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(更新日 2008年9月1日)
Annals

Established in 1927 by the American College of Physicians
目次(TABLE OF CONTENTS)
19 August 2008 Volume 149 Issue 4
(監修:石塚尋朗,総合監修:宇野久光)
英文のTable of Contentsはこちらをクリックしてください.

原著(Articles)
狭心症に対する冠動脈造影の適否基準:信頼性と妥当性について
Appropriateness Criteria for Coronary Angiography in Angina: Reliability and Validity
Harry Hemingway, Ruoling Chen, Cornelia Junghans, Adam Timmis, Sandra Eldridge, Nick Black, Paul Shekelle, and Gene Feder
 患者の個別要因を考慮した適否基準が専門家によって開発されているが,これを利用することで狭心症が疑われる患者の中から冠動脈造影を施行すべき患者を抽出することが可能であろうか.Hemingwayと同僚らの研究では,専門委員会が数百にもおよぶ患者固有の要因をスコア化して,冠動脈造影が不適,不明,適応の3群に分類した.さらに,9,356名の最近発症した胸痛を有する外来患者を対象にして,これらの適否基準を研究者間で照らし合わせて検討した.これにより,多数の冠動脈造影適応と判定される患者が検査を受けておらず,“適正に”冠動脈造影を受けた患者に比べてその後の冠動脈イベント発症の多いことが明らかになった.
(翻訳:川名正敏)
ウエストナイルウイルス感染後の予後
Prognosis after West Nile Virus Infection
Mark Loeb, Steven Hanna, Lindsay Nicolle, John Eyles, Susan Elliott, Michel Rathbone, Michael Drebot, Binod Neupane, Margaret Fearon, and James Mahony
今回の縦断的研究で,Loebと同僚らはウエストナイルウイルス感染後の身体的,精神的機能のパターンを調査し,回復に関連する因子を決定した.カナダの4つの州でウエストナイルウイルスに感染した156人の患者の身体的および認知機能は,気分や疲労感と同様に,約1年以内で一般住民と同等まで回復したようだ.
(翻訳:こう康博)
血清25―水酸化ビタミンD濃度と股関節骨折リスク
Serum 25-Hydroxyvitamin D Concentrations and Risk for Hip Fractures
Jane A. Cauley, Andrea Z. LaCroix, LieLing Wu, Mara Horwitz, Michelle E. Danielson, Doug C. Bauer, Jennifer S. Lee, Rebecca D. Jackson, John A. Robbins, Chunyuan Wu, Frank Z. Stanczyk, Meryl S. LeBoff, Jean Wactawski-Wende, Gloria Sarto, Judith Ockene, and Steven R. Cummings
ビタミンDの補給は骨折を予防するのに役立つかもしれないが,血中ビタミンD濃度が骨折の予測因子となるか否かは明らかではない.Cauleyと同僚らによる症例対照研究において,血清25-水酸化ビタミンD濃度が低い女性は股関節骨折の危険性が高かった.この関連性は,日常生活動作障害度,肥満度,身体機能,および転倒回数とは無関係であった.
(翻訳:田村功一)
“ADVANTAGE”種蒔き治験:内部文書の調査
The ADVANTAGE Seeding Trial: A Review of Internal Documents
Kevin P. Hill, Joseph S. Ross, David S. Egilman, and Harlan M. Krumholz
 一般の人々は,長期にわたる疑わしい臨床研究に対して,確実な証拠文書を手にいれることは困難である.疑わしい臨床研究とは,新薬に関する治験プロトコールに沿って医師にその新薬を使用させるように仕向け,販売を促進することを目的とした製薬会社協賛の無作為臨床研究のことである.これは種蒔き治験と呼ばれる.ヒルと共同研究者らは,裁判所の命令により提出された以下の内容が示された文書を手にいれた.メルク社の販売部門はADVANTAGE (Assessment of Differences between Vioxx and Naproxen To Ascertain Gastrointestinal Tolerability and Effectiveness; バイオックスとナプロキサンの消化器症状への副作用と有効性に関する比較試験)無作為治験を,治験対象者に処方される薬,バイオックスの使用を奨励するために実施した.その製薬会社は,制度化した審査委員会,医師,または患者たちにこの治験の真の目的を話していなかった.
(翻訳:川口鎮司)
医学と臨床(Academia and Clinic)
困難な状況下で言語障壁をナビゲートする.
Navigating Language Barriers under Difficult Circumstances
Yael Schenker, Bernard Lo, Katharine M. Ettinger, and Alicia Fernandez
医師はしばしば言語サービスが限られた環境下で,英語力の限られた患者のケアをすることがある.Schenkerと同僚らは,通訳を呼ぶという決断を告げるべき4つの因子(臨床状況,言語のギャップの程度,利用できる通訳の人的資源,患者の好み)を記し,適切な通訳者にはどのような人がなりうるかを論じ,そして通訳の専門家が利用できない場合の対処法を提供している.
(翻訳:村上 純)
総説(Reviews)
ナラティブ・レビュー:高カルシウム血症に対するフロセミド:立証されていないがいまだ一般的な治療
Narrative Review: Furosemide for Hypercalcemia: An Unproven yet Common Practice
Susan B. LeGrand, Dona Leskuski, and Ivan Zama
生理食塩水とフロセミドによる第一選択治療は高カルシウム血症の急性期管理の標準的な治療として続けられている.LeGrandと同僚らはこの治療法のエビデンスについて検討し,いかなる原因の高カルシウム血症であっても,フロセミドの使用という一般的な治療法を裏付けるものを見出すことはできなかった.
(翻訳:廣井直樹)
展望(Perspectives)
遺伝性ヘモクロマトーシス:標的を定めてスクリーニングをする時
Hereditary Hemochromatosis: Time for Targeted Screening
Pradyumna D. Phatak, Herbert L. Bonkovsky, and Kris V. Kowdley
遺伝性ヘモクロマトーシスは,食餌中の鉄の過剰な吸収を特徴とする遺伝病であり,進行性の組織鉄の蓄積,臓器障害,早期死亡をもたらす.根拠に基づくガイドラインのグループには,無症状の個人に対する遺伝性ヘモクロマトーシスのスクリーニングを推奨しなかったものがある.Phatakと同僚らは,遺伝性ヘモクロマトーシスを予防可能な臓器障害の原因として論じ,北欧系の白人男性をターゲットとして症例発見することを提案している.
(翻訳:村上 純)
医学の歴史(History of Medicine)
ノモグラムの流行:医学遺産の復活
The Nomogram Epidemic: Resurgence of a Medical Relic
David A. Grimes
ノモグラム(訳注:計算図表)とはいくつかの目盛りを直線定規で交差させることで,方程式をグラフィカルに解くという方法で,およそ1925年から1975年の間の医学分野で流行していた.今日報告されるたいていのノモグラムは,確立された定義や臨床で使われていたものとは異なっている.Grimesはノモグラムを検討し,その簡便な計算図表としての歴史をレビューすると共に,最近流行しているものを述べ,医学的ノモグラムとしての良い例と悪い例とを挙げ,現代の医学計算へのより良いアプローチを推奨している.
(翻訳:前田正彦)
論評(Editorials)
冠動脈造影の正当性を評価:質の向上におけるもう一つのステップ
Assessing Appropriateness of Coronary Angiography: Another Step in Improving Quality
David P. Faxon
この論文では,Hemingwayと同僚らが安定狭心症を疑われる患者に対する冠動脈造影について,患者の個別要因を考えた適否基準の信頼性と妥当性を評価した.この研究は,正当性評価の妥当性と見込まれる応用についての有益な新しい見解を提供している.
(翻訳:増田浩三)


種蒔き治験:はっきり“ノー”と言おう
Seeding Trials: Just Say "No"
Harold C. Sox and Drummond Rennie
種蒔き治験とは,科学にみせかけて売り込み営業をすることである.2003年に,Annalsはメルク社が後援していた種蒔き治験を発表した.メルク社に対する民事訴訟に関わっていて,その治験の真の意図を暴露した,公的に入手可能な治験関連資料を入手したあるコンサルタントからの手紙を編集長が受け取るまで,Annalsはその治験の真の目的を知らなかった.これらの資料が,種蒔き治験に関するHillと同僚らの今号掲載の論文の焦点である.
(翻訳:増田浩三)


患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
ウエストナイルウイルス感染者は最終的に健康な状態に戻れるのか?
Do People With West Nile Virus Infection Eventually Return to Normal Health?
(翻訳:吉澤弘久)
低ビタミンD濃度は股関節骨折のリスクを増やすか
Do Low Vitamin D Levels Increase Risk for Hip Fracture?
(翻訳:渡邊清高)
ACP  Journal Club
患者ケアのための最良の新しいエビデンス
論評:Aレベルのエビデンスが何故臨床医のAリストに結びつかないか:内科患者の血栓予防ケース
Editorial: Why A-level evidence does not make it to clinicians' A-lists: the case of thromboprophylaxis in medical patients
目標を定めた多元的な介入は,2型糖尿病患者の死亡率と尿中微量アルブミンを減らした.
A targeted, multifactorial intervention reduced mortality in patients with type 2 diabetes and microalbuminuria
メトフォルミンと生活様式両者の介入は,どちらか一方だけの介入より,抗精神病薬で引き起こされた体重増加により有効であった.
Metformin plus a lifestyle intervention was more effective than either alone for antipsychotic-induced weight gain
糖尿病でない妊産婦の高血糖は,有害な妊娠結果と関連があった.
Nondiabetic maternal hyperglycemia was associated with adverse pregnancy outcomes
メトフォルミン(単独またはインスリン併用)は,妊婦糖尿病の周産期合併症の予防にインスリンと同程度有効だった.
Metformin (alone or with insulin) was as effective as insulin for preventing perinatal complications in gestational diabetes
総説:赤血球産生促進薬物は,癌に関連した貧血患者の死亡率と静脈の血栓塞栓症を増加させる.
Review: Erythropoiesis-stimulating agents increase mortality and venous thromboembolism in cancer-associated anemia
在宅の自動体外除細動器は,心停止のリスクのある患者の死亡率を低下させなかった.
An automated external defibrillator in the home did not reduce mortality in patients at risk for cardiac arrest
IndapamideとPerindoprilによる降圧療法は,80歳以上の患者の死亡率を低下させた.
Antihypertensive therapy with indapamide and perindopril reduced mortality in patients 80 years
ホルモン療法中止後2年経っても,癌のリスクはまだ上昇した.
Risk for cancer was still increased over 2 years after stopping hormone therapy
総説:限定的なエビデンスは,肝臓病患者において,スタチン使用が安全であることを示唆する.
Review: Limited evidence suggests that statins are safe in patients with liver disease
総説:コルチコステロイドの全身投与,抗生物質,非侵襲的陽圧換気は,慢性閉塞性肺疾患の急性増悪に有効である.
Review: Systemic corticosteroids, antibiotics, and noninvasive positive pressure ventilation are effective in acute COPD
メチシリン耐性ブドウ球菌(MRSA)の迅速スクリーニングは,MRSA感染率を低下させなかった.
Rapid screening for methicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) did not reduce MRSA acquisition rate
頭皮および頸部のメラノーマは,四肢に発生したものより,メラノーマ特異的死亡率に大きなリスクを有した.
Melanoma of the scalp and neck had greater risk for melanoma-specific mortality than melanoma of the extremities
用語解説
Glossary
(翻訳:市堰 肇)

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