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原著(ARTICLE)
行動療法が女性の切迫性尿失禁に対する薬物療法の中止を可能にする:無作為化試験
Behavioral Therapy to Enable Women with Urge Incontinence to Discontinue Drug Treatment
A Randomized Trial
Kathryn L. Burgio, PhD; Stephen R. Kraus, MD; Shawn Menefee, MD; Diane Borello-France, PT, PhD; Marlene Corton, MD; Harry W. Johnson, MD; Veronica Mallett, MD; Peggy Norton, MD; Mary P. FitzGerald, MD; Kimberly J. Dandreo, MSc; Holly E. Richter, PhD, MD; Thomas Rozanski, MD; Michael Albo, MD; Halina M. Zyczynski, MD; Gary E. Lemack, MD; Toby C. Chai, MD; Salil Khandwala, MD; Jan Baker, APRN; Linda Brubaker, MD; Anne M. Stoddard, ScD; Patricia S. Goode, MD; Betsy Nielsen-Omeis, RN, BSN; Charles W. Nager, MD; Kimberly Kenton, MD; Sharon L. Tennstedt, PhD; John W. Kusek, PhD; T. Debuene Chang, MD; Leroy M. Nyberg, MD, PhD; and William Steers, MD, for the Urinary Incontinence Treatment Network*
5 August 2008 | Volume 149 Issue 3 | Pages 161-169
背景: 切迫性尿失禁を有する女性は通常,抗ムスカリン作用薬で治療されているが,多くは治療を中断してしまう.

目的: 女性の切迫性尿失禁患者に対する抗ムスカリン作用薬治療と行動療法の併用が,薬物療法のみと比較して,臨床的に有意な尿失禁回数の減少を達成し,投薬をやめた後もその効果を持続させる彼らの能力の改善に,より有用かどうかを明確にする.

研究デザイン: 2004年7月から2006年1月までの期間施行された2段階,多施設における無作為化臨床試験

セッティング: 9つの大学関連クリニック

患者: 切迫性尿失禁を有する307人の女性

介入: 10週間のオープンラベル試験で,153人をトルテロジン(商品名:デトルシトール)徐放カプセル投与のみ,154人をトルテロジン投与と行動療法の併用とした.その後,治療を中止し,8か月間の追跡調査を行った.

測定: 8か月目の評価の第1アウトカムは,切迫性尿失禁に対する薬物などの治療の中止と尿失禁回数の70%以上の減少である.第2アウトカムは失禁回数の減少,自己申告による満足度と改善度,尿失禁に伴う症状と健康関連QOLに関する検証された尺度のスコアである.アウトカム評価を行った研究スタッフは,参加者や介入者と異なり,グループ割付を知らされていない.

結果: 237人が研究を終了した.生命表評価によると,8か月の時点での治療終了率は薬物療法と行動療法の併用群と薬物療法のみの群とで差は認められなかった(両群とも41%;差,0パーセンテージポイント[95%信頼区間(CI),-12―12パーセンテージポイント]).10週の時点では薬物療法のみの群と比べると,併用療法群で70%以上の失禁回数の減少を認めた患者が多かった(69%対58%;差,11パーセンテージポイント[CI,-0.3―22.1パーセンテージポイント]).尿失禁に伴う症状と健康関連QOLの尺度(Urogenital Distress InventoryおよびOveractive Bladder Questionnaire)による評価の結果,併用療法群において調査期間を通して,尿失禁に伴う症状の改善でより良好なアウトカムが得られた(両尺度ともにP<0.001).患者満足度と自覚的改善度も併用療法群で高かったが,健康関連QOLにはこのような傾向はみられなかった.副作用はまれであった(参加者6人で12事象,各群でそれぞれ3事象).

研究の限界: 薬物療法のみの群における行動療法の要素(排尿日誌をつけることと水分管理の勧め)が両群間の差を縮めた可能性がある.8か月時点でのアウトカムは参加者全員の77%で評価されているが,割り付けられた治療が最後まで行われたのは68%であった.

結論: 薬物療法に行動療法を追加することで,積極的治療の間に尿失禁の回数を減少させられるかもしれない.しかし,薬物療法の中止が可能になり,得られた改善効果を維持できるようになるというわけではない.併用療法は,患者満足度および自覚的改善度,他の膀胱症状の軽減に対して有効である.

(翻訳:桑江紀子)

English Abstract

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