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(更新日 2008年11月17日)
Annals

Established in 1927 by the American College of Physicians
目次(TABLE OF CONTENTS)
4 November 2008 Volume 149 Issue 9
(監修:林 正樹,総合監修:吉田直之)
英文のTable of Contentsはこちらをクリックしてください.

原著(Articles)
健康高齢者の体組成と臨床アウトカムに対する経口グレリン模倣薬の効果:無作為化試験
Effects of an Oral Ghrelin Mimetic on Body Composition and Clinical Outcomes in Healthy Older Adults: A Randomized Trial
Ralf Nass, Suzan S. Pezzoli, Mary Clancy Oliveri, James T. Patrie, Frank E. Harrell, Jr., Jody L. Clasey, Steven B. Heymsfield, Mark A. Bach, Mary Lee Vance, and Michael O. Thorner
加齢に伴う成長ホルモン分泌の低下がサルコペニア(骨格筋減少症)や脆弱性に関与している可能性がある.Nassと同僚らは,65人の健康高齢者を,脈動性の成長ホルモン分泌を若年成人レベルまで増加させたMK-677という経口グレリン模倣薬,またはプラセボを内服する群に無作為に割りつけた.1年後,除脂肪体重はMK-677で1.1kg増加し,プラセボで0.5kg減少した.MK-677は筋力や運動機能には影響を与えなかった.一方で,インスリン感受性は低下し,平均血清グルコース値は上昇した.経口グレリン模倣薬は脈動性の成長ホルモン分泌を高め,健康成人の体組成を部分的に変えるように思われる.
(翻訳:澤木秀明)
心血管病を対象とした臨床試験における複合アウトカムの意義について:無作為化比較試験の調査から
Composite Outcomes in Cardiovascular Research: A Survey of Randomized Trials
Eric Lim, Adam Brown, Adel Helmy, Shafi Mussa, and Douglas G. Altman
著者らは,最近の心血管病領域の304臨床試験を対象として,個別のエンドポイントの複合アウトカムへの寄与の程度について解析した.これらの対象となった臨床試験において,複合アウトカムは多くの場合,狭心症から死亡までの臨床的重要性が異なる3つあるいは4つの個別のエンドポイントから構成されていた.個々のアウトカムは必ずしも同じ確率で起こるというわけではないため,読者は,複合尺度のための全体の効果推定値が,複合アウトカムを構成する個々のアウトカムに等しく当てはまると考えるべきではない.
(翻訳:田村功一)
心原性ショックの罹患率と治療における10年間の傾向
Ten-Year Trends in the Incidence and Treatment of Cardiogenic Shock
Raban V. Jeger, Dragana Radovanovic, Patrick R. Hunziker, Matthias E. Pfisterer, Jean-Christophe Stauffer, Paul Erne, Philip Urban for the AMIS Plus Registry Investigators
スイスからの病院登録データを解析したところ,急性冠症候群患者における心原性ショックの合併率が1997年から2006年の間で低下したことが示された.この低下は,入院時の心原性ショック有病率が変化したためというよりも,入院中の罹患率が低下したことによる.心原性ショックをともなう患者では,経皮的冠動脈インターベンションの適用が増加したことで院内死亡が減少した.
(翻訳:白山武司)
医学と臨床(Academia and Clinic)
健康管理の改善研究のための刊行ガイドライン:SQUIREプロジェクトの展開
Publication Guidelines for Improvement Studies in Health Care: Evolution of the SQUIRE Project
Frank Davidoff, Paul Batalden, David Stevens, Greg Ogrinc, Susan Mooney for the SQUIRE Development Group
この論文は,質改善の研究を報告するためのガイドライン案である「質改善の報告向上のための基準 (SQUIRE)」について述べている.論文ではSQUIREに反映されている改善研究の特色を要約し,SQUIREと初期段階のガイドライン案との大きな違いを述べ,ガイドライン作成の過程を説明している.
(翻訳:吉澤弘久)

診療ガイドライン(Clinical Guidelines)
大腸癌スクリーニング:米国予防医療サービス専門作業部会の勧告
Screening for Colorectal Cancer: U.S. Preventive Services Task Force Recommendation Statement
U.S. Preventive Services Task Force
米国予防医療サービス専門作業部会(USPSTF)は大腸癌スクリーニングの勧告を更新する.便潜血検査,S状結腸鏡検査と大腸内視鏡検査は50歳から75歳までの成人に対して推奨される(推奨度A).USPSTFは76歳から85歳までの成人への定期的なスクリーニングは推奨していないが,個別の患者においてスクリーニングが推奨されることもあるとしている(推奨度C).85歳を超えた人へのスクリーニングは推奨していない(推奨度D).CTコロノグラフィと便DNA検査は大腸癌のスクリーニングの手段としては利害得失を評価するための根拠が不十分である(声明I)
(翻訳:渡邊清高)
大腸癌スクリーニング:米国予防医療サービス専門作業部会のための大腸癌スクリーニングに特化した最新の系統的レビュー
Screening for Colorectal Cancer: A Targeted, Updated Systematic Review for the U.S. Preventive Services Task Force
Evelyn P. Whitlock, Jennifer S. Lin, Elizabeth Liles, Tracy L. Beil, and Rongwei Fu
この号での米国予防医療サービス専門作業部会勧告を支持するために,Whitlockと同僚らは2002年の勧告から知識のギャップについてのエビデンスを追求し,内視鏡検査によるスクリーニングの一般病院での有用性を検討した.彼らは,より良い感度と同程度の特異度をもった糞便検査は,旧来の便潜血検査の合理的な代替法であると結論付けている.CTコロノグラフィは不完全であるが,大腸癌スクリーニングに関してはおそらく十分な精度を持っている.しかしながら,放射線関連の潜在的な有害事象,大腸外所見の影響,一般病院での検査の精度など,いくつかの不確定要素が残っている.
(翻訳:鈴木克典)
大腸癌スクリーニングのための検査戦略を評価する:米国予防医療サービス専門作業部会のための決定分析
Evaluating Test Strategies for Colorectal Cancer Screening: A Decision Analysis for the U.S. Preventive Services Task Force
Ann G. Zauber, Iris Lansdorp-Vogelaar, Amy B. Knudsen, Janneke Wilschut, Marjolein van Ballegooijen, and Karen M. Kuntz
米国予防医療サービス専門作業部会は,この号の中で大腸癌スクリーニングに対する勧告の更新を通知するための決定分析を依頼した.調査結果によると,50歳から75歳の成人では,10年毎の大腸内視鏡検査,毎年の高感度便潜血検査によるスクリーニング,または5年毎の軟性S状結腸鏡検査および,内視鏡検査と内視鏡検査の間に行う便潜血検査の組み合わせによるスクリーニングが支持された.
(翻訳:大島康雄)
論評(Editorials)
加齢現象の予防や治療のための成長ホルモン分泌促進薬の使用:時期尚早
Use of Growth Hormone Secretagogues to Prevent or Treat the Effects of Aging: Not Yet Ready for Prime Time
Marc R. Blackman
この号で,Nassと同僚らは,経口グレリン模倣薬を投与することにより,1年後の成長ホルモンの脈動的分泌と早朝インスリン様成長因子I濃度が健康若年成人レベルに増加したことを報告している;さらに,除脂質体重,細胞内水分,コルチゾール濃度,空腹時血糖,ヘモグロビンA1cも増加した;一方,好ましい効果の中で目立ったのは血中低比重リポタンパク(LDL)コレステロールの低下であった.しかし,高齢者に対する成長ホルモン分泌促進薬の有効性と安全性に関しては多くの疑問が残っており,現時点では,高齢者に対する成長ホルモン軸操作の使用は,入念な比較臨床試験に限定されるべきである.
(翻訳:小河秀郎)


大腸癌スクリーニングのガイドライン:言い古された話
Screening Guidelines for Colorectal Cancer: A Twice-Told Tale
Michael Pignone and Harold C. Sox
この号には,大腸癌スクリーニング,重要な問題点に関する系統的レビューの更新版,および検査戦略を比較し,どの年齢でスクリーニングを開始して終了するかを決断するための決定分析に関する米国予防医療サービス専門作業部会の最新ガイドラインが含まれている.このガイドラインは,米国癌学会・米国多学会共同作業部会(U.S. Multi-Society Task Force )によるガイドラインが出た数か月後に発表されている.この論評では,これら2グループの異なった作業過程と勧告について議論している.
(翻訳:増田浩三)


質改善の研究報告の質を向上させる:SQUIREガイドライン
Improving the Quality of Reporting Studies of Quality Improvement: The SQUIRE Guidelines
Harold C. Sox
研究者が,他の研究者の成果を再現し知識をもとに研究を進めようとするとき,科学は平坦でない道を辿る.刊行ガイドラインが,この繰り返しの過程にとって重要である.なぜならガイドラインは,他の研究者がその研究の内的および外的妥当性を判断でき,異なった環境で再現しようと試みるべきかどうかを決定できるほど十分明瞭に,学術誌が研究報告をする助けとなるからである.著者,レビュアー,エディターの作業を支援することでSQUIRE刊行ガイドラインは質改善の科学の進歩を促進するであろう.
(翻訳:吉澤弘久)


患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
健常高齢者の体組成と臨床アウトカムに対する経口グレリン模倣薬の効果
Effects of an Oral Ghrelin Mimetic on Body Composition and Clinical Outcomes in Healthy Older Adults
(翻訳:安藤聡一郎)
大腸がんスクリーニング:米国予防医療サービス専門作業部会による勧告
Screening for Colorectal Cancer: U.S. Preventive Services Task Force Recommendation
(翻訳:前田正彦)
クリニックにて(In the Clinic)
心房細動
Atrial Fibrillation
本号では心房細動の臨床について,予防,スクリーニング,診断,治療,診療の進歩,患者情報に焦点をあてて概説している.
(翻訳:小河秀郎)
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