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(更新日 2008年12月1日)
Annals

Established in 1927 by the American College of Physicians
目次(TABLE OF CONTENTS)
18 November 2008 Volume 149 Issue 10
(監修:塩田哲也,総合監修:宇野久光)
英文のTable of Contentsはこちらをクリックしてください.

原著(Articles)
潜在結核感染に対する4か月間のリファンピン療法あるいは9か月間のイソニアジド療法の有害事象の比較:無作為化試験
Adverse Events with 4 Months of Rifampin Therapy or 9 Months of Isoniazid Therapy for Latent Tuberculosis Infection: A Randomized Trial
Dick Menzies, Richard Long, Anete Trajman, Marie-Josée Dion, Jae Yang, Hamdan Al Jahdali, Ziad Memish, Kamran Khan, Michael Gardam, Vernon Hoeppner, Andrea Benedetti, and Kevin Schwartzman
潜伏結核感染に対する9か月間のイソニアジド療法では肝毒性が認められ,患者の服薬遵守がうまくいかないこともあり治療は複雑化する.Menziesと同僚らは無作為にいずれかの治療に割り当てられた847人の患者で,4か月間のリファンピン療法と9か月間のイソニアジド療法の間で有害事象と治療完了の頻度を比較した.リファンピンの治療を受けた患者では副作用がより少なく,治療を完了する可能性が高かった.研究者らは2つの治療法の有効性を比較していないため,潜伏結核感染に対するこれら2つの治療法の有効性を比較する大規模臨床試験が求められる.
(翻訳:こう康博)
急性深部静脈血栓症後の血栓後症候群の決定因子と時間経過
Determinants and Time Course of the Postthrombotic Syndrome after Acute Deep Venous Thrombosis
Susan R. Kahn, Ian Shrier, Jim A. Julian, Thierry Ducruet, Louise Arsenault, Marie-José Miron, Andre Roussin, Sylvie Desmarais, France Joyal, Jeannine Kassis, Susan Solymoss, Louis Desjardins, Donna L. Lamping, Mira Johri, and Jeffrey S. Ginsberg
深部静脈血栓症(DVT)後におこる慢性的な下肢の症状(DVT後遺症)はよく見られる病態であるがその予測は難しい.Kahnと共同研究者らは387例についてDVT発症後2年間の下肢症状を標準的なスケールを用いて検討した.観察期間を通して軽症,中等症,重症のDVT後遺症は,それぞれ30%,10%,3%の患者で発生したが,多くの症例でその重症度は経過中に変動した.年齢,DVTの既往,そして1か月目の重症度が,長期の重症度を予測する最も良い因子であった.
(翻訳:川名正敏)
動機づけ強化療法に認知行動療法を加えた治療と動機づけ強化療法単独による1型糖尿病への治療介入:無作為化試験
Motivational Enhancement Therapy with and without Cognitive Behavior Therapy to Treat Type 1 Diabetes: A Randomized Trial
Khalida Ismail, Stephen M. Thomas, Esther Maissi, Trudie Chalder, Ulrike Schmidt, Jonathan Bartlett, Anita Patel, Christopher M. Dickens, Francis Creed, and Janet Treasure
1型糖尿病の血糖管理は心理学的要因に影響されうる.Ismailと同僚らは,心理療法が糖尿病の血糖コントロールを改善させるかどうかを検討した.344人の成人1型糖尿病患者(平均HbA1c値9.4%)を,動機づけ強化+認知行動療法群,動機づけ強化療法単独群,通常治療群の3群に分け介入を行った.動機づけ強化+認知行動療法群は通常治療群に比較して,1年後のHbA1c値の低下が大きかった(2群間の差は−0.46%).HbA1c値以外のアウトカムの改善は認められなかった.
(翻訳:渡邊祐子)
患者診療の質の改善(Improving Patient Care)
医療の実践における癒しの技術
Healing Skills for Medical Practice
Larry R. Churchill and David Schenck
医師が患者とつながりを持つこと自体が癒しの効果を発揮しうるが,そこで必要とされる技術については十分研究されていない.ChurchillとSchenckは同僚からの推薦を受けた50人のアロパシー(逆症療法)あるいは代替療法の施術師にインタビューを行った.8つの重要な技術が浮かび上がった:小さなことをくりかえし行うこと,時間をかけること,オープンな態度で話を聞くこと,好きなもの・愛するものを見つけること,障壁を取り除くこと,患者に説明してもらうこと,出典を明らかにして共有すること,そして熱心であることである.
(翻訳:紺谷 真)
医学と臨床(Academia and Clinic)
リスク層別化表を使ってリスク予測の重要性を評価する
Assessing the Value of Risk Predictions by Using Risk Stratification Tables
Holly Janes, Margaret S. Pepe, and Wen Gu
リスク層別化表は,確立された一連のリスク指標を含むリスク予測モデルへ新しいリスク指標を加えることの利点を評価するものである.Janesと同僚らは新しいリスク指標を含むモデルと含まないモデルを3種類の重要なモデル性能判定手法のかわりに比較するために,いかにリスク層別化表を使用するべきかを示している.彼らはリスク階層化表が一般的に報告されているリスク予測モデル性能判定手法よりいかに進歩しているかを論じている.
(翻訳:石塚尋朗)

診療ガイドライン(Clinical Guidelines)
うつ病性障害治療における第二世代抗うつ薬使用:米国内科学会からの臨床診療ガイドライン
Using Second-Generation Antidepressants to Treat Depressive Disorders: A Clinical Practice Guideline from the American College of Physicians
Amir Qaseem, Vincenza Snow, Thomas D. Denberg, Mary Ann Forciea, Douglas K. Owens for the Clinical Efficacy Assessment Subcommittee of the American College of Physicians
このガイドラインは,大うつ病,気分変調症,小うつ病,およびそれらに随伴する症状の急性期,継続期,維持期における第二世代抗うつ薬治療の最近のエビデンスを示している.米国内科学会では,臨床医は,副作用,費用,そして患者の好みに基づいて,第二世代抗うつ薬を選択すべきであるということを勧告している.また,臨床医は,投与開始1〜2週以内に,患者の状態,治療への反応,そして副作用を定期的に評価し,投与開始6〜8週以内に治療への十分な反応がみられなかった場合は,治療法を修正すべきであると述べている.さらに治療期間に関しては,うつ症状を初めて経験した患者の場合は,効果的な反応がみられた後,4〜9か月間の継続投与,また,2回以上経験している患者の場合は,さらに長期にわたって治療を継続すべきであると勧告している.
(翻訳:市堰 肇)
第二世代抗うつ薬の有益性と有害性の直接比較:米国内科学会への主要報告書
Comparative Benefits and Harms of Second-Generation Antidepressants: Background Paper for the American College of Physicians
Gerald Gartlehner, Bradley N. Gaynes, Richard A. Hansen, Patricia Thieda, Angela DeVeaugh-Geiss, Erin E. Krebs, Charity G. Moore, Laura Morgan, and Kathleen N. Lohr
成人のうつ病性障害の治療に汎用されている第二世代抗うつ薬の有益性と有害性のエビデンスを精査した.全203の研究結果によれば,効能もしくは有効性の点からは第二世代抗うつ薬は実質的には相違がなかったが,特異的有害事象と薬理作用の発現時期には相違を認めた.今回の結果は,気分変調症や小うつ病の治療における第二世代抗うつ薬の効能,有効性,もしくは有害性の比較にまで言及するものではない.
(翻訳:中村浩士)
論評(Editorials)
必要とされている:それは潜在結核感染に対抗するための新しくかつより良い手段である
Needed: New and Better Tools to Combat Latent Tuberculosis Infection
Henry M. Blumberg
潜在結核感染に対する治療計画の受け入れとアドヒアランスは不十分なことが多い.この号で,Menziesと同僚らは,リファンピン4か月間投与群とイソニアジド9か月間投与群の無作為化試験を行い,Grade3から4の肝障害の出現頻度がリファンピン投与群で有意に低いことを報告した.リファンピン群の方が治療を完了する可能性も高かった.潜在結核感染に対するリファンピン単独療法の有効性評価を目的とした大規模試験が必要である,と著者らは結論づけている.
(翻訳:桂 隆志)


患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
1型糖尿病の管理を改善するための心理療法
Psychological Therapy to Improve Control of Type 1 Diabetes
(翻訳:小山雄太)
うつ病治療のための薬剤使用:米国内科学会からのガイドライン
Use of Drugs to Treat Depression: Guidelines from the American College of Physicians
(翻訳:村上 純)
ACP Journal Club
患者ケアのための最良の新しいエビデンス
論評:状況に応じたエビデンス:ある人にとっての毒は,他の人には受け入れ可能な危険である.
Editorial: Evidence in context: One person's poison is another's acceptable risk
総説:外科的,外傷,脳卒中の状況下においてヘモグロビンに基づいた血液補充は死亡率,心筋梗塞を増やす.
Review: Hemoglobin-based blood substitutes increase mortality and myocardial infarction in surgical, trauma, and stroke settings
総説:INRが2未満もしくは3〜5の抗凝固療法は血栓塞栓症または出血のイベントの危険性を増やす.
Review: Anticoagulation with INRs < 2 or between 3 and 5 increases risk for thromboembolic or hemorrhagic events
集中的と準集中的腎代替療法では,重篤な患者に対し,死亡率や腎機能の違いはない.
Intensive and less-intensive renal replacement therapy did not differ for death or kidney function in critically ill patients
総説:早期の侵襲的治療戦略は,非ST上昇型心筋梗塞もしくは不安定狭心症の男女どちらにも同等の効果があった.
Review: An early invasive strategy has similar benefits in men and women with NSTEMI or unstable angina
Tiboloneは骨粗鬆症のある高齢女性で骨折と乳癌の危険性を減らしたが,脳卒中の危険性を増やした.
Tibolone reduced risk for fractures and breast cancer but increased risk for stroke in older women with osteoporosis
スクリーニングのマンモグラフィの前に4%リドカイン・ゲルを乳房に塗ると不快感を減じた.
4% lidocaine gel applied to the breasts before screening mammography reduced discomfort
総説:肝硬変による食道静脈瘤からの出血に対する内視鏡的治療及び薬物療法は,どちらか単独で行うよりも再出血を予防する.
Review: Endoscopic plus drug therapy prevents rebleeding more than either one alone in cirrhosis with bleeding esophageal varices
論評:Rifaximinは肝性脳症に対して,他の抗菌薬やlactuloseと同等かそれ以上に有用である.
Review: Rifaximin is equally or more effective than other antibiotics and lactulose for hepatic encephalopathy
早期胃癌の内視鏡的切除後にH. pyloriを除菌する事は,異時性の胃癌の危険を減らした.
Eradication of H. pylori after endoscopic resection for early gastric cancer reduced risk for metachronous gastric cancer
総説:心理的介入は脳卒中後のうつを予防する.
Review: Psychological interventions prevent depression after stroke
慢性関節リウマチにおける心血管イベントの10年間のリスクは10〜56%だった;これは心血管リスクファクターのある患者の中で最大であった.
10-year risk for CV events was 10% to 56% in rheumatoid arthritis; risk was greatest for patients with CV risk factors
HIVセロコンバージョン後の超過死亡率は過去10年間で非常に低下した.
Excess mortality after HIV seroconversion has greatly decreased in the past 10 years
用語解説.
Glossary
(翻訳:秋山真一郎)

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