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(更新日 2008年8月18日)
Annals

Established in 1927 by the American College of Physicians
目次(TABLE OF CONTENTS)
5 August 2008 Volume 149 Issue 3
(監修:安藤聡一郎,総合監修:吉田直之)
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原著(Articles)
救急診療部における迅速HIV検査から予想を改める
Revising Expectations from Rapid HIV Tests in the Emergency Department
Rochelle P. Walensky, Christian Arbelaez, William M. Reichmann, Ron M. Walls, Jeffrey N. Katz, Brian L. Block, Matthew Dooley, Adam Hetland, Simeon Kimmel, Jessica D. Solomon, and Elena Losina
迅速口腔HIV検査の性能特性を調査した研究はあまりない.Walenskyと同僚らによると,都市部の救急診療部を受診した成人849名中39例で迅速口腔HIV検査が陽性であった.確認検査をしたところ,これら患者39例中の26例がHIV非感染,と予想よりはるかに偽陽性率が高かった.HIV感染のオッズは,陽性結果によって検査前オッズと比較すると8倍から32倍に増加した.迅速口腔HIV検査は,より大きなHIV感染のオッズを有する患者の同定に役立つだろう.
(翻訳:赤真秀人)
行動療法が女性の切迫性尿失禁に対する薬物療法の中止を可能にする:無作為化試験
Behavioral Therapy to Enable Women with Urge Incontinence to Discontinue Drug Treatment: A Randomized Trial
Kathryn L. Burgio, Stephen R. Kraus, Shawn Menefee, Diane Borello-France, Marlene Corton, Harry W. Johnson, Veronica Mallett, Peggy Norton, Mary P. FitzGerald, Kimberly J. Dandreo, Holly E. Richter, Thomas Rozanski, Michael Albo, Halina M. Zyczynski, Gary E. Lemack, Toby C. Chai, Salil Khandwala, Jan Baker, Linda Brubaker, Anne M. Stoddard, Patricia S. Goode, Betsy Nielsen-Omeis, Charles W. Nager, Kimberly Kenton, Sharon L. Tennstedt, John W. Kusek, T. Debuene Chang, Leroy M. Nyberg, William Steers for the Urinary Incontinence Treatment Network
著者らは行動療法を取り入れることで,女性の切迫性尿失禁に対する薬物療法を中止できるかどうかを明確にしようとした.今回の多施設研究では,尿失禁をもつ307人の女性を10週間のトルテロジン(商品名:デトルシトール)投与に行動療法を加えた群とトルテロジン投与のみの群とに無作為に割り付けた.6か月後には,両群の41%の患者で,70%以上の失禁回数の減少と治療の中止が報告された,しかし行動療法を加えても,短期間の治療では切迫性尿失禁に持続的な改善はみられない.
(翻訳:桑江紀子)
医療保険非加入の米国成人における慢性疾患の有病率と医療アクセスに関する全国調査
A National Study of Chronic Disease Prevalence and Access to Care in Uninsured U.S. Adults
Andrew P. Wilper, Steffie Woolhandler, Karen E. Lasser, Danny McCormick, David H. Bor, and David U. Himmelstein
医療保険非加入の米国民は主として継続した医療ケアの必要性を求めていないという報告がある.Wilperと同僚らは,米国全国健康・栄養調査のデータを基に,米国労働年齢の1,100万人以上が医療保険非加入で,心血管疾患,高血圧症,糖尿病,高脂血症,閉塞性肺疾患を有している,または癌の既往がある―と推測している.医療保険非加入の慢性疾患患者は医療保険加入の患者より医療従事者の受診が少なく,救急診療部を標準的医療機関と認識する傾向がみられた.
(翻訳:新沼廣幸)
総説(Reviews)
系統的レビュー:潜在結核感染の診断に関するT細胞に基づいた分析:最新版
Systematic Review: T-Cell-based Assays for the Diagnosis of Latent Tuberculosis Infection: An Update
Madhukar Pai, Alice Zwerling, and Dick Menzies
ツベルクリン反応(TST)とインターフェロン-γ測定検査(IGRAs)が潜在結核の発見のために用いられている.Paiと同僚らが行った38の研究を含む最新のメタ解析では,BCGワクチンを受けていない集団でTSTとIGRAsの両者が結核に対して高い特異度(95%)を示した.BCGワクチンを受けている集団でのIGRAsの特異度は,BCGワクチンを受けていない集団と同様に良好であり,TSTの特異度より大幅に高かった.したがって,IGRAsはBCGワクチンを受けている患者で,潜在結核が疑われる場合に実施するのが望ましい.
(翻訳:鈴木克典)
展望(Perspectives)
診断に対して
Against Diagnosis
Andrew J. Vickers, Ethan Basch, and Michael W. Kattan
診断を決定するカット・ポイントにはかなりの限界がある.リスク予測においては患者の複数の危険因子が単一モデルに統合され,治療に関する共同意思決定に利用される結果に統合されるが,そのようなリスク予測から,診断の代替案が提案されるかもしれない.著者らは診断とリスク予測からのアプローチを比較し,医学上の問題にはどのタイプが最も適しているかの確認を試みている.
(翻訳:塩田哲也)


診療ガイドライン(Clinical Guidelines)
前立腺癌のスクリーニング:米国予防医療サービス専門作業部会の勧告
Screening for Prostate Cancer: U.S. Preventive Services Task Force Recommendation Statement
U.S. Preventive Services Task Force
米国予防医療サービス専門作業部会(USPSTF) は,前立腺癌のスクリーニングに関する2002年度の勧告を最新のものに改定した.75歳未満の男性における前立腺癌のスクリーニングが,有益なのか有害なのかを評価するには,現在の臨床研究による根拠では不十分である(声明I).USPSTFは,75歳以上の男性において,前立腺癌のスクリーニングを推奨しない(推奨度D).
(翻訳:菊地基雄)
前立腺特異抗原による前立腺癌のスクリーニングの有益性と有害性:米国予防医療サービス専門作業部会のための最新のエビデンス
Benefits and Harms of Prostate-Specific Antigen Screening for Prostate Cancer: An Evidence Update for the U.S. Preventive Services Task Force
Kenneth Lin, Robert Lipsitz, Therese Miller, and Supriya Janakiraman
本号では,米国予防医療サービス専門作業部会(USPSTF)の勧告を裏付けるために,Linと同僚らは症状のない男性に対する前立腺癌のスクリーニングの有益性と有害性に関して,新しいエビデンスを追求する目的で系統的レビューを実施した.前立腺癌のスクリーニングに関する良質の無作為化比較試験は存在しなかった.1つの横断研究と2つの前向きコホート研究が比較的良質であった.その研究では,前立腺特異抗原(PSA)が偽陽性であるという結果のために,その後1年間にわたり被検者に精神的な悪影響を引き起こした.著者らは,PSAによるスクリーニングは精神的な有害性と関連しており,その潜在的な有益性は不明なままであると結論付けている.
(翻訳:澤木秀明)
論評(Editorials)
最悪の出漁(The Deadliest Catch):HIVを新たな海域で釣り上げる
The Deadliest Catch: Fishing for HIV in New Waters
Christopher D. Pilcher and C. Bradley Hare
本号でWalenskyと同僚らは,ある救急診療部での迅速口腔HIVスクリーニングの使用経験について報告している.陽性結果のほとんどは偽陽性であったため,著者らは口腔HIV検査の使用に対して警告し,有病率の低い状況では,このテストの精度についての期待を控えめにしておくよう勧めている.その一方で,早期発見・治療はHIVの拡大防止に関して,我々が依然として最も期待していることであり,救急治療の場でのHIVスクリーニングは正しい戦略となるのかもしれない.
(翻訳:塩田哲也)


慢性疾患を有する医療保険非加入者の診療とアウトカムの改善の現状
Improving Care and Outcomes of Uninsured Persons with Chronic Disease ... Now
Marshall H. Chin
本号におけるWilperと同僚らの論文で,医療保険非加入者たちの間で慢性疾患が猛威を振るっていることが示されている.この論評では,政策改革の機会を明らかにし,そして全ての診療所,病院,健康保険が,慢性疾患を有する脆弱な患者たちの予後を改善するために,今何ができるかを概説している.
(翻訳:小河秀郎)


患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
唾液を用いた迅速口腔ヒト免疫不全ウイルス感染検査
Rapid Oral Testing for HIV Infection
(翻訳:桂 隆志)
前立腺特異抗原を用いた前立腺がんのスクリーニングについて:米国予防医療サービス専門作業部会の勧告
Screening for Prostate Cancer with Prostate-Specific Antigen Testing: U.S. Preventive Services Task Force Recommendations
(翻訳:大島康雄)
クリニックにて(In the Clinic)
胃食道逆流症
Gastroesophageal Reflux Disease
本号では胃食道逆流症の臨床について,予防,スクリーニング,診断,治療,診療の進歩,患者情報に焦点をあてて概説している.
(翻訳:今村隆明)
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