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(更新日 2008年7月28日)
Annals

Established in 1927 by the American College of Physicians
目次(TABLE OF CONTENTS)
15 July 2008 Volume 149 Issue 2
(監修:菅野義彦,総合監修:川村光信)
英文のTable of Contentsはこちらをクリックしてください.

原著(Articles)
膝関節鏡後の血栓予防に対する低分子ヘパリン投与と弾性ストッキング装着の比較:無作為化試験
Low-Molecular-Weight Heparin versus Compression Stockings for Thromboprophylaxis after Knee Arthroscopy: A Randomized Trial
Giuseppe Camporese, Enrico Bernardi, Paolo Prandoni, Franco Noventa, Fabio Verlato, Paolo Simioni, Kadimashi Ntita, Giovanna Salmistraro, Christos Frangos, Franco Rossi, Rosamaria Cordova, Francesca Franz, Pietro Zucchetta, Dimitrios Kontothanassis, Giuseppe Maria Andreozzi for the KANT (Knee Arthroscopy Nadroparin Thromboprophylaxis) Study Group
この臨床試験では,膝関節鏡を施行された成人1,761名が,7日間もしくは14日間低分子ヘパリンを投与される群か,段階的弾性ストッキングを患肢に1週間装着する群か,に無作為に振り分けられた.いずれの群においても明らかな術後の出血の合併を起こした患者は1%未満であった.7日間低分子ヘパリンを投与した群では深部静脈血栓症,肺塞栓症もしくは死亡にいたる患者が少なかった.
(翻訳:山前正臣)
集中治療室患者に対する経験的フルコナゾールの投与:無作為化試験
Empirical Fluconazole versus Placebo for Intensive Care Unit Patients: A Randomized Trial
Mindy G. Schuster, John E. Edwards, Jr., Jack D. Sobel, Rabih O. Darouiche, Adolf W. Karchmer, Susan Hadley, Gus Slotman, Helene Panzer, Pinaki Biswas, and John H. Rex
この多施設試験は,集中治療室患者の発熱に対する経験的な抗真菌薬投与の効果を調べたものである.研究者らは広域スペクトラムの抗菌薬投与にもかかわらず発熱している270名の患者を,フルコナゾール1日800mg投与群とプラセボ群に,2週間,ランダムに割り当てた.両群の約40%が以下の治療成功の4項目すべてを満たした.すなわち,発熱の改善,侵襲的な真菌感染がないこと,毒性による治療の中断がないこと,そして他の抗真菌薬の全身的な投与が不要なことである.ハイリスクな集中治療室患者において,抗真菌薬であるフルコナゾールの経験的投与は,プラセボ群に比較して効果が認められなかった.
(翻訳:加藤哲朗)
若年成人期における前高血圧と中高年での冠動脈石灰化
Prehypertension during Young Adulthood and Coronary Calcium Later in Life
Mark J. Pletcher, Kirsten Bibbins-Domingo, Cora E. Lewis, Gina S. Wei, Steve Sidney, J. Jeffrey Carr, Eric Vittinghoff, Charles E. McCulloch, and Stephen B. Hulley
今回の前向きコホート研究で,プレッチャーと同僚らは35歳以前の前高血圧,とくに収縮期前高血圧が高度なほど,中年期の冠動脈石灰化と関連することを示した.35歳以降の血圧上昇や他の冠動脈危険因子・参加者特性の違いを補正しても,強い関連が認められた.
(翻訳:白山武司)
患者診療の質の改善(Improving Patient Care)
患者が報告する病院有害事象と医療記録審査を比較する:患者は病院が知らないことを知っているのか?
Comparing Patient-Reported Hospital Adverse Events with Medical Record Review: Do Patients Know Something That Hospitals Do Not?
Joel S. Weissman, Eric C. Schneider, Saul N. Weingart, Arnold M. Epstein, JoAnn David-Kasdan, Sandra Feibelmann, Catherine L. Annas, Nancy Ridley, Leslie Kirle, and Constantine Gatsonis
患者へのインタビューが医療記録調査では見抜けなかった有害事象を明らかにできるかどうかに関してほとんど知られていない.Weissmanとその同僚らは,退院後の患者へのインタビューにより明らかになった有害事象発生率と,医療記録より明らかになった発生率を比較した.998名を対象とし調査したところ,医療記録では有害事象発生率が11%であったが,インタビューにより23%の患者が少なくとも一つの有害事象を経験していることが分かった.医療記録は重大かつ予防可能な11件の有害事象を確認した.インタビューは医療記録に記載されていない21件の重大かつ予防可能な有害事象を確認した.病院は退院後のインタビューに有害事象に関する質問を加えるべきであると考えられる.
(翻訳:柳内秀勝)
総説(Reviews)
メタ解析:肝硬変症における内視鏡と薬物併用治療での食道静脈瘤再出血の抑止
Meta-analysis: Combination Endoscopic and Drug Therapy to Prevent Variceal Rebleeding in Cirrhosis
Rosario Gonzalez,Javier Zamora,Judith Gomez-Camarero,Luis-Miguel Molinero,Rafael Banares,and Agustin Albillos
Gonzalezとその共同研究者らは,食道静脈瘤の再出血の抑止に対する内視鏡およびβブロッカー併用治療と,内視鏡またはβブロッカーいずれかの単独治療とを比較した23の試験のメタ解析を施行した.併用治療はより効果的であった.しかしながら,多くの試験は,現在では標準的治療となった静脈瘤結紮術によって広くとってかわられた食道静脈瘤硬化療法での研究によるものであった.食道静脈瘤出血を抑止するために,内視鏡と経口βブロッカー併用治療は単独治療よりも効果的であるらしい.
(翻訳:加藤秀章)
初回治療薬の薬剤耐性と結核治療成績:系統的レビューとメタ解析
Initial Drug Resistance and Tuberculosis Treatment Outcomes: Systematic Review and Meta-analysis
Woojin Lew, Madhukar Pai, Olivia Oxlade, Daniel Martin, and Dick Menzies
薬剤耐性結核がより普遍的にみられるようになり,結核の治療成績を最善化することがますます困難となりつつある.Lewと同僚らは,14,333名の新規結核症例を含む22の臨床試験と7つのコホート研究をレビューした.治療の不成功は,治療初期に存在する薬剤耐性菌や薬剤感受性試験を考慮せずに行われた治療内容と相関を示した.治療失敗率あるいは再発率は,リファンピシンを2ヵ月間投与された患者群では35%から40%で,リファンピシンを6ヵ月間投与された患者群では20%であった.結核治療を開始する前に薬剤感受性試験を行わないと,治療のアウトカムの低下を招くのを予想しうる.
(翻訳:峠岡康幸)
医学の歴史(History of Medicine)
米国におけるペニシリン投与第一例
The First Use of Penicillin in the United States
Charles M. Grossman
米国で最初にペニシリンが投与されたのは1942年3月14日のことであった.敗血症の重篤患者に対し,エール-ニューヘブン病院で使用されたのが第一例目である.エールの若手医師として,筆者は非常に意義深い一連の出来事に関わっていることを実感した.しかし,当時そのことに気づいているものはほとんどいなかった.
(翻訳:沖 将行)
論評(Editorials)
膝関節鏡を受ける患者の血栓予防法: 価値と選択の再考
Thromboprophylaxis in Knee Arthroscopy Patients: Revisiting Values and Preferences
Russell D. Hull
この号で,Camporeseと同僚らが,膝関節鏡を受ける成人における低分子量ヘパリン(LMWH)による血栓予防療法の大規模無作為化試験の結果を報告している.この研究は,LMWHによる血栓予防療法の効果と安全性についてしっかりとした情報を与え,膝関節半月板切除術のため膝関節鏡を受ける患者において,静脈血栓塞栓症を予防するためにLMWHを投与することを裏付けている.
(翻訳:金澤雅人)


答えはここにある: 好中球減少を伴わない集中治療室患者に対するフルコナゾールの予防投与は有益ではない.
The Answer Is In: Fluconazole Prophylaxis Is Not Beneficial for Intensive Care Unit Patients without Neutropenia
Thomas Fekete
この号で,Schusterと同僚らが,通常の抗菌薬を投与されているにもかかわらず,発熱が持続しているハイリスクな集中治療室患者に対するフルコナゾールを用いた経験的な抗真菌療法に効果がないことを示している.集中治療室患者におけるフルコナゾールの経験的な予防研究は終了し,著者らは患者のアウトカムを改善する他の手段を模索することを推奨している.
(翻訳:金澤雅人)


ACP  Journal Club
患者ケアのための最良の新しいエビデンス
The Best New Evidence for Patient Care
論評:個々の患者に対応するEBM(パート2).個々の患者の問題解決のためのガイドとツール.
Editorial: Evidence-based medicine targets the individual patient. Part 2: Guides and tools for individual decision-making
調節可能な胃バンディング術(腹腔鏡下で胃上部周囲にシリコンチューブを留置し,腹壁のポートを通じて生理食塩水を注入して胃内腔量を調節する体重減量法)は,肥満の2型糖尿病患者の血糖コントロールを改善させた.
Adjustable gastric banding improved glycemic control in obese patients with type 2 diabetes
個別指導を用いた減量・維持プログラムは過体重および肥満患者(BMI 25〜45 Kg/m2)の体重リバウンドを軽減させた.
A personal-contact weight-loss maintenance intervention reduced weight regain in overweight and obese adults
“肺年齢―自分のFEV1.0(1秒量)が,健康人の1秒量の何歳相当か―”を患者に知らせることが禁煙の成功につながった.
Telling smokers their "lung age" promoted successful smoking cessation
総説:Late PCI (AMI発症後12時間以上経過し病状が安定している患者に行われた経皮的冠動脈形成術)は至適薬物治療に比べて生存率を改善させた.
Review: Late percutaneous coronary intervention after AMI improves survival more than optimal medical therapy
総説: スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)は脳血管障害を予防し,全死亡率(all-cause mortality)を減少させる.
Review: Statins prevent stroke and reduce mortality
総説:虚血性脳血管障害に続発する静脈血栓塞栓症の予防において,低分子量へパリンは非分画へパリンより優れている.
Review: Low-molecular-weight heparin is better than unfractionated heparin to prevent VTE after ischemic stroke
総説:うつ病のスクリーニングあるいは診断に特化した質問票の単独導入によって,うつ病の診断は増えるが,うつ病治療の改善には効果はない.
Review: Screening or case-finding questionnaires used alone are not effective in the management of depression
プロバイオティクス乳酸菌(Lactobacilli-fermented milk)の連日投与は,入院患者の抗生物質関連下痢症を予防した.
Daily use of a lactobacilli probiotic prevented antibiotic-associated diarrhea in hospitalized patients
肺換気血流シンチグラムは肺塞栓症の診断に有用な情報を提供した.
Ventilation-perfusion scintigraphy provided useful information for diagnosing pulmonary embolism
総説:肺の孤立腫瘤影の診断に対して,4種類の画像検査は同等に高い感度・特異度を有する.
Review: Imaging techniques have similarly high accuracy for diagnosing cancer in solitary pulmonary nodules
偶然発見された認知症患者の14年間のフォローにより,患者死亡のリスクは年齢,性別,ADLの低下度から予測可能であった.
Age, sex, and functional impairment predicted risk for mortality in incident dementia at 14 year follow-up
若い女性のヒトパピローマウイルス(HPV)初感染のリスクは,初交時の男性パートナーが既に性体験のある場合に高かった.
Young women's risk for first HPV infection was high and increased when the first male partner was sexually experienced
上記以外に特記すべき論文
Other Articles Noted
用語集
Glossary
(翻訳:渡邊祐子)

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