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(更新日 2009年2月2日)
Annals

Established in 1927 by the American College of Physicians
目次(TABLE OF CONTENTS)
20 January 2009 Volume 150 Issue 2
(監修:菅野義彦,総合監修:川村光信)
英文のTable of Contentsはこちらをクリックしてください.

原著(Articles)
染色体9p21.3の遺伝的変異情報と心血管疾患リスクの予測
Cardiovascular Disease Risk Prediction With and Without Knowledge of Genetic Variation at Chromosome 9p21.3
Nina P. Paynter, Daniel I. Chasman, Julie E. Buring, Dov Shiffman, Nancy R. Cook, and Paul M. Ridker
Paynterと同僚らは心血管疾患リスクの予測に際し,従来から用いられているリスクファクターである若年期心疾患の家族歴,喫煙,血圧,コレステロール,C反応タンパクなどに,染色体9p21.3の遺伝的変異の情報を加えた場合と,従来から用いられているリスクファクターだけの場合とで比較した.22,129人の白人女性医療専門家を中央値10年にわたって観察したが,この遺伝的変異の情報を加えても心血管リスク分類の精度は改善しなかった.
(翻訳:新谷英滋)
弁膜症を伴わない心房細動患者における,ワルファリン投与量の決定に遺伝薬理学情報を使用することの費用対効果
Cost-Effectiveness of Using Pharmacogenetic Information in Warfarin Dosing for Patients With Nonvalvular Atrial Fibrillation
Mark H. Eckman, Jonathan Rosand, Steven M. Greenberg, and Brian F. Gage
Eckmanと共同研究者らは,弁膜症を伴わない心房細動患者におけるワルファリン投与量を遺伝子型に基づいて決める場合の費用対効果を評価した.標準的な基準となる患者(ワルファリン禁忌でない69歳男性で現状の遺伝子型検査費用約400ドル)において,生活の質を調整した余命1年あたり,標準的ワルファリン投与法よりも17万ドルコスト高となった.現在の経費では,ワルファリン投与量決定前にルーティンに遺伝子型検査を行っても,費用対効果が良くなる可能性は低い.
(翻訳:白山武司)
高比重リポ蛋白の粒子サイズおよび血中濃度と,冠動脈疾患リスク
High-Density Lipoprotein Particle Size and Concentration and Coronary Risk
Karim El Harchaoui, Benoit J. Arsenault, Remco Franssen, Jean-Pierre Després, G. Kees Hovingh, Erik S.G. Stroes, James D. Otvos, Nicholas J. Wareham, John J.P. Kastelein, Kay-Tee Khaw, and S. Matthijs Boekholdt
高比重リポ蛋白(HDL)粒子はその大きさや組成が不均一である.今回のコホート内症例対照研究の結果により,HDL粒子サイズとその血中濃度の両者と,冠動脈疾患(CAD)リスクに関連がみられることが明らかになった.粒子サイズが大きいほど中性脂肪やアポB蛋白値などのメタボリックシンドロームの危険因子と強い関連がみられた.それらの危険因子で補正するとこの関連が弱まった.このことから,メタボリックシンドロームの危険因子がCADリスクにおけるHDL粒子サイズの効果を仲介していると推測される.一方,HDL粒子の血中濃度についてはCADリスクの独立した予測因子と考えられる.
(翻訳:田村功一)
医学と臨床(Academia and Clinic)
公衆衛生上の脅威となりうる健康被害発生時,誰が生命維持を受けるべきか?
―医療分配決定を改善するための倫理原則を用いて―

Who Should Receive Life Support During a Public Health Emergency? Using Ethical Principles to Improve Allocation Decisions
Douglas B. White, Mitchell H. Katz, John M. Luce, and Bernard Lo
Whiteと関係者達は,公衆衛生上の脅威となりうる健康被害発生時に不足が予想される,人工呼吸器,集中治療ベッド,その他の救命治療などの医療資源をうまく分配するための倫理原則に関する討論をしている.彼らはいくつかの道徳的関連事項を取り入れた分配戦略を提示し,これらの原則を全ての患者に適用することを主張している.
(翻訳:柳内秀勝)

総説(Reviews)
ナラティブ・レビュー:2型糖尿病での肥満に対する減量手術の効果
Narrative Review: Effect of Bariatric Surgery on Type 2 Diabetes Mellitus
Marion L. Vetter, Serena Cardillo, Michael R. Rickels, and Nayyar Iqbal
肥満に対する減量手術を受ける30%近い患者が2型糖尿病を有する.患者の多くは,手術後,急速に血糖コントロールが改善する.インクレチン(訳者註:グルコース応答性にインスリン分泌を増強する消化管ホルモンの総称)であるGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)やGIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ペプチド)などの消化管ペプチドは,グレリンやPYY(ペプチドYY)と同様に,腸管膵島軸(訳者註:消化管と膵島の機能的連関を意味し,経口摂取による消化管での刺激を膵島に伝達することを言う)を調節する.肥満に対する減量手術はこれらの消化管ホルモンの分泌を変え,結果的にインスリン分泌や,インスリン感受性は増強される.Vetterと同僚らは各種の肥満手術法についてと,それらがいかにして腸管膵島軸を変化させるかについて論じる.
(翻訳:澤木秀明)
国立衛生研究所カンファレンス(NIH Conferences)
国立衛生研究所の合意形成カンファレンス声明:B型肝炎のマネージメント
National Institutes of Health Consensus Development Conference Statement: Management of Hepatitis B
Michael F. Sorrell, Edward A. Belongia, Jose Costa, Ilana F. Gareen, Jean L. Grem, John M. Inadomi, Earl R. Kern, James A. McHugh, Gloria M. Petersen, Michael F. Rein, Doris B. Strader, and Hartwell T. Trotter
B型肝炎ウイルスに対するワクチンの接種はアメリカ合衆国における急性B型肝炎の新たな発症を実質的に減少させる結果となったが,この成功は未だ世界的には認められていない.NIH合意形成カンファレンスの委員達は成人におけるB型肝炎のマネージメントに関する重要な疑問に答えるべく会した.この合意形成カンファレンスの発表は,これらの疑問に対する委員達の答えを提示している.
(翻訳:柳内秀勝)


成人慢性B型肝炎に対する抗ウイルス療法:国立衛生研究所カンファレンス作成会議に関する系統的レビュー
Antiviral Therapy for Adults With Chronic Hepatitis B: A Systematic Review for a National Institutes of Health Consensus Development Conference
Tatyana A. Shamliyan, Roderick MacDonald, Aasma Shaukat, Brent C. Taylor, Jian-Min Yuan, James R. Johnson, James Tacklind, Indulis Rutks, Robert L. Kane, and Timothy J. Wilt
本レビューは成人慢性B型肝炎の治療に関するNIHコンセンサスの裏づけとなるものである.Shamliyanと同僚らはインターフェロン療法,内服療法,様々な複合療法の有効性に関してのエビデンスを作成した.しかしながら臨床的治療効果を評価するためにはエビデンス不足であること,また検査項目が治療効果の指標として信頼できるかどうかについても,エビデンスが不足していることが判明した.
(翻訳:今村隆明)
診療ガイドライン(Clinical Guidelines)
医療現場におけるHIVのスクリーニング:米国内科学会とHIV医学協会の指針声明
Screening for HIV in Health Care Settings: A Guidance Statement From the American College of Physicians and HIV Medicine Association
Amir Qaseem, Vincenza Snow, Paul Shekelle, Robert Hopkins, Jr., Douglas K. Owens for the Clinical Efficacy Assessment Subcommittee of the American College of Physicians
約100万人の米国人がHIV/AIDSを抱えながら生活している.本指針声明では,米国内科学会の臨床効果評価小委員会が医療現場におけるHIVスクリーニングの入手可能なエビデンスを提示している.声明はHIV医学協会の承認を受けている.本学会は,臨床家がルーチンのスクリーニング検査にHIVを取り入れ,患者に検査を受けるよう奨励し,そして患者毎にスクリーニング検査を繰り返す必要性を決定することを推奨している.
(翻訳:高田 徹)
論評(Editorials)
個別化遺伝的予測:あまりに不十分,あまりに高価,またはあまりに時期尚早なのでは?
Personalized Genetic Prediction: Too Limited, Too Expensive, or Too Soon?
John P.A. Ioannidis
多くの共通する遺伝的変異が種々の疾患で同定され,個別化遺伝的予測への期待を高めている.本号でPaynterと同僚らは,遺伝的多型であるrs10757274が心血管疾患発生リスクに関連することを確認しているが,この多型の存在を新たに知っても心血管疾患発症の予測は改善しなかった.別の論文でEckmanと共同研究者らは,CYP2C9やVKORC1の遺伝子型に基づいて投与量を決定しても患者にとって費用対効果が良くないことを発見した.個別化遺伝的予測への期待が誇張されており,時期尚早なのかもしれないことを,これら2つの論文は示唆している.
(翻訳:赤真秀人)


患者さんへのまとめ(Summaries for Patients)
染色体9p21.3の遺伝子変異の多様性を測定することが女性における心血管疾患を予測する助けになるか?
Does Measuring Genetic Variations at Chromosome 9p21.3 Help to Predict Cardiovascular Disease in Women?
(翻訳:増田浩三)
医療現場におけるHIV感染のスクリーニング:米国内科学会とHIV医学協会の指針声明
Screening for HIV Infection in Health Care Settings: A Guidance Statement From the American College of Physicians and HIV Medicine Association
(翻訳:金沢雅人)
ACP Journal Club
患者ケアのための最良の新しいエビデンス
論評:エビデンスの適用:次のアクションは何か?
Editorial: Applying evidence: What's the next action?
RosuvastatinはCRP値が高い対象者の主要心血管イベントを予防した.
Rosuvastatin prevented major cardiovascular events in persons with elevated C-reactive protein
総説:成人重症患者の厳密な血糖コントロールは敗血症を減少させるが,死亡率を低下させず,低血糖発作を増加した.
Review: Tight glucose control reduces septicemia, but not death, and increases hypoglycemia in critically ill adults
総説:吸入抗コリン薬は慢性閉塞性肺疾患における主要心血管障害イベントのリスクを増加する.
Review: Inhaled anticholinergics increase risk for major cardiovascular events in chronic obstructive pulmonary disease
他の呼吸器系の薬物療治療を受けているCOPD患者において,Tiotropiumは急性増悪を減少したが,1秒量の減少率を低下しなかった.
Tiotropium reduced exacerbations but not rate of FEV1 decline in patients with COPD using other respiratory medications
Aspirinとantioxidantsの併用あるいは単独投与は糖尿病患者における脳血管障害のイベントと末梢動脈疾患を予防しなかった.
Aspirin and/or antioxidants did not prevent CV events in diabetes and peripheral arterial disease
Pioglitazoneは糖尿病を合併していない非アルコール性脂肪性肝炎患者の肝障害を軽減し,空腹時血糖値を改善した.
Pioglitazone reduced liver injury and improved fasting glucose in nonalcoholic steatohepatitis without diabetes
除細動器治療は慢性心不全患者のクオリティ・オブ・ライフを改善したが,アミオダロンは改善しなかった.
Defibrillator therapy improved quality of life in CHF; amiodarone did not
n-3系多価不飽和脂肪酸は慢性心不全の罹患率と死亡率を減少させた.
n-3 polyunsaturated fatty acids reduced morbidity and mortality in chronic heart failure
慢性の胃食道逆流症に対する腹腔鏡手術は薬物療法よりも有効であった.
Laparoscopic surgery was more effective than medical management for chronic gastroesophageal reflux disease
梗塞発症後3から4.5時間後でのAlteplase投与は機能障害を軽減し,アウトカム全体を改善した.
Alteplase given 3 to 4.5 hours after stroke reduced disability and improved global outcome
発症早期およびに慢性期での鍼療法は原発性片頭痛あるいは緊張型頭痛の発症頻度と疼痛の強さを軽減した.
Immediate and delayed acupuncture reduced frequency and pain intensity of primary migraine or tension-type headaches
膝変形性関節症では最適の理学療法と薬物治療が行われていれば,関節鏡視下手術がさらなる改善に寄与することはない.
Arthroscopic surgery provided no added benefit to optimized physical and medical therapy in knee osteoarthritis
Glossary
用語解説.
(翻訳:峠岡康幸)

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