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患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
骨粗鬆症の薬物による治療
Drug Therapy for Osteoporosis
6 May 2008 | Volume 148 Issue 9 | Page I-28
「患者さんへのまとめ」は ,患者さんが近代医学の複雑でしばしば迷わすような用語をよりよく理解することを助けるためにAnnals誌によって提供されるサービスです.

「患者さんへのまとめ」は情報を提供する目的だけのために提示されています.これらの「まとめ」はあなた自身のかかりつけ医からの助言の代わりとなるものではありません.もしあなたが,この題材について疑問を持ったり,あなた自身の健康あるいは状況についての医学的助言を必要とする場合は,あなたのかかりつけ医と連絡をとってください.「まとめ」は非営利的な教育目的のためだけに転載されても構いません.他の用途への使用については,米国内科学会(ACP)によって承認されなければなりません.

下記の「まとめ」は「骨粗鬆症治療薬の非椎体骨骨折予防に対する相対的効果」というタイトルの論文からのものです.
何が問題であり,これまでにどのようなことが分かっていますか?
人々は加齢に伴って骨が薄くなって行きます.加齢による多少の骨密度の低下は自然なことですが,多くの高齢者では,骨密度の低下した部分はもろくなっていて,この状態は骨粗鬆症と呼ばれます.これは,自然に起こる骨の消耗と再形成のアンバランスに由来するものです.薄い,骨粗鬆症の骨はもろく,正常な密度の骨に比べて折れやすくなっています.幸いなことに,骨粗鬆症の予防に役立つと期待されることがたくさんあります.これには,ビタミンDとカルシウムの十分な摂取,ウォーキングのような自分の体重を利用した規則的な運動,禁煙などがあります.骨粗鬆症の治療と骨折の予防に有効と考えられる薬による治療法もたくさんあります.しかし,骨粗鬆症に対する治療効果について,異なる薬物同士を比較した研究はほとんどありません.

この研究の目的は何ですか?
骨粗鬆症に対する特定の薬物治療が,ほかの薬物治療よりも骨折予防効果において優れているかどうかを検討することです.

どのような人たちが試験の対象になっていますか?
骨粗鬆症の薬物治療を新たに受ける43,135人の患者さんです.大部分が75歳以上の女性で,平均年齢は79歳,女性が96%を占めていました.ナーシングホーム入所者はいませんでした.

どのような研究がおこなわれましたか?
まず,研究者らは米国の二つの州において2000年4月から2005年6月までの間に骨粗鬆症の薬物治療を受けた,メディケア(高齢者などを対象とした米国の公的医療保険)受益者の確認を行いました.この薬物治療には,ビスフォスフォネート製剤(アレンドロネートあるいはリセドロネート)の内服,カルシトニンの点鼻,ラロキシフェンの内服が含まれていました.続いて治療開始から12か月以内に大腿骨あるいは腕を骨折した患者さんを把握するために,メディケアの請求記録を調査し,治療内容ごとの骨折発生率を比較しました.

この研究からどのような結論が出ましたか?
アレンドロネートを処方された患者さんとリセドロネートあるいはラロキシフェンを処方された患者さんの間には,骨折のリスクに大差はありませんでした.点鼻カルシトニンはアレンドロネートに比べて骨折のリスクが高いことを示唆する結果でした.

この研究にはどのような限界がありますか?
研究者らには,処方された薬を患者さんが実際に服用したかどうかは分かりませんでした.また,薬の副作用についての評価を行いませんでした.骨折した患者さんが少なかったために,研究者らは薬剤間に潜在的に存在する可能性のある重要な違いを区別することはできませんでした.

この研究の意義はどのようなものでしょうか?
骨粗鬆症を持つ高齢者の骨折を予防するために,これ一つが明らかに優れているという薬は存在しないのかも知れません.

(翻訳:桂 隆志)

English Abstract

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