoporosis Drugs for Preventing Nonvertebral Fracture
Suzanne M. Cadarette, Jeffrey N. Katz, M. Alan Brookhart, Til Sturmer, Margaret R. Stedman, and Daniel H. Solomon
骨粗鬆症に対する複数の薬物療法を直接比較した研究はほとんどない.Cadaretteらは,2州で行われている薬剤給付プログラムにおける65歳以上の43,135人を対象にした観察研究で,骨粗鬆症に対する薬物療法の開始後1年以内の非椎体骨骨折の発生率を比較した.リセドロネートやラロキシフェン,とアレンドロネートとの間には骨折のリスクに大差がないことが明らかになった.骨折のリスクは,アレンドロネートよりカルシトニンで高かった.しかし,この研究では薬剤間に潜在する重要な差異を除外できなかった.
(翻訳:鈴木 昌)
高免責額医療保険への変更前後における癌スクリーニング
Cancer Screening before and after Switching to a High-Deductible Health Plan
J. Frank Wharam, Alison A. Galbraith, Ken P. Kleinman, Stephen B. Soumerai, Dennis Ross-Degnan, and Bruce E. Landon
高免責額医療保険では,患者がある種の検査や治療を受ける場合,コストのかなりの部分を支払う必要がある.マサチューセッツ州における,ある医療保険での支払い請求データを利用し,著者らは患者が従来の健康維持機構(HMO)から高免責額医療保険に変更した場合の,予防的医療受診の変化について調べた.子宮頚癌,乳癌,大腸癌のスクリーニング受診率は,患者が高免責額医療保険へと変更しても変化はなかった.しかし,大腸癌に関しては,患者は自己負担となる検査よりも,完全に保険でカバーされている検査を選んでいた.
(翻訳:泉谷昌志)
コレステロール値のモニタリング:測定誤差か真の変化か?
Monitoring Cholesterol Levels: Measurement Error or True Change?
Paul P. Glasziou, Les Irwig, Stephane Heritier, R. John Simes, Andrew Tonkin for the LIPID Study Investigators
コレステロール低下治療の効果をモニタリングする際,通院の度に変化する血清コレステロール値は偶然のばらつきによるものと真の経時的変化によるものとがある.著者らは冠動脈疾患を有する患者でプラバスタチンとプラセボを比較した試験データを解析した.通院毎の血清コレステロール値の変化の大部分は偶然のばらつきであり,投与量の調整のきっかけとすべきではなかった.真の長期的変化の寄与を強調するために,著者らはしっかりとしたコレステロール低下治療を受けている患者では,数ヶ月毎や年一回よりも3ないし5年間毎にモニタリングすることを提案している.
(翻訳:新沼廣幸)
総説(Reviews)
ナラティブ・レビュー: 診療所でのオピオイド依存患者に対するブプレノルフィン(レペタン)
Narrative Review: Buprenorphine for Opioid-Dependent Patients in Office Practice
Lynn E. Sullivan and David A. Fiellin
米国ではオピオイド乱用者の80%は治療を受けていない.Sullivanと Fiellinは,オピオイド依存にブプレノルフィンとナロキソンを用いて,診療所レベルでの治療の要素や,治療に関わる医師の役割,そして多面性を持つ患者集団を治療していく上でのロジスティックスについて検討した.診療所でのオピオイド依存の治療については,個々の依存状況を治療可能な病状とみていくことで,プライマリケアの場で医師が依存患者をケアし,治療することを可能にしている.
(翻訳:道免和文)
系統的レビュー:ハイリスク女性におけるMRI乳癌スクリーニング検査の有用性
Systematic Review: Using Magnetic Resonance Imaging to Screen Women at High Risk for Breast Cancer
Ellen Warner, Hans Messersmith, Petrina Causer, Andrea Eisen, Rene Shumak, and Donald Plewes
乳癌に対するハイリスク女性には極めて感度の高いスクリーニング検査が必要である.このレビューでは乳癌に対して極めてハイリスクな女性について,通常のマンモグラフィに加えMRIでスクリーニング検査を行った11の前向き研究から得られたデータを要約する.乳癌の検査前確率が2%だとすると,マンモグラフィとMRIの両方で陰性だった症例は組織学的に悪性が疑われる確率を0.3%に減少したが,マンモグラフィだけで陰性だった症例では1.4%への減少にすぎなかった.乳癌の極めてハイリスクな女性に対するスクリーニングでは,マンモグラフィとMRIの併用は癌病変を除外する点でマンモグラフィ単独よりも優れているかもしれない.
(翻訳:菅野義彦)
診療ガイドライン(Clinical Guidelines)
男性における骨粗鬆症のスクリーニング:米国内科学会の標準的治療法ガイドライン
Screening for Osteoporosis in Men: A Clinical Practice Guideline from the American College of Physicians
Amir Qaseem, Vincenza Snow, Paul Shekelle, Robert Hopkins, Jr., Mary Ann Forciea, Douglas K. Owens for the Clinical Efficacy Assessment Subcommittee of the American College of Physicians
米国内科学会は,骨粗鬆症の男性のスクリーニングに対する実用的なエビデンスを提供するガイドラインを作成した.臨床医は,定期的に高齢男性の骨粗鬆症の危険因子を評価するべき(強い推奨,中等度の質のエビデンス)である.骨粗鬆症のリスクが増加したり,薬物療法の適応がある男性(強い推奨,中等度の質のエビデンス)は,二重エネルギーX 線吸収測定法(DXA)をとるべきであるとしている(強い推奨,中等度の質のエビデンス).男性における骨粗鬆症のスクリーニング検査に関する一連のエビデンスは,比較的弱い.
(翻訳:金原秀雄)
男性における骨粗鬆症のスクリーニング:米国内科学会ガイドライン作成のための系統的レビュー
Screening for Osteoporosis in Men: A Systematic Review for an American College of Physicians Guideline
Hau Liu, Neil M. Paige, Caroline L. Goldzweig, Elaine Wong, Annie Zhou, Marika J. Suttorp, Brett Munjas, Eric Orwoll, and Paul Shekelle
著者らは,無症候性男性は骨粗鬆症による骨折の是正可能な危険因子を評価すべきか,そしてDXAによる骨密度(BMD)測定検査を受けるべきかについてのエビデンスをレビューした.危険因子には,70歳以上の年齢,BMI(body mass index)20〜25 kg/m2以下,10%以上の体重減少,運動不足,長期間のコルチコステロイド使用,過去の骨粗鬆症による骨折などがあった.DXA以外の検査は,骨粗鬆症を検出するには感度が低く過ぎるか,精度についても不十分なデータしかない.それゆえに,DXAは,低骨密度の男性を同定するには現時点で最適の検査となっている.
(翻訳:金澤雅人)
論評(Editorials)
相対的有効性:我々は何を知っており,何を知る必要があり,そしていかにしてそこに到達し得るのか
Comparative Efficacy: What We Know, What We Need to Know, and How We Can Get There
Saul Malozowski
我々は1対1の無作為化試験の不足のために,多くの骨粗鬆症の治療薬の有効性を互いに比較した情報をほとんど有していない.Cadaretteと同僚らは,観察的研究によってこの不足部分に取り組んだ.彼らは,骨折のリスクがアレンドロネート,リセドロネート,ラロキシフェンでは同様であり,カルシトニンよりかなり低いことをみいだした.しかし,この情報は医師が特定の患者達にどの薬剤を投与するかの決定を手助けするほど十分に信頼できるだろうか?論説委員にはそうは思えない.論説委員は,もし政府が検査や治療に費用を払うなら,薬剤をお互いに比較して評価する義務があるという原則に基づいたよりよい解決法を提案する.
(翻訳:こう康博)


高免責額医療保険とより良い利益デザイン
High-Deductible Health Plans and Better Benefit Design
Anish P. Mahajan and Robert H. Brook
高免責額医療保険は所定の累積経費未満のすべての費用を患者が払った後でのみ保険金が給付される.それらは,ヘルスケアの慎重利用を促すようにデザインされているが,癌スクリーニングといった要のサービスの利用低下を危惧する人もいる.Wharam と同僚らは,高免責額医療保険加入者と伝統的な健康維持機構(HMO)加入者が乳癌と子宮頸癌のスクリーニング検査を同率で受けていることを報告している.しかしながら,高免責額医療保険加入者は大腸癌スクリーニングにはより安価で,より正確性にかける検査を利用していた.費用分担というものは切れ味の悪いやり方であり,癌スクリーニングは高免責額医療保険の潜在的な負の側面を免れないかもしれない.
(翻訳:こう康博)


患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
骨粗鬆症の薬物による治療
Drug Therapy for Osteoporosis
(翻訳:桂 隆志)
男性における骨粗鬆症のスクリーニング:米国内科学会からの勧告
Screening for Osteoporosis in Men: Recommendations from the American College of Physicians
(翻訳:川口鎮司)
クリニックにて(In the Clinic)
腰痛症
Low Back Pain
本号では腰痛症の臨床について,予防,診断,治療,診療の進歩,および患者情報に焦点をあてて概説している.
(翻訳:こう康博)
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