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診療ガイドライン(Clinical Guidelines)
前立腺特異抗原による前立腺癌のスクリーニングの有益性と有害性:米国予防医療サービス専門作業部会のための最新のエビデンス
Benefits and Harms of Prostate-Specific Antigen Screening for Prostate Cancer: An Evidence Update for the U.S. Preventive Services Task Force
Kenneth Lin, MD; Robert Lipsitz, MD, MPH; Therese Miller, DrPH; and Supriya Janakiraman, MD, MPH
5 August 2008 | Volume 149 Issue 3 | Pages 192-199
背景: 前立腺癌は米国で最も頻度の高い非皮膚癌である.そして近年,前立腺癌に対するスクリーニングは増加してきている.2002年に米国予防医療サービス専門作業部会(USPSTF)は,前立腺特異抗原(PSA)検査で前立腺癌のスクリーニングを行うことに関して是か非かを決めるだけの十分なエビデンスはないと結論づけていた.

目的: 症状のない男性でPSAを用いて,前立腺癌のスクリーニングを行うことの有益性と有害性に関する新しいエビデンスを検討すること.

情報源: PubMedとコクランライブラリー(検索期間,2002年1月から2007年7月)で確認された英語論文,検索された論文の参考文献一覧,専門家の提言

研究の選択: PSAによるスクリーニング検査の無作為化比較試験とメタ解析および,有害性の調査とスクリーニングで検出された癌の自然経過に関する横断研究とコホート研究が,以下の質問に答えるべく選択された:単一閾値テストとして,あるいは経過をみて多変量の関数としてPSAを用い,前立腺癌のスクリーニングを行うことが,罹患率や死亡率の低下をもたらすか?前立腺癌のスクリーニングに関連する,過剰治療以外の,有害性の重大さと特徴は何であるか?PSAで検出された,触知不能な限局性前立腺癌の自然経過はどのようなものであるか?

データ抽出: 諸研究のレビューと要約を行い,あらかじめ定義されているUSPSTF基準を用いて研究の質を評価した.

データ統合: 前立腺癌のスクリーニングに関する良質の無作為化比較試験は存在しなかった.1つの横断研究と2つの前向きコホート研究が比較的良質であった.その研究では,PSAが偽陽性であるという結果のために,その後1年間にわたり被検者に精神的な悪影響を引き起こした.PSAが検出された前立腺癌の自然経過はよく分かっていない.

研究の限界: 最適な研究はほとんど検索されなかった.PSAによるスクリーニングで偽陽性であった場合の長期の悪影響はよく分かっていない.

結論: PSAによるスクリーニングは精神的な障害と関連があり,その潜在的な有益性は不明のままである.

(翻訳:澤木秀明)

English Abstract

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