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(更新日 2008年9月29日)
Annals

Established in 1927 by the American College of Physicians
目次(TABLE OF CONTENTS)
16 September 2008 Volume 149 Issue 6
(監修:小野広一,総合監修:吉田直之)
英文のTable of Contentsはこちらをクリックしてください.

原著(Articles)
進行癌患者の疼痛および気分の改善に対するマッサージ療法と単純タッチとの比較:無作為化試験
Massage Therapy versus Simple Touch to Improve Pain and Mood in Patients with Advanced Cancer: A Randomized Trial
Jean S. Kutner, Marlaine C. Smith, Lisa Corbin, Linnea Hemphill, Kathryn Benton, B. Karen Mellis, Brenda Beaty, Sue Felton, Traci E. Yamashita, Lucinda L. Bryant, and Diane L. Fairclough
緩和治療の際の疼痛管理において,マッサージに効果があるかどうかはほとんど分かっていない.Kutnerと同僚らは,進行癌の患者380名を無作為にマッサージ療法群と単純タッチ群に割り付けた.疼痛と気分は,単純タッチよりもマッサージ後に改善した.しかし,これら二つの治療法は,3週間にわたって評価すると,疼痛,クオリティ・オブ・ライフ (QOL),鎮痛薬の使用に関して同等の効果を有していた.両群とも副作用はまれであり,その内容は類似していた.
(翻訳:泉谷昌志)
最近診断された慢性閉塞性肺疾患に対する薬物治療に関連した死亡リスク
Risk for Death Associated with Medications for Recently Diagnosed Chronic Obstructive Pulmonary Disease
Todd A. Lee, A. Simon Pickard, David H. Au, Brian Bartle, and Kevin B. Weiss
この大規模ケースコントロール研究において,Leeと共同研究者らは慢性閉塞性肺疾患と新しく診断された退役軍人に対する薬物治療と死亡リスクとの関連を調査した.吸入ステロイドは死亡リスクの軽減と関連した.一方,テオフィリンとイプラトロピウム(商品名:アトロベント)はそれぞれ呼吸器死亡リスクと心血管死亡リスクの増大に関連した.
(翻訳:浦野哲哉)
プロトンポンプ阻害薬使用と市中肺炎のリスク
Proton-Pump Inhibitor Use and the Risk for Community-Acquired Pneumonia
Monika Sarkar, Sean Hennessy, and Yu-Xiao Yang
いくつかの研究で,プロトンポンプ阻害薬(PPI)により市中肺炎(CAP)のリスクが増大することが示唆されている.今回,英国の一般診療における成人患者に対して行なわれた,大規模なネスト化ケースコントロール研究において,PPIの長期使用はCAPのリスク増大と関連しないことが示された.しかしながら,PPI治療を始めて間がない患者ではPPIとCAPのリスク増大が関連していた.PPI開始後,2,7,14日以内にCAPと診断された患者の調整オッズ比は,それぞれ,6.5,3.8,3.2であった.
(翻訳:岩本和也)
短報:慢性C型肝炎における肝硬変の改善とアウトカムとの関連性
Brief Communication: The Relationship of Regression of Cirrhosis to Outcome in Chronic Hepatitis C
Vincent Mallet, Hélène Gilgenkrantz, Jeanne Serpaggi, Virginie Verkarre, Anaïs Vallet-Pichard, Hélène Fontaine, and Stanislas Pol
Malletと共同研究者らは,肝生検で確認された肝硬変を有する96名の慢性C型肝炎患者において,インターフェロンを中心にした投薬計画による治療後の肝硬変の改善を検討した.18名の患者において,肝硬変の改善が肝生検によって証明された.これらの患者は,改善が認められなかった患者よりも10年生存率が良好であった(100% vs.74%).この研究は,慢性C型肝炎患者の中には肝硬変が可逆的である例が存在するかもしれないことを示唆している.
(翻訳:小池竜司)
医学と臨床(Academia and Clinic)
内科レジデントでは,教育でかかった経済的負債が進路に影響する
Educational Debt and Reported Career Plans among Internal Medicine Residents
Furman S. McDonald, Colin P. West, Carol Popkave, and Joseph C. Kolars
McDonaldと共同研究者らは,医学教育に要した経済的負債と将来の進路との関連を見出すために,研修最後の年に内科レジデント22,653名を調査した.その結果,借金の金額と将来の進路とが関連していた.この関連は,米国外の医学部卒業生よりも,米国内の医学部卒業生でより顕著であった.
(翻訳:板東 浩)
医学の歴史(History of Medicine)
プロメテウスの肝臓はどうなるのか?ギリシャ神話と再生科学
Whither Prometheus' Liver? Greek Myth and the Science of Regeneration
Carl Power and John E.J. Rasko
ギリシャの神であり,その不死の肝臓を来る日も来る日もゼウスの鷲についばまれたというプロメテウスの神話にいつも疑問が浮かんでくる.古代ギリシャ人は肝臓の驚くべき自己再生能力を知っていたのだろうか?PowerとRascoは,ギリシャの神話と医学の起源を調査し,ギリシャ神話における一般的な再生のテーマを調べ,そしてプロメテウスの拷問に関する学問的な解釈についてもいくつか調査することによってこの疑問に取り組んでいる.
(翻訳:石田真実子)
診療ガイドライン(Clinical Guidelines)
低骨密度または,骨粗鬆症による骨折を予防するための薬物治療:米国内科学会の標準的治療法ガイドライン
Pharmacologic Treatment of Low Bone Density or Osteoporosis to Prevent Fractures: A Clinical Practice Guideline from the American College of Physicians
Amir Qaseem, Vincenza Snow, Paul Shekelle, Robert Hopkins, Jr., Mary Ann Forciea, Douglas K. Owens for the Clinical Efficacy Assessment Subcommittee of the American College of Physicians
このガイドラインは,低骨密度または,骨粗鬆症をもつ男女に対する骨折を防ぐための薬物治療に関する現在のエビデンスを提示している.米国内科学会は,臨床医が骨粗鬆症または骨脆弱性に基づく骨折の既往をもつ男女に薬物治療を行うことを推奨する.臨床医は,骨粗鬆症のリスクをもつ男女に対する薬物治療を検討すべきである.骨粗鬆症に対する薬物治療を選ぶ時,臨床医はそれらの薬物が潜在的にもつ有害な点と利益を患者ひとりひとりにおいて評価すべきである.
(翻訳:井田弘明)
論評(Editorials)
C型肝硬変に対する抗ウイルス療法:その努力は正当化されるか?
Antiviral Treatment for Hepatitis C Cirrhosis: Is the Effort Justified?
Martin Black and Rebecca Thomas
多くの医師は,進行性の肝臓病の自然経過において,肝硬変の患者を治療することは時期的にあまりに遅すぎて意義があるとはみなしていない.しかしながら肝硬変患者を治療するという考えは近年,より一般的となっている.Malletと同僚らが本論文で報告しているように,ウイルスを排除することは時として肝硬変の改善を伴う.彼らは,組織学的に改善がみられたことが肝硬変に関連した合併症の減少と生存の延長に結びついた―と説明している.
(翻訳:山内高弘)


お金がすべてを変えるわけではない時
When Money Doesn't Change Everything
Atul Grover
本論文で,McDonaldと同僚らは内科レジデントにおいて学生時代の負債と専門医を選ぶ計画との関係を明らかにしている.我々は,何が内科医をより専門的な診療分野にひきつけるのかを理解するために,経済的な問題の先を読む;さらに,収入だけでなくいかに一般内科医と専門医が診療を行っているか,そしてそれが我々の患者にとってどのような意味を持つのかを提言していく必要があるのかもしれない.
(翻訳:山内高弘)


患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
進行癌の患者さんの痛みと気分をやわらげるためのマッサージ療法
Massage Therapy to Improve Pain and Mood in Patients with Advanced Cancer
(翻訳:池田正行)
低骨密度または,骨粗鬆症による骨折を予防するための治療薬:米国内科学会の標準的治療法ガイドライン
Drug Treatment for Low Bone Density or Osteoporosis to Prevent Fractures: A Clinical Practice Guideline from the American College of Physicians
(翻訳:金原秀雄)
ACP Journal Club
患者ケアのための最良の新しいエビデンス
論評:内科サブスペシャリストと総合内科医はなぜACP Journal Club PLUSに登録すべきなのか.
Editorial: Why internal medicine subspecialists and generalists should register for ACP Journal Club PLUS
メトプロロール(商品名:ロプレソール,セロケン)は心筋梗塞を予防したが,非心臓手術後の脳卒中と死亡のリスクを増大させた.
Metoprolol prevented myocardial infarction but increased risk for stroke and death after noncardiac surgery
新規に診断された2型糖尿病患者では,厳格なインスリン療法の方が経口血糖降下薬よりも血糖コントロールを改善した.
Intensive insulin therapy improved glycemic control more than oral hypoglycemic agents in newly diagnosed type 2 diabetes
厳格な血糖コントロールは2型糖尿病患者の重大な合併症を予防しなかった.
Intensive glucose control did not prevent important complications in type 2 diabetes
厳格な血糖コントロールは2型糖尿病患者における死亡率を増加させ,心血管イベントを予防しなかった.
Intensive glucose control increased mortality and did not prevent cardiovascular events in type 2 diabetes
総説:妊娠糖尿病のスクリーニングと治療における利益と有害性に関するエビデンスはほとんど存在しない.
Review: Little evidence exists on the benefits and harms of screening for and treating gestational diabetes
総説:抗酸化サプリメントは1次予防と2次予防における総死亡を減少させない.
Review: Antioxidant supplements do not reduce all-cause mortality in primary and secondary prevention
総説:降圧薬は若年患者と高齢患者において同程度に心血管イベントを予防する.
Review: Blood pressure-lowering drugs prevent cardiovascular events equally well in younger and older patients
ビバリルジンは経皮的冠動脈インターベンションを受けたST上昇型心筋梗塞患者の大出血と有害事象を減少させた.
Bivalirudin reduced major bleeding and adverse events in patients with STEMI having PCI
急性冠症候群に対しステント留置した患者で,プラスグレルの方がクロピドグレル(商品名:プラビックス)よりも虚血アウトカムを減少させた.
Prasugrel reduced ischemic outcomes more than did clopidogrel in patients receiving stents for ACS
肺塞栓症の除外診断のための下肢のMDCT(多列検出器CT,別名:マルチスライスCT)検査は,MDCTと下肢静脈の超音波検査の併用に劣らなかった.
Multidetector CT was noninferior to multidetector CT plus venous ultrasonography of the leg for excluding PE
敗血症性ショックにおいて少量のバソプレシンはノルエピネフリンほど死亡率を低下させなかった.
Low-dose vasopressin did not reduce mortality more than norepinephrine in septic shock
総説:セレコキシブは心血管イベントのリスクを増加させる;リスクはより高用量で最大となる.
Review: Celecoxib increases risk for cardiovascular events; risks are greatest with higher doses
用語解説
Glossary
(翻訳:土屋直隆)

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