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原著(ARTICLE)
コレステロール値のモニタリング:測定誤差か真の変化か?
Monitoring Cholesterol Levels: Measurement Error or True Change?
Paul P. Glasziou, MBBS, PhD; Les Irwig, MBBS, PhD; Stephane Heritier, PhD; R. John Simes, MBBS, MD; Andrew Tonkin, MBBS, MD, for the LIPID Study Investigators
6 May 2008 | Volume 148 Issue 9 | Pages 656-661
背景: コレステロール値のモニタリングは一般的な臨床行為である.しかし,その最適な間隔は不明で,方法は多岐にわたる.

目的: コレステロール低下のため薬物治療中の患者を対象として,治療に対する初期反応のばらつき,初期反応からの長期での変動,個体内での短期変動(雑音;無意味な情報)から治療中のコレステロール値の長期的変化(信号;有益情報)の検出能を評価すること.

研究デザイン: LIPID(虚血性疾患に対するプラバスタチンの長期介入試験)研究でのコレステロール値測定データの解析.

セッティング: 1990年6月から1997年5月までにオーストラリアとニュージーランドで行われた無作為化プラセボ比較試験.

患者: 冠動脈疾患の既往を有し,無作為にプラバスタチンとプラセボ投与に振り分けられた9,014例.

測定: 無作為化試験開始時,6ヶ月後,12ヶ月後,以後連続5年目まで年1回のコレステロール濃度を測定.

結果: プラセボおよびプラバスタチン投与群ともに個体間の測定値の変動は経時的に僅かな増加を認めた.推定された個人内の標準偏差は0.40 mmol/L(15mg/dL)(変動係数,7%)から0.60 mmol/L(23 mg/dL)(変動係数,11%)へ増加したが,長期間の変動が短期間の変動を上回るのに4年間を要とした.この緩徐な変動の増加や平均コレステロール値の僅かな増加は2年間で約2%であり,本研究の変動の大部分は投与後短期間での生物学的かつ分析上の変動によるものであることを示唆している.われわれの計算によれば,目標コレステロール値より0.5 mmol/L(19 mg/dL)以上下回った患者ではモニタリングは治療開始後少なくとも3年間は真の陽性より偽陽性を検出する傾向がある.

研究の限界: 対象患者はプラバスタチン以外の薬物には異なった反応を示すかもしれない.脱落した患者の将来のコレステロール値が変動に影響をおよぼした.

結論: コレステロール値モニタリングでの信号雑音比は軽微である.コレステロール値の僅かな増加は,短期間の変動が7%という背景の下では検出が困難である.定期的に通院した患者の年一回の再検査ではコレステロール値の顕著な増加の多くは偽陽性かもしれない.外来通院予定と無関係にコレステロール低下治療が安定している患者ではモニタリングの間隔を長期化し得る.

(翻訳:新沼廣幸)

English Abstract

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