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原著(ARTICLE)
高免責額医療保険への変更前後における癌スクリーニング
Cancer Screening before and after Switching to a High-Deductible Health Plan
J. Frank Wharam, MB, BCh, BAO, MPH; Alison A. Galbraith, MD, MPH; Ken P. Kleinman, ScD; Stephen B. Soumerai, ScD; Dennis Ross-Degnan, ScD; and Bruce E. Landon, MD, MBA
6 May 2008 | Volume 148 Issue 9 | Pages 647-655
背景: 免責額の高い医療保険は,患者が癌スクリーニングなどの予防医療の受診を避けることへつながる可能性がある.

目的: 高免責額医療保険への加入が,子宮頚癌・乳癌・大腸癌のスクリーニングに与える影響を調べる.

研究デザイン: グループ間における前後の比較.

セッティング: マサチューセッツ州の高免責額医療保険と健康維持機構(HMO).高免責額医療保険は,マンモグラフィ・パパニコロー検査・便潜血検査(FOBT)を完全にカバーしていたが,大腸内視鏡・S状結腸鏡・大腸二重造影についてはカバーしていなかった.

対象: 高免責額医療保険に加入する3,169人,と対照としてのHMOに加入する27,022人.

測定: 乳癌・子宮頚癌・大腸癌のスクリーニングを受ける患者の割合の変化.

結果: 高免責額医療保険に加入している群では,癌スクリーニング受診率は,基準点とフォローアップ期間で変化はみられなかった(乳癌・子宮頚癌・大腸癌の調整変化率はそれぞれ1.04 [95%信頼区間 0.91-1.19] ,1.04 [信頼区間 0.92-1.17] ,1.02 [信頼区間 0.89-1.16]).高免責額医療保険の加入者は,HMOの加入者に比べて,大腸内視鏡・S状結腸鏡・大腸二重造影の受診率は低く(変化率 0.73 [信頼区間 0.56-0.95]),FOBTの受診率は高かった(変化率 1.16 [信頼区間1.01-1.33]).

研究の限界: 本研究では,基準となる年より以前に受けたスクリーニングを評価できなかったため,集団検診の受診頻度が過小評価されている可能性がある.本研究には,以前に結腸切除,乳房切除,子宮摘出などを受けているためにスクリーニングの対象とはならない患者が含まれていたかもしれない.本研究の知見は,比較的高い社会経済的地位にある集団(雇用され,民間の保険に加入している場合が典型的)に限られたものである.

結論: 高免責額医療保険の加入者は,保険で完全にカバーされていれば,乳癌・子宮頚癌・大腸癌のスクリーニングを変わらず受けていた.しかし加入者は,自己負担となる大腸内視鏡・S状結腸鏡・大腸二重造影を,完全にカバーされているスクリーニング検査(便潜血検査)で代用した可能性がある.

(翻訳:泉谷昌志)

English Abstract

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