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(更新日 2009年6月15日)
Annals

Established in 1927 by the American College of Physicians
目次(TABLE OF CONTENTS)
2 June 2009 Volume 150 Issue 11
(監修:板東 浩,総合監修:川村光信)
英文のTable of Contentsはこちらをクリックしてください.

原著(Articles)
45歳から64歳の米国成人における糖尿病発症率を予測する2つのリスク・スコアリングシステム
Two Risk-Scoring Systems for Predicting Incident Diabetes Mellitus in U.S. Adults Age 45 to 64 Years
Henry S. Kahn, Yiling J. Cheng, Theodore J. Thompson, Giuseppina Imperatore, and Edward W. Gregg
複数の臨床研究により,耐糖能が低下した人々で糖尿病発症の遅延や予防が可能であることが明らかになっている.大規模前向きコホート研究のデータを使用し,著者らは10年間の糖尿病発症率が高い成人を特定するスコアリングシステムを開発し検証した.基本のスコアリングシステムは,ウエスト周囲径,身長,高血圧,アフリカ系アメリカ人,糖尿病の家族歴などから構成される.増強スコアリングシステムは,これらに加えて血液検査値も含んでいた.これらの予測因子を多く持つ人は糖尿病になるリスクが高く,糖尿病発症予防介入によって恩恵を受けるかもしれないが,これら2つのスコアリングシステムは異なる母集団での妥当性の検討が必要である.
(翻訳:渡邊祐子)
短期間ホルモン療法を中止した場合におけるマンモグラフィの再検査:無作為化試験
Short-Term Hormone Therapy Suspension and Mammography Recall: A Randomized Trial
Diana S.M. Buist, Melissa L. Anderson, Susan D. Reed, Erin J. Aiello Bowles, E. Dawn Fitzgibbons, Juleann C. Gandara, Deborah Seger, and Katherine M. Newton
乳癌スクリーニングを受けた女性は,マンモグラフィの所見が不明瞭な場合,追加の検査を求められる.この中高年女性を対象とした無作為化試験では,短期的に終了したホルモン療法によって乳腺の密度は軽度低下するものの,マンモグラフィの再検査率は減少しなかった.スクリーニングのマンモグラフィ後の再検率は12.3%(1か月間中止),9.8%(2か月間中止),11.3%(ホルモン療法を継続していた場合)であった.更年期症状は,ホルモン療法を中止した群で増加した.
(翻訳:菊地基雄)
超薬剤耐性肺結核の予測因子
Predictors of Extensively Drug-Resistant Pulmonary Tuberculosis
Kai Kliiman and Alan Altraja
薬剤耐性結核は世界的な問題である.もし,薬剤耐性結核のリスクが高い人を同定できるならば,高リスクの予測因子を狙って対策を立てることで結核コントロールに役立つかも知れない.著者らはエストニアという超薬剤耐性結核の高蔓延国において,関連する因子を同定した.これらの因子は以前の抗結核薬治療歴,HIV感染症,ホームレスとアルコール乱用であった.
(翻訳:柳 秀高)
医学と臨床(Academia and Clinic)
心血管系リスクの個別的予測因子を効果判定する方法の進歩:再分類法の役割
Advances in Measuring the Effect of Individual Predictors of Cardiovascular Risk: The Role of Reclassification Measures
Nancy R. Cook and Paul M Ridker
研究者らは,従来,新しい予測因子の貢献度を測定してきた.新しい予測因子とは,それを加える前後でのROC曲線に基づく面積を計算することによって心疾患のリスクを予測できるようなバイオマーカーのようなものである.しかしながら,この測定では,絶対的リスクにおいて重要な変化を見逃してきた.新しく提案されたやり方は,新しい予測因子を加えた後,多くの患者でリスクの変化を配慮している.この論文では,再分類法を議論し,それらの実績を女性の心血管病を予測するためのモデルで評価している.
(翻訳:井田弘明)

レビュー(Reviews)
ナラティブ・レビュー:メタボリックシンドロームおよび治療抵抗性高血圧におけるアルドステロンの役割についての関する新たな臨床的意義について
Narrative Review: The Emerging Clinical Implications of the Role of Aldosterone in the Metabolic Syndrome and Resistant Hypertension
James R. Sowers, Adam Whaley-Connell, and Murray Epstein
メタボリックシンドロームは,肥満,やインスリン抵抗性,高血圧,および心血管病・慢性腎臓病の他の危険因子によって構成される.この総説では,アルドステロンがインスリン抵抗性を悪化させメタボリックシンドロームや治療抵抗性高血圧の発症に関与していることを示す新たなエビデンスについて論じている.
(翻訳:田村功一)
メタ解析:心不全患者におけるβ遮断薬の用量,心拍数減少および死亡について
Meta-analysis: β-Blocker Dose, Heart Rate Reduction, and Death in Patients With Heart Failure
Finlay A. McAlister, Natasha Wiebe, Justin A. Ezekowitz, Alexander A. Leung, and Paul W. Armstrong
β遮断薬が心不全患者の死亡率を減らす理由は,いまだ明らかではない.筆者らは,心不全でのβ遮断薬に関する23の試験のレビューから,心拍数減少か,β遮断薬の用量か,あるいはその双方で予後が予測されるかを判断しようとした.β遮断薬の治療により心拍数が1分当たり5減少するごとに,死亡リスクは15%低下した.β遮断薬の用量は総死亡率を予測しなかった.
(翻訳:川上寿一)
展望(Perspectives)
2型糖尿病における血糖コントロール:エビデンスに基づく転換をする時が来たか?
Glycemic Control in Type 2 Diabetes: Time for an Evidence-Based About-Face?
Victor M. Montori and Mercè Fernández-Balsells
糖尿病ガイドラインの中には,2型糖尿病患者のヘモグロビンA1c目標値を低く設定したものがある.
著者らは,2型糖尿病についての最近の大規模無作為化試験を見直した後で,厳しい血糖コントロールを達成するための複合治療プログラムは,患者に多大な手法的負担をもたらし,出費増と低血糖になる危険性を増し,確実な利益を提供するとは限らないと述べている.臨床医の最優先項目として,健康的なライフスタイル,予防医療,および心血管系リスクの減少に対して援助をすべきであると彼らは考えている.医師と患者は共同で患者の事情と嗜好を考慮した,個別で実現可能な血糖コントロール目標値を設定すべきである.
(翻訳:小野広一)


集中治療室における血糖コントロール:ジェットコースターそれとも海賊船*か?
Glucose Control in the Intensive Care Unit: A Roller Coaster Ride or a Swinging Pendulum?
Richard J. Comi
CCUや外科系ICU患者に対する厳格な血糖コントロールは初期の無作為研究では死亡率を低下させるとしていたが,近年の複数の研究ではこの効果は確認されておらず,最新の研究ではむしろ死亡率を上昇させることを示唆している.また,厳格な血糖コントロールは低血糖イベントを増加させている.最近の文献では中等度の血糖コントロールが血糖コントロールの不良に伴う転帰の悪化と過剰な血糖コントロールに伴う転帰の悪化の中間的位置をとりうることを示唆している.
(翻訳:鈴木 昌)*訳者注:遊園地にある振り子のような乗り物

論評(Editorials)
糖尿病発症のリスク予測:正確なモデルの選択(もしくは確立)
Predicting Risk for Diabetes: Choosing (or Building) the Right Model
William H. Herman
無症状の成人に対して2型糖尿病のスクリーニングをするべきか否か異論がある.かりにそうしたスクリーニングをしなければ,血糖代謝異常のために糖尿病発症のリスクが高い人達を見つけ出す機会を失うであろう.この問題において,Kahnとその同僚らはもともと糖尿病を持っていない患者における糖尿病発症のリスクを予測するための2つのモデルを提示している.それらのモデルには限界があるが,明らかに糖尿病発症のリスクが高い個人を見つけ出すきっかけを増している.
(翻訳:柳川 健)

患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
ホルモン療法中止後のマンモグラム追加検査呼び出し率
Mammogram Recall Rates After Stopping Hormone Therapy
(翻訳:岩永正子)
クリニックにて(In the Clinic)
結核
Tuberculosis
(翻訳:永松聡一郎)
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