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(更新日 2009年6月1日)
Annals

Established in 1927 by the American College of Physicians
目次(TABLE OF CONTENTS)
19 May 2009 Volume 150 Issue 10
(監修:塩田哲也,総合監修:宇野久光)
英文のTable of Contentsはこちらをクリックしてください.

原著(Articles)
母指基部(手根中手関節)変形性関節症に対するスプリント:無作為化試験
Splint for Base-of-Thumb Osteoarthritis: A Randomized Trial
François Rannou, Jérôme Dimet, Isabelle Boutron, Gabriel Baron, Fouad Fayad, Yann Macé, Johann Beaudreuil, Pascal Richette, Philippe Ravaud, Michel Revel, and Serge Poiraudeau
母指基部変形性関節症は,中年及び高齢者に好発し,痛みと機能障害を起こす.Rannouと同僚らは,母指基部変形性関節症に対するスプリントの有効性と安全性を検討するために,112名の患者を,注文作製のスプリントを夜間に装着する群と通常のケアを行う群に無作為に割り付けた.夜間のスプリントは1か月後には何の効果も認められなかったが,12か月後には痛みと機能障害を有意に減少させた.
(翻訳:池田正行)
ANCA関連血管炎の寛解導入を目的としたシクロフォスファミドのパルス静注療法と連日経口療法の比較試験:無作為化試験
Pulse Versus Daily Oral Cyclophosphamide for Induction of Remission in Antineutrophil Cytoplasmic Antibody-Associated Vasculitis: A Randomized Trial
Kirsten de Groot, Lorraine Harper, David R.W. Jayne, Luis Felipe Flores Suarez, Gina Gregorini, Wolfgang L. Gross, Rashid Luqmani, Charles D. Pusey, Niels Rasmussen, Renato A. Sinico, Vladimir Tesar, Philippe Vanhille, Kerstin Westman, and Caroline O.S. Savage, for the EUVAS (European Vasculitis Study Group)
シクロフォスファミド(エンドキサン)はANCA(anti-neutrophil cytoplasmic antibody)関連血管炎の治療に使用されるが,その毒性が問題である.シクロフォスファミドのパルス静注療法と連日経口療法を比較したところ,同等の患者の寛解導入が可能であったが,主として白血球減少症がより少なかった理由によりパルス静注療法の方が安全性が高いとみなされた.しかしながら,本比較試験は患者と医師も盲検化されていないし,再発率の検討も成されていない.シクロフォスファミドのパルス静注療法と経口療法によるANCA関連血管炎に対する治療効果は同等であったが,パルス療法の方がより安全と思われた.
(翻訳:中村浩士)
高齢女性での高度脊柱後弯症は椎体の骨粗鬆症とは独立した死亡予測因子である
Hyperkyphosis Predicts Mortality Independent of Vertebral Osteoporosis in Older Women
Deborah M. Kado, Li-Yung Lui, Kristine E. Ensrud, Howard A. Fink, Arun S. Karlamangla, and Steven R. Cummings, for the Study of Osteoporotic Fractures
4つの医療機関における高齢白人女性のコホート研究では,椎体骨折歴のある脊柱後弯症は早期死亡の予測因子であった.この早期死亡リスクの増加は,年齢や脊椎の骨粗鬆症の存在といったいくつかの因子とは独立しているようであった.椎体骨折のない脊柱後弯症では死亡リスクの増加はみられなかった.椎体骨折と脊柱後弯症を合併する女性は,どちらか一方だけを有する女性と比較して早期死亡のリスクがより大きくなる.
(翻訳:廣井直樹)
米国大統領アフリカAIDS救援緊急計画:アウトカム評価
The President's Emergency Plan for AIDS Relief in Africa: An Evaluation of Outcomes
Eran Bendavid and Jayanta Bhattacharya
2003年以来,米国大統領のアフリカAIDS救援緊急計画(PEPFAR)は15か国に対してHIVとAIDSの予防・治療・およびケアのための財政援助を提供した.BendavidとBhattacharyaは,国連からデータ得て,PEPFARの支援を受けたサハラ以南のアフリカ12か国におけるHIVのアウトカムと有病率に対する効果を評価した.PEPFAR開始後,HIV関連死亡数は減少したが,成人のHIV有病率は変わらなかった.
(翻訳:村上 純)
患者診療の質の改善(Improving Patient Care)
医療の質か施行数か?冠動脈バイパス術の数,質および転帰
Shop for Quality or Volume? Volume, Quality, and Outcomes of Coronary Artery Bypass Surgery
Andrew D. Auerbach, Joan F. Hilton, Judith Maselli, Penelope S. Pekow, Michael B. Rothberg, and Peter K. Lindenauer
著者らは,症例数の多い施設における質の高い医療の実施が,冠動脈バイパス術後のより良好な転帰にもたらす貢献度を評価した.最も多数の症例を手術する外科医や病院で,術後30日死亡率,再入院率が低かった.個々の“医療の質指標”の実施率で調整しても,この関係には変化がなかった.しかしながら,“医療の質指標”を外すことなく医療が行われていれば,実施症例数の最も少ない施設群と最も多い群の死亡率は同等であった.全体として質の高い医療を行うことが,手術施行数より重要であると思われる.
(翻訳:川名正敏)
医学と臨床(Academia and Clinic)
慢性腎臓病におけるアンジオテンシン変換酵素阻害薬とアンジオテンシンII受容体拮抗薬の使用についての現在のガイドライン:高齢者にとってそのエビデンス根拠の妥当性はあるか?
Current Guidelines for Using Angiotensin-Converting Enzyme Inhibitors and Angiotensin II-Receptor Antagonists in Chronic Kidney Disease: Is the Evidence Base Relevant to Older Adults?
Ann M. O'Hare, James S. Kaufman, Kenneth E. Covinsky, C. Seth Landefeld, Lynne V. McFarland, and Eric B. Larson
いくつかの診療ガイドラインでは,慢性腎臓病にアンジオテンシン変換酵素阻害薬とアンジオテンシンII受容体拮抗薬が推奨されている.著者らは,これらのガイドラインを支持するエビデンスが70歳以上の患者へも適用可能か否かを検討した.著者らは,治療の推奨を支持する無作為化試験において,慢性腎臓病の高齢者の中で国民を代表するサンプル特性を持った成人がほとんど登録されていないことを見出した.著者らは,現在のガイドラインを支持するエビデンスは大多数の70歳以上の慢性腎臓病患者にとってその妥当性は限定的である,と結論づけた.
(翻訳:桂 隆志)

展望(Perspectives)
プライマリ・ケアの崩壊:前線からの非難の声
The Demise of Primary Care: A Diatribe From the Trenches
David D. Norenberg
Norenbergは,「プライマリ・ケアは死に絶えつつある」と明言している.この原著論文で彼は医学校の卒業生たちがなぜプライマリ・ケアを避けるのかその理由について議論している.彼によれば,一つの理由は「個別的な(患者ごとの,そして医師ひとりひとりの)臨床判断が徐々に価値を失った」ことだという.著者はひとつの解決法を提案している:固定給の内科医たちを,自発的にメディケアに参加させるような試験的プログラムを実行することである.
(翻訳:紺谷 真)
診療ガイドライン(Clinical Guidelines)
妊娠中の梅毒感染スクリーニング:米国予防医療サービス専門作業部会による再確認勧告声明
Screening for Syphilis Infection in Pregnancy: U.S. Preventive Services Task Force Reaffirmation Recommendation Statement
U.S. Preventive Services Task Force
米国予防医療サービス専門作業部会は2004年度版の妊娠中の梅毒感染スクリーニングに関する勧告声明を改訂した.エビデンスに的を絞った文献検索の結果,専門部会は,臨床医が全ての妊娠女性に梅毒感染のスクリーニングを行うことを勧告する(推奨度A).
(翻訳:沖 将行)
妊娠女性における梅毒感染のスクリーニング:米国予防医療サービス専門作業部会による勧告声明の再確認のためのエビデンス
Screening for Syphilis Infection in Pregnant Women: Evidence for the U.S. Preventive Services Task Force Reaffirmation Recommendation Statement
Tracy Wolff, Erica Shelton, Cecili Sessions, and Therese Miller
本号での米国予防医療サービス専門作業部会の勧告声明を支持するために,Wolffと同僚らは妊娠女性で梅毒スクリーニングを行う有益性と有害性について,ペニシリンで治療する有害性についての系統的レビューを行った.彼らは,妊娠中に梅毒スクリーニングを行うことで先天梅毒を予防するという以前からのエビデンスを支持するユニバーサル・スクリーニングの研究から,新しいエビデンスを見いだした.有害なのは偽陽性結果に基づく検査やフォローアップ,ペニシリン治療における有害事象である.
(翻訳:鈴木克典)
論評(Editorials)
米国大統領AIDS緊急救済計画の評価:今こそ規模拡大の時
Evaluating the President's Emergency Plan for AIDS Relief: Time to Scale It Up
Robert Gross and Gregory Bisson
この号では,BendavidとBhattacharyaは,普遍的にHIV感染が流行しているアフリカ諸国のうち,12の米国大統領AIDS救済緊急計画(PEPFAR)の焦点国と29の非焦点国において,AIDS関連死亡率とHIV有病率の動向を比較することによりPEPFARの効果の評価を試みている.その結果は驚くには当たらないが,本論文の最大の貢献は,PEPFARのような無作為化されていない複雑な世界的ヘルスケア介入を評価する試みの多くに光を当てることである.
(翻訳:桂 隆志)


病院内で量に包み込まれた医療の質
Quality Wrapped in Volume Inside a Hospital
Peter B. Bach
本号におけるAuerbachと同僚らによる知見は,医療の質や,医療の量と予後の関係についての文献に大きく寄与している.しかしながら,彼らの研究は,頻繁に行われる大手術後に,患者の予後改善につながる最も基本的な手順を,病院がいかに行なっていないかを我々に厳しく思い起こさせている.
(翻訳:岩本和也)


エビデンスは高齢者の腎障害の進行抑制のためのレニンーアンジオテンシン系遮断を支持するか?
Does Evidence Support Renin-Angiotensin System Blockade for Slowing Nephropathy Progression in Elderly Persons?
Pantelis A. Sarafidis and George L. Bakris
この号では,O'Hareと同僚らは,慢性腎臓病における高血圧治療についての現在のガイドラインが70歳以上の患者にも適合するか否かを検討した.慢性腎臓病の進行についての無作為化比較試験において,この高齢者が必ずしも適切な対象となり得ていないことを著者らは明らかにした.さらに,慢性腎臓病の病期分類についての重要な未解決の問題,すなわち,高齢者に対するModification of Diet in Renal Disease Study(訳注:腎臓病への蛋白制限と血圧管理の効果を調べた無作為化比較試験)の適用に関する問題を提起している.
(翻訳:桂 隆志)


患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
親指の関節炎に対するスプリント(添え木)の効果
The Effects of Splinting on Thumb Arthritis
(翻訳:紺谷 真)
妊娠女性における梅毒感染のスクリーニング:米国予防医療サービス専門作業部会の勧告
Screening Pregnant Women for Syphilis Infection: U.S. Preventive Services Task Force Recommendation
(翻訳:沖 将行)
ACP Journal Club
The Best New Evidence for Patient Care
患者ケアのための最良の新しいエビデンス
論評:どのような無作為化試験を患者と臨床医は望んでいるか?
Editorial: What kind of randomized trials do patients and clinicians need?
レビュー:肺炎球菌の予防接種は,肺炎,菌血症,気管支炎の予防や生存率の改善には有効ではない
Review: Pneumococcal vaccination is not effective for preventing pneumonia, bacteremia, bronchitis, or mortality
消化管および口腔咽頭に対する選択的除菌はICUにおける死亡率を低下させる
Selective decontamination of the digestive tract and selective oropharyngeal decontamination reduced mortality in the ICU
レビュー:慢性B型肝炎に対する抗ウイルス療法の有効性を評価するためのエビデンスは不十分である
Review: Evidence is insufficient to evaluate effectiveness of antiviral therapies for chronic hepatitis B
多枝冠動脈疾患において,血流予備量比を指針にした経皮的冠動脈インターベンションは,血管造影指針下の経皮的冠動脈インターベンションに比べて,心血管系の主要な有害事象を減少させた
Fractional flow reserve-guided PCI reduced major adverse cardiac outcomes compared with angiography-guided PCI in multivessel CAD
ベナゼプリルとアムロジピンの併用は,ベナゼプリルとヒドロクロロチアジドの併用よりも心血管リスクを減少させた
Benazepril plus amlodipine reduced cardiovascular risk more than benazepril plus hydrochlorothiazide
強化されたプライマリ・ケアは,検診で発見された2型糖尿病患者の1年後の心血管の危険因子を低下させた
Intensive primary care treatment reduced cardiovascular risk factors at 1 year in screen-detected type 2 diabetes
イルベサルタンは心駆出率が保存された心不全患者において全死亡や心血管疾患による入院を減少させなかった
Irbesartan did not reduce all-cause death or CV hospitalization in heart failure and preserved ejection fraction
レビュー:標準療法にデキサメタゾンを併用することにより,救急診療部における急性片頭痛の短期間の再発を減少させた
Review: Adding dexamethasone to standard therapy reduces short-term relapse for acute migraine in the emergency department
レビュー:CT血管造影は末梢動脈疾患の著明な狭窄の診断において非常に精確である
Review: Computed tomography angiography is highly accurate for diagnosing significant stenosis in peripheral arterial disease
エビデンスに基づく食事投与のガイドラインの実施は集中治療室における死亡率を低下させなかった
Implementation of an evidence-based feeding guideline did not reduce mortality in intensive care units
Glasgow-Blatchford出血スコアは外来で管理可能な上部消化管出血患者を同定した
The Glasgow-Blatchford Bleeding Score identified patients with upper GI bleeding who could be managed as outpatients
リスクのスコアにより階層化された心血管疾患の絶対リスクは,心血管疾患を有するプライマリ・ケア患者では,心血管疾患を有していないプライマリ・ケア患者に比べて20%高かった
Absolute CVD risk, stratified by risk score, was 20% higher in primary care patients with CVD than in those without CVD
訂正
Correction
用語集
Glossary
(翻訳:岩本和也)

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